第46話「人成らざるモノ」
文字数 1,314文字
-PM1時15分-
氷月の出現により、人喰い野郎に気付かれちまった
明らかに俺たちに敵意を剥き出している
振り向いた人喰い野郎は、やはり普通ではなく見た目も異質なモノだった
その人喰い野郎はまるで般若のような異形だった
目は白目が黒く、黒目が赤くなっている
口の回りは被害者のモノであろう血液にまみれていたが、歯にはまるで獣のように鋭い牙が付いていた
氷月に手を出されると面倒だった俺は、おっさんからもらった腰の刀を抜き、勢いそのままに人喰い野郎に斬りかかった
俺の刀は人喰い野郎の肩から腹にかけて斜めに切り裂いたが、俺の腕力の無さにより刃が体の途中で止まってしまったのだ··
普通の人間だったら···な
それどころか、人喰い野郎の体はみるみる再生しているように見えた
そして、俺の刀返せよ!!!
丸腰になっちまったじゃねぇか!!
これだから俺なんか··、何の役にもたたねぇんだ
氷月一人まともに守る事も出来ねえ··っ
用心棒すら出来ねえのかよ···!
俺が氷月の名前を叫んだその瞬間だった
一瞬、何が起きたのか分からず、俺も氷月も硬直した··
何故なら、目の前にいた人喰い野郎の首が、音も無く急にポーーンと吹っ飛んだのだ
そしてそのすぐ後、頭が離れた人喰い野郎の首からは血液が凄い勢いで吹き出しそのまま力なく倒れていった