第120話「棺桶の中の骸」
文字数 1,411文字
ーPM2時30分ー
《宿屋―蔓の間》
夜叉丸はまだ眠い目をグイグイと擦りながら部屋の中を見渡した
··玄宥の姿が見当たらない
そう言えばヤトも居ないようだ
と、丁度その時だった
ガラ――――――ッ
昨夜の戦いで、廃炉が去った後に残されていたモノ···それは目一鬼が背負っていたデカい棺桶だけだった
玄宥には、棺桶の中に詰め込まれている骸が何なのか分かっていた
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江戸に着いてすぐ幕府へと赴いた玄宥とヤトに告げられた事実、それは陰陽頭の半数以上が行方不明のまま処理されたと言う趣旨の内容だった
目一鬼が江戸で大暴れし、大量の人間が喰われた事で幕府は鬼族討伐の下命を下す事になる
そして、陰陽頭と目一鬼との全面戦争が始まった
当初は優勢であったはずだったのだ
体のデカい鬼ではあったが、陰陽頭達が束で掛かれば一溜まりもないだろう
だが実際はそう甘くはない
影には仕方なく参戦していた廃炉がついていた事で、陰陽頭達に勝ち目など一切無かったのである
その時に戦っていた陰陽頭達の半数以上が目一鬼の餌食となり棺桶に詰め込まれてしまったのだった