第125話「櫻井一族」
文字数 1,438文字
《黒崎家》
···ゲンユーか
鬼だらけの巣に、乗り込んでいろはを奪還するだけでもかなり難しいと思うんだ
ふん！大した事ねぇだろ！
ホシ猫と夜叉丸だけの問題じゃないだろう？
鬼族に乗り込むなら二人じゃ絶対に無理だし、だからといって他のメンバーを連れて行くなら危ない橋は渡れない
·····ｯﾁ
確かに、今回を逃せばもう鬼の世に行くチャンスはなくなるかもしれないけれど···
カルラを倒すのは無理があるよ
···だがなホシ猫
···ん？
どうやら、その異形のいろはに対する執着は余程のものらしいぞ
それだ
···そもそもカルラといろはの関係って何だよ
うーん、ホシ猫にもそのへんが全く分からないんだよね
異形の執着が酷ければ、いろは奪還自体が危ぶまれるぞ
そうなると結局はカルラさんを倒さないと、いろはさんを連れ戻す事は不可能かもしれないと····
·······
夜叉丸
あ？
····玄宥様が居れば何とかなるのか？
っ？！
それはどう言う意味だいオーマ？
···あまり使いたくない手なんだけど、策が無いわけじゃない
っ！！
一応聞かせてもらえるかい？
·······
まず、策は2つある。
1つ目は、玄宥様の血を俺よりも遥かに色濃く受け継いでいる奴がいるんだ
っ！！！
ほーう、そいつぁどんな奴なんだ？
イトコだよ。
名前は櫻井 鴒(さくらいれい)
っ！！！
さ、櫻井 鴒さん···！
シスコンの叔父様が自分の子供に、あろうことか実の妹の名前とほぼ同じ名前を付けてしまったと言われているあの伝説の！
あ〜···、蓮(レン)のことか？
レンって言うのは誰だい？
櫻井 蓮は俺の母さんだよ。母さんは叔父さんよりも霊力が低いから俺よりは鴒さんの方が頼りになる
伊吹くんの霊力も相当なものだと思いますが···。(まだ開放していないだけで)
なるほど！それはとても頼もしいよオーマ！それじゃあ早速、レイに予定を聞いてみてはくれないかな？
だったら、その叔父さんってヤツを連れてくれば話は早ぇだろーが
叔父さんはいつも忙しくて、今は北海道に出張中だよ
···使えねぇな
因みに１つ気になるんだけどもね、オーマの父は一般人なのかい？
えっ？！
と、父さんは····
アスマは普通の一般人だったが、アスマの父、いわゆるオーマの祖父がどうやら呪術師である可能性が高いという事が分かったのだ
へぇ、それなのにオーマの父は一般人なのかい？
うーん、父さんの事はイマイチよく分からないんだよなぁ
本人に自覚はまるでないし、母さんから呪術師の修行をさせられていたけど開花してないんじゃないかなぁ？
ふーむ、しかし興味深いね。いつか会わせて貰いたいよ
あぁ、それは父さんも喜ぶと思うよ。猫好きだし！
それで、さっさと話を戻させてもらうが、もう一つの策ってのは何だ？
····あぁ
それは―――――
実際に玄宥様を呼び出すんだよ
·····えぇっ？！
っ！！
なるほどな··、しかしマナがゲンユーを口寄せしたとして、ゲンユーはマナの肉体で力を使う事が出来るのか？
それについては大丈夫だと思うよ。以前俺が十二天将を召喚して、マナに口寄せさせた時は問題なかっただろ？
十二天将は百鬼の中でも超級なのだ。マナの肉体を使う事など他愛もなかろうが
ふーむ、イタコの能力も中々奥深いね。試しに一度やってみたら良いんじゃないかな？
えっ？！
皆さん私を何だと思ってるです？！
いいじゃねぇかマナ！
ちょっとゲンユーを口寄せしてみろよ！久々に会いたいしな！
······ｯｸ
し、仕方ありませんね···(これも全てはいろはさんの為です！)
