第99話「旅の資金」
文字数 1,513文字
《都》
ほぉ〜
さすがは京の都じゃねえか！栄えてやがるぜ！
最近では長く続いていた戦も終息に向かっていると聞いたよ。元号がころころ変わるから疲れるね
···戦か
少しだけ参加させてもらいてぇぜ
えっ、いやダメでしょ
怒られるよ？
まぁ、そうなんだけどよ··
金を稼ぐなら戦が1番手っ取り早ぇんだよな
うーん、長旅だし多少のお金が必要なのは理解しているのだけれども
たまには風呂にも入りてえし
お風呂なら火山近くの川がお湯になっていたけど
お前···、火山付近まで行くのに何日かかると思ってんだよ
ホシ猫は別に水浴びでも良いけどね
俺は湯浴み慣れしてんだよ
どうしようもねぇ時は川しかねえがな
ふーむ
今まではお金とかどうしていたんだい？
今までも結構大変だったぜ？
クマをブチのめして毛皮を売ったりしていたが、そりゃ相当命がけだしな
そもそもだ、ブチのめすのも大変なのに毛皮をキレイに剥ぐのはもっと至難の業だぜ！
···やはり君は只者じゃないね
因みに肉はその場で焼いて食ったり、干し肉にして非常食にしていた
クマは大きいし、余ったお肉は売らなかったのかい？
干し肉なら意外と売れたが、生肉は直ぐに腐っちまう
干し肉にしたって干すにも時間がかかるからな、その間に鬼狩りして戻った時には野犬に喰われてんだよ
なるほど····
だがサスガにあの時はブチギレたぜ！野犬は切り刻んで鍋の出汁だ！！
食べるのもに困ったことは絶対に無いよね？
食い物は確かにねぇな。山に行けば肉だらけだからな
肉だらけって···
野菜も食べようね。食はバランスが大事だよ
野菜····、前にキノコ食って笑いが止まらなくなってからは食わねえようにしているぜ
毒キノコを見極める目も養おう
···て、言うか
夜叉丸は人を喰わない鬼なんだね
(まぁ、人なんて喰ったら即地獄行きなんだろけど)
あー、理性を取り戻してからは鬼と人とに別けられる様にはなったな
鬼になっても理性がありゃ別にどうって事はねぇし、人を見て美味そうだとか感じたこともねえ
そっか···
(夜叉丸は色んな事で苦労してきたんだね)
··········
··········
え？何？
く···っ、くくっ
俺様ってやっぱ天才··、いいこと思い付いたぜ
····とんでもなく嫌な予感がするな
《都―中心部》
よーう、寄ってらっしゃい見てらっしゃい！
···········
夜叉丸はホシ猫と共に、都の中心部で、特にも人通りの多い場所で客寄せをしていた
あらっ！いい男じゃない！
よぅ、よく来てくれたぜ美しいお嬢さん。
···えっ、美しいだなんてっ
···········
えっ、なになにー？！
何の見世物をするのかしらー？
おっと、これまた美人さんのご登場か！こうなると俺のほうがついてんな
やだぁっ、ホントにいい男ねー！
············
その後も夜叉丸は客を呼び込むが、何故か客層は女性陣だらけになっていた。
あまりにも女性だらけになってしまったのだが、最後にはその女性達目当ての男性客も徐々に増えて行くという結果になった。
もしかして、その可愛らしい猫ちゃんが何かしてくれるのかしら？
さぁて、かなり集まってくれた事だしそろそろ説明するぜ！
女性陣はキャッキャッと楽しそうに夜叉丸の話を聞いている
(夜叉丸ってモテるんだな···、顔怖いのに)
この猫は俺の飼い猫だが、色々と芸を仕込んできたんだ
かぁわいいわぁ♡
そして、これからコイツがやるのは·····
·········
薪割りだぜっ！！！
··········
··········
··········
えええーーーーーーっ？！
猫が薪割りぃっ？！
そのセリフは集まっていた客の殆どが声を併せて叫んだため、京の都中に響き渡ったのだそうな。
