第187話「カイトとモガさん」
文字数 3,623文字
―PM7時50分―
《Caffe―ゑ來屡》
イカタル*さんは黙ったまま首を横に振った―――――――
そうして私とカイトは、「Caffe―ゑ來屡」を後にした―――――
《住宅街》
実は·····
お店を出てからカイトは、何故か街灯の少ない通りを選んで歩いているようだった··
鬼狩りが目的なのだから、勿論その方が鬼と出くわす確率は上がるため、最初は特に何とも思ってはいなかったのだが―――――
30分くらい歩いた頃、カイトは何故か然りげ無く私の手を握ったのである
そ、それって逆に·····
女なら誰でもいいから手を繋ぐ機会を得たいと――――――
そう言う事?!
―AM2時50分―
《街頭》
カイト····、何か怒ってる?
私なにかマズイこと言った?!
なんか知らんけどめちゃくちゃ焦りながら私はモガさんをカイトの目の前に差し出した
と、その時――――――
モガさんは急に動き出し、自分を握らせろとばかりにカイトの顔に剣(自分)を押し付けている
仕方なさそうにカイトがモガさんを握った――――――
その時···
私が言いかけた時――――――
モガさんは勢い良く、切っ先をカイトの喉仏へ向けた
その風景は、はたから見たらまるで···剣を喉に当てて自害しようとしているようにしか見えない状況だ
モガさんはその後、カイトの喉を本気で突こうとしているのが分かるくらいグイグイと押し込もうとしているのだが····
モガさんを握るカイトの腕は全く微動だにしていなかった
モガさんの動きの速さと強さに、私は振り回されるくらいだと言うのに···カイトって意外と腕力あるのかな?!
カイトが呪文を唱えた瞬間――――
モガさんは急に力を無くしたかのように、切っ先をガクンっと地面に落としたのだった
力を無くしたモガさんは、危うく切っ先を足元のコンクリートにぶつける所だった
寸前にカイトが優しく受け止めていなければ刃こぼれしていた事だろう
カイトはモガさんに傷が付いていないか確認をしたのち、私に返してくれた···