第73話「解決」
文字数 1,082文字
ーAM6時10分ー
《御食事処ー水芭蕉》
あの後、カルラ様はお金の受渡しの為に鷺山渓谷へ向かうと言い、タマネギさんはカルラ様の命令で何処かへ行ってしまったまま戻らない··
私は一人になってしまうので、鬼の世には留まることが出来ず、カルラ様が戻るまでの間、水芭蕉に居るように言われていた
ボケっと思いにふけっていたその時、女将さんが私の背中をポンっと叩いた
女将さんはとても優しい···
こんな私にいつも気を使ってくれて、今回の件についても借金取りから庇ってくれていた
それに比べ、私は皆に迷惑ばかりかけてしまっている
そう思いつつ、奥の間で横になりながらウトウトしていた
一体どのくらい眠っていたのだろう
そろそろ起きなければと、ボヤける思考の中で必死に目を開けようとしていた
何とか薄っすらと開いた瞳には、眩しい昼間の陽射しが容赦なく入り、目を細めたそのとき視界の端に人影が見えたような気がした
カルラ様はいつから此処に居たのだろう?
私が起きるまで側で待っていてくれたのかしら···?
う、嬉しい···
私はどうしようもない人間なのに、こんなにも幸せを感じてしまって良いのだろうか
····何か、大切な事を忘れていない?
どう言う意味なのですか?
と聞きたかったが、聞けるはずもなく··
何となく嫌な予感しか頭の中には浮かばなかった··
でも、もしそうだったとしてもそれはカルラ様が私のためにして下さった事なのだと思い、それ以上は考えないようにした