第137話「戦闘開始」
文字数 1,554文字
《春の闇》
「春の闇」では現在、激しい戦いが繰り広げられていた――――
鬼女に見初められたオーマは、そのおぞましく歪んだ愛情に必死で抵抗している
鬼女に抵抗し続け、片膝を地に付けていた逢馬は、そのままの状態で瞬時に神符(ごふ)を四枚取り出し両手を広げた
その真言と共に神符は、空中で逢馬の周りを囲うように規律正しく縦に並んだかと思うと熾烈な光を放った
そして光の中で神符は徐々に姿を変えていく
その瞬間、四枚の神符は完全に姿を変え、逢馬を守るかのように君臨している
そしてその姿はまるで東西南北を守らんとする守護神、「四神」の姿だった
東西南北の「四神」と言えば、青龍、白虎、朱雀、玄武である
本来この「四神」を呼び出す場合は、十二天将の召喚として一体づつしか呼び出すことが出来ないが、今回逢馬が使った方法は、神符そのものを「四神」に変換させてしまうという方法だった
超級百鬼である十二天将の能力には劣るものの「四神」一体一体の能力は神符に霊力を込める術師の力にもよる為、使い方は術師次第となる
十二天将は百鬼達の間でも恐れられる存在であるため、目の前の「四神」に対して鬼女はたじろいでいた
注:ゲンユーとクロガネがただただ邪魔に感じるオーマであった
そう言うとレイは、腰にぶら下げている打刀を静かに抜いた――――
その切っ先は鬼女に向けられている
抜かれた刀は目を見張る程に妖しい光を放ち、その輝きはまるで生きているかのようだった
嫌とか刃物とかナメた口聞いてんじゃねえぞ醜女(シコメ)がっ!
夜叉丸にも引けを取らない程の口の悪さの正体···それは、レイの愛刀「恵比寿丸」だった