第168話「よく食う客」
文字数 2,633文字
◎砂肝イカサラダ×1
◎牛刺身とイカ刺しの鬼辛子添え×1
◎塩漬け豚とイカのペペロンチーノ×1
◎3種のイカのマルゲリータ×1
◎ゆず茶の鬼ポット×1
◎鬼烏龍茶ホット×1
·········
(二人でこの量とは··、結構食いよるッス)
ええ···まぁ、知ってはいましたが、あんなに美しい女性だっとは···
あ、いえ!廃炉さんに想い人がいる事だけしか知りませんでしたので、まさか一緒にお店を経営されているとは思いもよりませんでした
↑真那はゲンユーに体を貸していたので一連の流れから全て知っている
しかし、カルラ様がオーナーをされていた時からタマネギさんが出入りしていたのは知っていた――――
あの美しい女性、お名前はイカタル*さんと言っていたな···
タマネギさんたら····、カルラ様と同じように自らも人間の女性に恋をしてしまったのだろうか····(惚れる気持ちは良く分かるけど)
―――でも、だとしたら今後どうするつもりなのだろう―――
カルラ様とナズナさんの苦悩を目の当たりにしているのに····
···って、人の心配してる場合じゃなかったわ――――
もうそろそろ··、鬼狩りの旅に出ようとしているのではありませんか?
でも、先ずは鬼狩りをする事に慣れなければいけません···。例え、死なない体だったとしても傷付けば苦痛を伴いますから――――
····鬼狩りさんが一番心配していたのは···そこの部分なんですよ?
···一人で鬼狩りなんざさせられるかよ――――、の意味は···いろはさんを傷つけさせたくないと言う意味です
···私だって··本当は一人で鬼狩りなんて··怖くて仕方がないです····
――――でも、夜叉丸の願いを···叶えてあげたかった···
ほ、本当は···、不安でいっぱいで···、よほど夜叉丸に側に居て欲しいって言いそうだったんですよ···?
·····では――――、暫くは私と共に鬼狩りに出掛けましょうね
ふふ、心配しなくても大丈夫なのです!ヤバそうな時は玄宥様を呼びだしますから〜
···はたして伊吹さんは、真那さんが私と共に鬼狩りに出掛けるだなんて話を知っているのだろうか―――――?
あれ程に真那さんを大切に扱う伊吹さんが承諾するとは到底思えないんだけど···
····あ、でも高校生の頃の伊吹さんは真那さんに対して相当辛辣で、荷物持ちをさせたり、悪霊を口寄せさせたり、百鬼を誘き寄せるための囮に使ったりしていたって以前聞いたことが··
――――うん、結構最低だわ
夜叉丸と似たりよったりじゃない?!
だから二人は気が合っていたのね!
ま、真那さんが良いのでしたら、私としてはとても心強いです···っ
そう話していた時、注文していた料理が運ばれてきた―――――
はいッス!
砂肝イカサラダと、牛刺しイカ刺し鬼辛子添えと、塩漬け豚とイカのペペロンチーノと――――――
つーか、アンタら食い過ぎじゃないっすか?!もう既にテーブルが皿でギュウギュウッスよ?!
ちょっ!廃炉さん!!お客様に対して何て事を言うんですか?!いつもの優しい廃炉さんは何処へ―――――
ははっ、ダメじゃないか廃炉。女性にそんな事を言うもんじゃないだろ?君は鬼でも紳士的だったはずだ
げ、ゲンユーの真似をしないで欲しいッス!!余計に腹立たしいッス!
(このお客様は廃炉さんの正体が鬼だと知っているの···?一体どのような関係なのかしら···)
イ、イカタル*さん····!!
心配は無用ッス!!このヒトタチとは何の関係もないッス!!
んまぁ〜〜〜〜〜
(こんな公衆の面前でプロポーズです?!)
タマネギさん···、幸せそうで良かったです――――――
····心配していました。
あの日――――、1人残されてしまったタマネギさんの事を···
···ワタシの事などご心配には及びませんッス―――――
····そう言いかけたタマネギさんは、その後の言葉が言い辛かったのか黙ってしまった―――
若干の沈黙が続きそうだったその時····
い、いや····
お邪魔して申し訳なかったッス··。イカタル*さんのお料理も冷めてしまうッス
う〜む、しかしながら少し頼み過ぎてしまった気がするです〜
と、言う事なので····
もし良かったらお二人も一緒に食べませんか?
まぁまぁ、良いじゃないですか!お店はもう閉めちゃいましょ!足りない分は廃炉さんに作ってもらって!
うん!それは良いですね!!
実は私、お二人の馴れ初めがスッゴイ気になっていたのでついでに聞かせてください!
それじゃあ、この際だし酒盛りでもしながらパーリーと行きますかー!!
な―――――なんて自由すぎるヒトタチッスか····!
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)