第138話「夜叉丸の本心」

文字数 1,610文字






           《春の闇》

なんて失礼な奴!!
ふん!!単純に思った事をそのまま包み隠さず言ってやっただけだ!有難く思ってもらいたいもんだぜ!!
ギリギリギリ―――――
そのムカつく減らず口をバッキバキにへし折ってやる!!!
お〜怖い怖い、ヒステリックは嫌だねえ。レイもそう思わねえかぁ?!
···俺は口が何処にあるのかって方が気になって仕方がねぇ
····そこかよ
··········
ふ―――ん

アンタ···、付喪神よねぇ?アンタだって百鬼のはずだわ!人にほだされて協力してるだなんて反吐が出る!

はぁぁぁぁあ?!

テメェ、この俺様が人にほだされてるだと?!

そうよ!実際に、そうやって使われてんじゃない!!ダッサイわね!!
フッざけんなよっこのクソアマ!!!

むしろ俺様がこいつらを使ってやってんだ!!

くっ、クソアマですって···?!
(始まった···、めんどくせぇな)

そんな挑発に乗ってんなよ、エビ

うおいっ!!!

俺様を犬のように呼ぶんじゃぁねぇ!!

いつもそう呼んでんだろ···
つーか悪ぃけど、早く帰りたいし強制終了させんぞ



レイがそう言った次の瞬間―――――

一瞬で間合いを詰めたレイの剣閃は鬼女の首を捉え、そのまま鋭い一閃を描いた




·····ヒッ!!!!



鬼女は間一髪、ギリギリで避けたが刀の切っ先はその首を掠めていた―――



っ!!!
(こいつ···、今の攻撃を避けやがった)
グ·····ッ グァァァッ!!



レイの刀が掠めた鬼女の首の傷は微かであり、傷の程度は然程のものでは無いはずだった―――――



グ····ゥゥゥッ!!!

(な、何なのこれ···!?傷口から異常な量の血が流れ出ていくわ···!!大した傷じゃ無い筈なのに!!)

····その様子じゃ、持って10分ってとこだな
ぐぅぅッッ!!

あ、アンタ―――!!···ガボッ

·····!!!!

(こ、このままでは····!)

ふははは!!

俺様にナメた口をきくからだぜ!!!

いい気味だ!!











一方その頃―――――



··········
·········
···そこを退け
退くわけが無いッス
奥にカルラが居ることは分かってんだよ
·········
いろはを返せ··!
···無敗の鬼狩りともあろうお方が人の子を取り戻すのにそこまで必死になるとは思わなかったッス
····あいつは人外だ

もう既に人間じゃねぇ

········
そして···、今後いろはは独りになる
·········
あいつは···、てめぇらの身勝手さに人生を一変させられた犠牲者だ
心配には及ばないッス。彼女はナズナ様として新たな人生を歩むことになるッスから
そして、彼女の側には常にカルラ様が寄り添うッス。残念ッスが··アンタの出る幕は無いッス
そんなモン――――

あいつが望んでる訳ねぇだろ!

···はて、何故そんな事がアンタに分かるッス?彼女はナズナ様を喜んで受け入れるッス···と、言うか····
ナズナ様といろはさんは同一人物なので、記憶が蘇ったら自ずと統合されるッス
っ!!!
カルラ様は昔、婚姻の儀でナズナ様を守るために契約を交わし、ナズナ様の魂に印を刻んだッス
契約だと···!?
·············
なる程な····そういう事かよ

やっと、いろはとカルラの関係性に合点が行ったぜ

···ようやくご理解頂けたようで良かったッス
だが――――、知ってるか?
······?

何がッスか?

いろはの嫌いなモンだよ
·········
好き嫌いのねぇアイツが唯一嫌いなモン···、それは鬼だ!
··········
ナズナだか何だか知らねえが、あいつはあいつだ。テメェらの昔の因縁やら怨念やらを勝手に背負わせてんじゃねぇ!!
···アンタ

意外と――――――



廃炉がいい掛けたその時―――――




···そんなに私と殺し合いがしたいか····鬼狩り
カ――――、カルラ様ッッッ?!
カルラ―――――!!!!!
···貴様を生かしておいた事を今更ながらに後悔している
·········
ナズナは絶対に渡さぬぞ!!
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登場人物紹介

名前 姫城 いろは(ひめぎいろは)

年齢 20歳

職業 大学生


都内ではあるが、県境で沿岸にある集落出身。その集落には毎年行われる豊年祭があるが今年は何故かその豊年祭にいろはが招待を受ける····

名前 姫城 花梨(ひめぎかりん)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの従姉妹

いろはのご近所に住んでいて、小さい頃から姉妹のように育ってきた。いろはにとって大切な存在。

名前 夜叉丸(やしゃまる)

年齢 不明

職業 不明


謎だらけの青年

名前 ホシ猫

年齢 不明

種類 妖怪


妖猫『仙狸(センリ)』人型バージョン

化け猫の類い。人の精気を喰らう必要があるため、死にたくても死ねない夜叉丸の側で精気を拝借している。

名前 黒鉄(くろがね) 

年齢 656歳

種類 妖怪


妖怪『猫又』の人型バージョン

巷では有名な超級百鬼。飼い主の「黒崎陵」とは600年前の記憶を共有しており、唯一無二の存在。当時の二人の事情は『百鬼夜行』に記されている。

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)

年齢 60歳

職業 「黒猫マート」の店長


黒鉄の飼い主

24Hコンビニ「黒猫マート」の店長で、黒鉄の飼い主。迷い猫を保護し育てている。黒鉄とは600年前の記憶を共有しているため、黒鉄からは昔の名前「佐助」で呼ばれている。

名前 如月 歩夢(きさらぎあゆむ)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの元彼

いろはと同じ大学に通う元恋人。色々あったが結局は今でもいろはの事を引きずっている。

名前 佐伯 怜奈(さえきれな)

年齢 21歳

職業 大学生


いろはの元親友

昔はいろはと仲が良かったらしいが、いろはへの嫉妬心が強いため何かと嫌がらせをしてくる性悪女。

名前 新羅 咲哉(しんらさくや)

年齢 20歳

職業 大学生


如月 歩夢の友人

掴み所のない性格だが、何故か女の子からはモテる。たまに闇が垣間見える事があるため歩夢は少し警戒している。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

種類 妖怪


妖怪『九尾の狐』の人型バージョン

狐の姿になる事は殆んど無い。

大昔に人から命を救われている為、人を襲わず同族を食糧としている。大食間であり、その力は脅威と言われている。

名前 北条 莉桜(ほうじょうりお)

年齢 25歳

職業 図書館勤務(公務員)


温厚で優しい口調が相手に好印象を与えているが、実際は周りの事や人に興味がなく、相手がどう感じようと全く構わないタイプ。だがやっぱり優しいのでモテている。

名前 伊吹 逢馬(いぶきおうま)

年齢 24歳

職業 祓い屋&心理学者


両親が極度な霊感体質であり、自らも見事に受け継いだ為、祓い屋家業を営んでいる。大学では心理学を専攻していたのでたまに心理学者としての仕事もしつつ生計を立てている。未だに独身。

名前 十朱 真那(とあけまな)

年齢 24歳

職業 管理栄養士&イタコ


本業は管理栄養士だが、今では貴重な存在である「イタコ」の後継者。本人はイタコであることが嫌な為、実家を継ぐのを放棄して伊吹家に居候している。その代わりに逢馬の仕事を手伝わされて結局イタコをやる羽目になっている。

名前 比企 夜叉丸(ひがやしゃまる)

年齢 10歳

職業 人斬り一家


約700年前、まだ人だった頃の夜叉丸。

親に捨てられ死ぬ間際に比企家の頭首である藤治(とうじ)に拾われ、人斬りとして育て上げられる。

名前 比企 藤治(ひがとうじ)

年齢 32歳

職業 人斬り一家


約700年前、死にかけていた夜叉丸を拾って人斬りとして育て上げるオッサン。

比企家の頭首にして凄腕の剣客。

名前 比企 氷月(ひがひづき)

年齢 10歳

職業 比企家の家事全般


比企家頭首である藤治の娘。

母親は既に他界しており、比企家に住む男共の面倒や家事など全てを担っている。

名前 比企 白夜(ひがびゃくや)

年齢 25歳

職業 人斬り一家


人斬り一家のリーダー的存在。比企家に住んでおり、戦では100人斬りを達成している剣客。左目は損傷し隻眼となっている。

名前 坂本 瑠迦(さかもとるか)

年齢 24歳

職業 調理師


いろはのバイト先である、古民家カフェのマスター。最初はせっかちで強引なイメージだったが、実は優しくて空気の読める爽やかなイケメン。野菜作りが趣味で自家製野菜を店で提供している。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

年齢 不詳

職業 カルラ様の側近


鬼族の頂点であるカルラの側近。真面目で忠実な性格だが、人をおちょくった様な一面があり、いつもカルラに消されそうになっている。あだ名の由来はその性格がタマネギ部隊に似ているためだと言われている。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

etc


廃炉の人型バージョン。趣味が中々良いためイケメンになるが、その性格は変わらない。

名前 迦楼羅(かるら)

年齢 不詳

職業 鬼族の長


全ての鬼をまとめる鬼族と言う貴族の頂点。しかし自分の一族である鬼族にも殆んど興味がないため、鬼狩りに仲間を狩られても面倒くさい程度にしか思っていない。取り巻きにどやされて仕方なく鬼狩りを追い払っている。

名前 姫城 奈瑞菜(ひめぎなずな)

年齢 23歳

職業 料理人


200年程前の時代の中、カルラと出会う女料理人。見た目はとても可憐たが過去の経緯から極度の男性不信。しかし惚れっぽいため、いつも簡単に騙されてしまうようなちょと残念な女性。

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