第45話「人喰い人」
文字数 1,215文字
-PM12時30分-
結局、氷月の個人的な買い物はカンザシ1つで我慢する事となり買い付けの続きをしている
·····俺にはよく分からねえが、ここの一家はかなり羽振りが良さそうな感じだ
何故ならカンザシ1つの値段が俺には理解できねえ数だったからだ
と、その時だった
俺達のいる場所からそう遠くない所から女の悲鳴のようなモノが聞こえた様な気がした
俺は、不安げな氷月を米屋の前に残して悲鳴の聞こえた場所まで様子を見に行ってみる事にした
その場所は俺達の居た広い街道からは少し逸れた場所だった
こんな真っ昼間にも関わらず、建物と建物の間に道がある為、薄暗くあまり人が通るような場所ではなかった
俺は建物の影から密かにその薄暗い道を覗いていた···
目を凝らしてよく見なければ分かりにくい
···そこには、男が女の上にまたがっている、そんな様なモノだったのだが···
何か··おかしい·····
こんな異様な場面を見るのは勿論初めての事だった
こんな時代だ、人が人を斬る事なんて当たり前の世の中···
だけど、人が人を喰うなんて···
そんな事があり得るのか?
被害者の女は想像以上に喰われている様だった
どうみても生きているとは思えない··
それをわざわざ正体不明のこの男に喧嘩を売る必要があるのか?
そう決意し、その場から離れようとした時だった
全くもって最悪だ·····