第66話「惚れっぽい」
文字数 1,570文字
-半年後-
サワサワ――― サワ――··
私が此処に連れて来られてから、早いもので半年が経った
当然のごとく周りには鬼しかいない···。
私を見てヨダレを垂らしている鬼もいて、今でもたまに襲われそうになる
それでも、私の側にはいつもカルラ様が居てくれるので喰われずに済んでいた
今までの人生を考えたら
私が誰かに嫁ぐ事など一生、ぜっっったいに無いと思っていた
例え契約的なものだとしても、今までの私ならそれは普通にあり得ない··
なのに何でだろう···
カルラ様の「あくまでも契約」と言う言葉にちょっとだけ心が痛かった··
私は馬鹿だから···
また勘違いしてしまいそうだ
カルラ様が私の事を想ってくれているなんてあり得ないもの
だって、私は鬼にとって食料でしかない人間なのだから··
たまたまカルラ様が人を喰わないのだとしても、あり得ない
絶対に勘違いしてはいけないのよ···!
····いや、これは契約だから···。そうこれは契約!
勘違いしちゃダメよ!!
だとしてもやっぱり嬉しい····っ
例え特に夫婦生活がなくとも!
あ――···、この惚れっぽさ何とかならないかしら····
ホント馬鹿なんだから···
あ、危なかった···
カルラ様にとってはただの契約!私の想いなんかドブに捨てる!
そうドブにね!!