第178話「真相」
文字数 3,060文字
《路地裏》
本当にカルラが使っていた能力そのものだった····
だが――――――
鬼化した彼女を見ていれば分かる
蒼白の光に包まれた状態で倒れた鬼は、いまだに動く気配がない····
あの時、私が出現させた光は想像していたよりも大きなものへと成長し、激しく爆ぜた事が少し気になっていた――――
カルラ様がこの力を使ったあの時、私とは違って小さな光を四方八方へと放ち、パチンと小さく爆ぜていたのだから···
その違いは何を意味するのだろうか―――――
···そう不安に思っていた時だった
蒼白の光に包まれていた鬼の姿があらわになって行く中で私はギョッとした―――――
そこに居たのは···
どう考えてもこんな事って有り得ない―――――
さっきの白鬼の業が絶望と殺意から来ていたのは確かだ···
こんな···こんな子供が抱えるような感情なんかじゃない···！
····恐らく鬼化した彼女は既婚者で、旦那さんが別の女性を妊娠させた―――――
きっとその事で別れ話に発展していたんじゃないかと予測したわ··！
その時に感情を爆発させた彼女は二人に対して殺意を抱き、理性を失った···
と、思っていたのだけれど···
え、ドラマの見すぎ？！
君はどうしてここに居るのか覚えているかい？
ここは何処···？
(やはりか)
君は自分の名前を覚えているかな？
その子は不安げな表情のまま、小さく首を横に振った――――――
そうして私達はこの女の子を警察へと連れて行き、色々と事情聴取をされたのち、ようやく開放されたのだった
まさかこんな事になるなんて···
では、次からはオーマの服を持って来てもらおうか
警察にあの女の子を連れて行った時、こんな夜中の事だったため相当怪しまれてしまった
伊吹さんが仕事の最中にうずくまっているあの子を発見したと咄嗟に誤魔化してくれなければ、事情聴取はもっと長引いただろう···
そろそろあの子の真相を話そうか？
そんな――――――
やっぱりそうだった―――――···
あの時、膨れ上がった蒼白の光の大きさが、注ぎ込む生命力のパラメータなんだ
私はなんて事を―――――
それじゃあ、いろはちゃんは何のために····っ
「業」が残るんだよ
その報いはいつまで続くんですか？
いろは、夜叉丸を思い出せ
···結局わたしには彼らを完全に救い出す事は出来ない――――
罪は何があっても償わなければならないのだ··
中には、気の毒な状況から成る人もいると言うのに――――
···もし、業を絶つことが出来たとしたら、それは「解脱」したと言うことになるよね··
「解脱」は全ての苦しみからの開放···
玄宥様のような仏様以外の存在がさせられるようなモノではないのだろうか···？
