第153話「番外編∶想定外」
文字数 1,892文字
《高架下―屋台村》
この屋台村―――――
実は先日、TV番組で特集をされた事で信じられない程の混み具合となっていた
それもなんと、「美人店主」としてメインで撮影されたのがまさかのイカタル*ちゃんだったのである
其れにより「イカ焼きタルタル*」の屋台の混み具合ときたら尋常ではなく、廃炉如きがアッサリ会えるような人物ではもはや無くなっていた
廃炉の覚悟なんざその程度である
一応覚悟を決めた廃炉は、屋台村の入口からイカタル*ちゃんが経営する「イカ焼きタルタル*」の暖簾を目指し進んでいった
その間も、この狭いガード下にギッシリと密集する人集りの凄さは言うまでもない
屋台が連なっているこのガード下は、一軒一軒が建物で囲われていないリアカー経営が多く、飲み食いするカウンターは暖簾の下で外になっていた
と、その時――――
見たことのある可愛らしい暖簾が目に入った
お好きな席にどうぞ!
と、その時――――
元気いっぱいの聞き慣れた可愛らしい声が廃炉の耳まで届いてきた
人集りの一番奥側でイカタル*ちゃんの姿を見つけた廃炉は、もはやそれだけでトキメく乙女と化していた―――――
まさかこんな人混みの中で、それも一番奥の端にいた廃炉をいとも簡単に見つけてしまったイカタル*ちゃんに、廃炉は心臓を貫かれたような感覚に陥っていた
一瞬で夢から現実へと引き戻された廃炉は人混みを掻き分けながらイカタル*ちゃんの側へ向かった
廃炉がイカタル*ちゃんから渡されたモノ――――――それは····
イカタル*ちゃんに案内されて入った先―――それは、屋台のカウンターの中だった······
そう言っている矢先にも客からの注文はどんどん入る一方である
サスガに一人で切り盛り出来なくなってきたイカタル*ちゃんはトニカク助けが欲しくて堪らない状態の時に丁度廃炉を見つけたのであった
イカタル*ちゃんの珍しく甘えた声色に一瞬で落ちた廃炉はチョロいもんであった
―AM0時30分―
続く