第145話「廃炉vs玄宥」
文字数 1,528文字
《春の闇》
そう言うと廃炉は片手を空高く上げた―――――
その時、薄明るい春の闇の空に美しい流星群が発生したかと思うと、それは大気圏で燃え盛りながらゲンユー目掛けて怒涛のように降り注いで来た
廃炉の得意分野である空間移動は実在する物全てを出現させる事が出来るが、力の配分を考慮する必要がある為、発動までに時間がかかるのが弱点――――な筈だった
ゲンユーは咄嗟に神符を取り出し、自らの指を傷付けると神符に血の文字を書き始めた
ゲンユーの真言と共に召喚されたモノ――――
それは業火を纏い真っ赤に染まった巨大な大蛇だった
その大蛇、「騰蛇(トウダ)」は体に生えた薄羽の羽を羽ばたかせながらゲンユーの周りを囲い尽くしていく