第122話「真相」
文字数 1,273文字
《鬼の世》
それにしても、鬼の世は現在何やらバタバタしているようだ··
久々に戻ったと言うのに誰かが出迎えてくれる訳でもなく、実に騒々しい様子だった
廃炉はバタバタと忙しない様子の鬼女に声をかけてみた
《ナズナの部屋》
ナズナは自ら命を断った――――
ナズナを気に入らない鬼梗は、ずっとナズナをそそのかし続けていたのだ
「カルラ様の前に出ることも出来ずに何故お前はいつまでも此処に居続ける?」
「自分でも分かっているのだろ?お前はもう既にカルラ様から愛されてなどおらぬぞ」
「そんなに老いた自分を恥じているのならカルラ様の為に死ねば良い」
「今のカルラ様は私を愛して愛して止まないのだ」
「お前は必要とされていない。喰われないだけ有り難く思い、さっさと自害しろ」
と、ナズナに言い続けていた
そして、完全に心を病んでしまったナズナが自害を決意したその時、たまたまカルラはナズナの様子を伺いに行っていた
だが、カルラが異変に気付きナズナの部屋に入った時には、時既に遅く――
ナズナは自ら短刀で腹を刺していたのだった――――
死に際にナズナがカルラへ願った言葉、それは····
「私を見つけて下さいカルラ様···、生まれ変わっても私は貴方の側にいたい··。来世では共に生きられる道を――――」
そう言い残し、ナズナは息を引き取ったのだった
そして鬼族は完全に鬼狩りに構ってる暇は無くなり、人魚族の住処探しに没頭する羽目になる
···のだが、腹は減るので人を喰うことは変わらず、鬼狩りに狩られる事も変わらない
ただその後、カルラが夜叉丸の前に現れる事は現代に至るまで一切なかった