第77話「夜叉丸の考え」

文字数 1,156文字








        ーPM4時50分ー


          《神境二番通り》




カンカンカンカンカン―――――――






··········
(あ···っ、やっぱり今日も来たわ!!ラッキー!)
·········




あれから開かずの踏切の遮断機が上がることはなかった。


夜叉丸は何かを語ることもなく、戻って行ったのだが····


何故か今日もまた開かずの踏切前に来て何をするわけでもなく、目の前の踏切を見つめたまま突っ立っていた。






(これは、仲良くなるチャンスね!)
·········
あ··、あの···っ




少女が夜叉丸に声をかけようとしたその時···、また1人、別の男性が踏切の前まで歩いて来たようだった





っ!!!
··········




開かずの踏切にやって来たのは、今や《十全浄霊》で有名な、陰陽師の「伊吹 逢馬」(いぶきおうま)だ






(えぇっ?!また超絶イケメンが来たわ!!ここ最近殆ど誰も来なかったのに何故?!)
········
····なるほど
えっ?!




更には、何かを一人で納得したかのようにボソッと呟いた和服の女性も姿を現した。






まさかの依頼主だったよ
(··依頼主?一体何の話かしら)



少女は咄嗟に電柱の影に隠れて様子を伺った





俺はそっち専門じゃねぇからな
それにしても、何故この踏切にこだわるんだ?
··········
ここの踏切はもうずっとこのままのようですね、向こう側へ行くのには違う道からでも行けるのでは?
理由は様々あるが、

まぁ、強いて言うなら····

ここを通るのが、家からいろはのバイト先まで1番近いって事だな
(····いろは?)
っ!!!!
っ!!!!
な、なるほどな

···だったら仕方ない

ええ、そうですね

それならば喜んでご協力するです

·······
····お前ら何をニヤニヤしてんだ?
・・・意外と隅に置けない奴だった
ふふ、そうですね
・・・あ?

何か言ったか?

いや・・・
(何かよく聞こえないわね・・)
さて・・・

それでは本題に入るです

ああ・・
・・・取り敢えずこの踏切の遮断機が何故上がらないのか、状況を説明するよ
(・・・っえ?!この人たちは開かずの踏切の理由が分かっているの?!)
ここは以前に人身事故があった踏切だ
!!!!!
(そ、そんな事あったかしら?それとも私が知らないずっと昔の話?)
鬼狩りにも見えているんだろ?

だからアンタは俺達を呼んだんだ

···まぁ、確かにそうだが

(見えてるって···、何を?ってか、鬼狩りって··言う名前なのかしら?あのイケメンは··)
理由はそれだけじゃねぇ
···鬼狩りさんは私が思っていたよりもずっと優しい方なのです
···そんなんじゃねぇし
········
··では、私に視えている踏切内の光景を1から順を追って説明するです




そう言うと、イタコの末裔である十朱 真那(とあけまな)は、自身の眼に視えている踏切内の全ての現象を語り始めた





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登場人物紹介

名前 姫城 いろは(ひめぎいろは)

年齢 20歳

職業 大学生


都内ではあるが、県境で沿岸にある集落出身。その集落には毎年行われる豊年祭があるが今年は何故かその豊年祭にいろはが招待を受ける····

名前 姫城 花梨(ひめぎかりん)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの従姉妹

いろはのご近所に住んでいて、小さい頃から姉妹のように育ってきた。いろはにとって大切な存在。

名前 夜叉丸(やしゃまる)

年齢 不明

職業 不明


謎だらけの青年

名前 ホシ猫

年齢 不明

種類 妖怪


妖猫『仙狸(センリ)』人型バージョン

化け猫の類い。人の精気を喰らう必要があるため、死にたくても死ねない夜叉丸の側で精気を拝借している。

名前 黒鉄(くろがね) 

年齢 656歳

種類 妖怪


妖怪『猫又』の人型バージョン

巷では有名な超級百鬼。飼い主の「黒崎陵」とは600年前の記憶を共有しており、唯一無二の存在。当時の二人の事情は『百鬼夜行』に記されている。

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)

年齢 60歳

職業 「黒猫マート」の店長


黒鉄の飼い主

24Hコンビニ「黒猫マート」の店長で、黒鉄の飼い主。迷い猫を保護し育てている。黒鉄とは600年前の記憶を共有しているため、黒鉄からは昔の名前「佐助」で呼ばれている。

名前 如月 歩夢(きさらぎあゆむ)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの元彼

いろはと同じ大学に通う元恋人。色々あったが結局は今でもいろはの事を引きずっている。

名前 佐伯 怜奈(さえきれな)

年齢 21歳

職業 大学生


いろはの元親友

昔はいろはと仲が良かったらしいが、いろはへの嫉妬心が強いため何かと嫌がらせをしてくる性悪女。

名前 新羅 咲哉(しんらさくや)

年齢 20歳

職業 大学生


如月 歩夢の友人

掴み所のない性格だが、何故か女の子からはモテる。たまに闇が垣間見える事があるため歩夢は少し警戒している。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

種類 妖怪


妖怪『九尾の狐』の人型バージョン

狐の姿になる事は殆んど無い。

大昔に人から命を救われている為、人を襲わず同族を食糧としている。大食間であり、その力は脅威と言われている。

名前 北条 莉桜(ほうじょうりお)

年齢 25歳

職業 図書館勤務(公務員)


温厚で優しい口調が相手に好印象を与えているが、実際は周りの事や人に興味がなく、相手がどう感じようと全く構わないタイプ。だがやっぱり優しいのでモテている。

名前 伊吹 逢馬(いぶきおうま)

年齢 24歳

職業 祓い屋&心理学者


両親が極度な霊感体質であり、自らも見事に受け継いだ為、祓い屋家業を営んでいる。大学では心理学を専攻していたのでたまに心理学者としての仕事もしつつ生計を立てている。未だに独身。

名前 十朱 真那(とあけまな)

年齢 24歳

職業 管理栄養士&イタコ


本業は管理栄養士だが、今では貴重な存在である「イタコ」の後継者。本人はイタコであることが嫌な為、実家を継ぐのを放棄して伊吹家に居候している。その代わりに逢馬の仕事を手伝わされて結局イタコをやる羽目になっている。

名前 比企 夜叉丸(ひがやしゃまる)

年齢 10歳

職業 人斬り一家


約700年前、まだ人だった頃の夜叉丸。

親に捨てられ死ぬ間際に比企家の頭首である藤治(とうじ)に拾われ、人斬りとして育て上げられる。

名前 比企 藤治(ひがとうじ)

年齢 32歳

職業 人斬り一家


約700年前、死にかけていた夜叉丸を拾って人斬りとして育て上げるオッサン。

比企家の頭首にして凄腕の剣客。

名前 比企 氷月(ひがひづき)

年齢 10歳

職業 比企家の家事全般


比企家頭首である藤治の娘。

母親は既に他界しており、比企家に住む男共の面倒や家事など全てを担っている。

名前 比企 白夜(ひがびゃくや)

年齢 25歳

職業 人斬り一家


人斬り一家のリーダー的存在。比企家に住んでおり、戦では100人斬りを達成している剣客。左目は損傷し隻眼となっている。

名前 坂本 瑠迦(さかもとるか)

年齢 24歳

職業 調理師


いろはのバイト先である、古民家カフェのマスター。最初はせっかちで強引なイメージだったが、実は優しくて空気の読める爽やかなイケメン。野菜作りが趣味で自家製野菜を店で提供している。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

年齢 不詳

職業 カルラ様の側近


鬼族の頂点であるカルラの側近。真面目で忠実な性格だが、人をおちょくった様な一面があり、いつもカルラに消されそうになっている。あだ名の由来はその性格がタマネギ部隊に似ているためだと言われている。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

etc


廃炉の人型バージョン。趣味が中々良いためイケメンになるが、その性格は変わらない。

名前 迦楼羅(かるら)

年齢 不詳

職業 鬼族の長


全ての鬼をまとめる鬼族と言う貴族の頂点。しかし自分の一族である鬼族にも殆んど興味がないため、鬼狩りに仲間を狩られても面倒くさい程度にしか思っていない。取り巻きにどやされて仕方なく鬼狩りを追い払っている。

名前 姫城 奈瑞菜(ひめぎなずな)

年齢 23歳

職業 料理人


200年程前の時代の中、カルラと出会う女料理人。見た目はとても可憐たが過去の経緯から極度の男性不信。しかし惚れっぽいため、いつも簡単に騙されてしまうようなちょと残念な女性。

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