第11話「不穏な空気」
文字数 1,354文字
－PM2時30分－
《二ツ神駅周辺》
··············
あれから数日が経った···
あの後、私はお婆ちゃんとお祖父ちゃんが寝静まる頃に一度家に帰り、荷物をまとめて、『探さないで下さい』の手紙だけを置いて家を出た····
その後、当然のように行方不明である私達の捜索願いは出されていた···
···これからどうしよう
暫くは、バイトで貯めたお金があるから何とかなりそうだけど···もう大学にもバイトにも行けない··
おいこらっ！
·····えっ？
てめぇ何勝手にウロチョロしてんだ
や、夜叉丸···
無駄に探させんじゃねぇよ、面倒くせぇな！
で、でも私は···
どうせメソメソと今後の事でも考えてたんだろーがなあ、てめぇに自由なんかねえからな！
え··？
どういう意味···？
この間も言ったが、てめぇが鬼になったら俺が困るんだよ！殺せねぇ鬼なんてもうマジ最悪だぜ！マジで！
····お、鬼になんてならないよ
··そんなもん分かりゃしねえ
どうして··？
···鬼って何··？
···この世に人間がいる限り、鬼はいつでも生まれる
鬼がいる限り、俺らはいつまでも囚われたままだ
·············
(囚われたまま··？)
····くそっ！！
こんな終わりのない事を····っっ
夜叉丸···？
っ！
····何でもねぇ！兎に角あんまウロチョロしてんな！
そう言うと夜叉丸はさっさと歩いて行ってしまった···
あ··、
待···っ
いっ、いろは？！！
夜叉丸を追い掛けようとした時、後ろから急に声を掛けられた···！
っっっ！！！！！
いろは！一体どうしたんだよ！？
何で大学にも来ないでこんな所に··
··········
(···何だアイツは)
あ···歩夢···
連絡しても全然出てくれないし···
··········
····もしかして
俺のせいか？
···え？
お··、俺がお前を裏切るような事をしたから··
···あ、いや··
それは···
俺はっ！
あの後、本当に反省したんだ！
···いや、だから···
だから俺は今でも··っ
いろは、お前の事が····
歩夢く～ん！
っ！！！！
っ？！
怜奈···
(怜奈···！)
あれ？
いろはじゃない、何してるのこんな所で～？
···········
もーう歩夢くんったら、急に走りだすからビックリしちゃった～
私を置いてくなんて酷い人ね！
ご、ごめん怜奈···
·············
って言うかぁ、いろはってまだ生きてたんだぁ？行方不明だって言うから死んじゃったのかと思ったわぁ
·············
(···ちっ、面倒事に巻き込まれてんじゃねぇよ)
わ···、私は····
おいっ！
いろは、置いてくぞ！！
····えっ？！
(い、今もしかして名前で呼ばれた？！いや、空耳かも···)
えっ！！ちょっと何あのイケメン！！いろはの知り合いなの？！
··········
(だ、誰だよあの男は···！)
えっと··、彼は···その···
『鬼』···、だなんて言えない··
(···もう、早く此処から立ち去りたいよ···)
(···何でいつもいろはばっかり！！！本っ当に腹立つ···！！！)
(気に入らない···！だから歩夢くんだって寝取ってやったのに！！)
···········
(···ふふ、覚悟しときなさいよ！)
················
