第114話「本戦」
文字数 1,229文字
《城下町》
先程まで地面にめり込んでいた目一鬼は既に大勢を整え、今度は握り締めていたデカいナタを夜叉丸目がけて振り下ろした
それに対し夜叉丸は目一鬼の攻撃を避ける気もないらしく、むしろ目一鬼の方へ突っ込んで行く
正面から目一鬼に接近した夜叉丸は、ナタが振り下ろされるよりも速く目一鬼の腹に血の刀を横薙に振った
今度こそ目一鬼を捉えた夜叉丸だったが、玄宥は何かを感じているのか印を組み真言を唱え始めている
そのとき叫んだのはホシ猫だった
ホシ猫はこの戦いのさなか、しかもこんな時間帯に何故か普通の人間が歩いている事に気付いたのだ
やれやれ·····
さすがに賭場はもう閉まっていたッス
人の世は店じまいが早くてつまらぬ
夜叉丸の目の前にいた目一鬼は何故か夜叉丸の後ろに移動していた
そして、夜叉丸目がけて再びナタを振りかざしたのだ
玄宥は焦りながらも、先程途中まで唱えていた真言を完成させた
それと同時に夜叉丸の周りには五芒星の青白い結界が光りを放ちながら広がっていく
結界の光に触れた目一鬼の体は焼き爛れ、ナタを持っていた手がボロボロと崩れ落ちていく