第213話「決着」
文字数 3,333文字
―AM1時15分―
《冥界の穴》
カイトは生まれた時から、沢山の決められた運命にがんじがらめにされていた筈だ―――――
夜叉丸の記憶と力を受け継ぎ、さらには強大な能力を上乗せられて、幼い頃から厳しく躾けらた····
そこに本人の意思なんて一切関係無い
そして、それは私の事もそうだ···
過去に囚われて好きな人すら自由に選べなかっただろう
あの日、私は夜叉丸にとても酷な約束をさせていたのだと理解した
――――何よりも···カイトの人生を、がんじがらめで不自由な囚われだらけの人生にしてしまったのは私なのだから――――
その時、クラオカミさんは冥界の穴を覆うように両手を添えた、その時だった――――――
お腹の底に響くほどの唸るような地鳴りが始まったかと思うと、ここの土地一体(櫻井家が作った結界よりも遥かに広大な範囲)が、闇の如く真っ黒なオーラに囲われたのだった
それはもはや櫻井家が施した結界の光など簡単に遮り、微かな光さえも通さないほどの完全なる闇だ