第128話「鬼、捕獲作戦」
文字数 1,784文字
《黒崎家》
夜叉丸、ホシ猫、久しぶりだな
元気にしていたか？
当然。何年生きたって俺たちは変わらねえよ
夜叉丸はあの時から、倍の倍の倍の倍くらいゲスくなったよ
おいこらテメェ、その口に饅頭30個詰め込んで鼻つまんでやろうかあぁん？！
···まったく相変わらずだな君達は
ホシ猫は本当の事を言ったまでさ。いろはは夜叉丸にとても優しいのに、何故あんなに冷たくするんだ
あぁ？！
素直じゃないのもここまで来ると手に負えないね。いつになったら成長するんだ夜叉丸
何の話だホシ猫？！
勝手な妄想広げてんじゃねぇぞ！
········
···いろは。
カルラに拐われた娘の名前か
そうだよ
不老不死と言うのは本当か···？
ああ。前に一度、俺の刀でいろはの首を落とした事があるが··あいつは首だけになっても普通に生きていた
···夜叉丸
お前、女の子の首を躊躇なく斬り落とすとか最低だな
ふん、あいつは人間じゃねえからな。鬼かもしれねぇもんに躊躇なんかするかよ！
だが、相手は女の子だぞ？
そんなんだから未だに独り身なんだろうが
うるせえな！
俺に特定女子なんざ必要ねぇんだよ！！
········
(···いろはがバイトに行った時、それはもうカルラの悪口言ってた癖に)
···つーか、そんな話は時間の無駄だ！
···ふーむ
(長く生きすぎて拗らせてるなぁ)
まぁまぁ、それよりも今はいろは奪還を考えるのが最優先なのだ
っ！！
··これは珍しい、猫又か。
ホシ猫にもとうとうツガイが出来たのか？中々のイケ猫だな
···········
彼の名前は黒鉄だよ
旧友さ
ほぅ、くろが·····
ボワン―――――ッ
···わしはイケメン！だ
イケ猫は嫌だったか
(百鬼の扱いは難しいなぁ)
··百鬼の扱い方を勉強しとくんだな
···えぇっ
心まで読むのか··
黒鉄は神通力を持つ珍しい猫又だからね。戦うと面倒な相手さ
その割には平和主義にしかみえねぇがな
黒鉄は無駄な争いは好きじゃないよ。本来、飼い主の佐助を守るために存在しているしね
あぁ―――、ここの家主か··
とても人の良さそうな方だ
···なら今回の鬼族殲滅作戦に黒鉄は参加しねぇっつーんだな？
そもそも佐助と黒鉄を巻き込む気なんて―――――
――いや、今回ばかりは話は別だ
····えっ？！
オーマとマナは佐助と同じくらいに守らねばならん対象なのだ
わしらにとってはもはや家族も同然。鬼の殲滅になど興味はないが、こやつらを失う訳にはいかぬ
黒鉄···
猫の手さえも借りたい状況だしな。そいつは助かるぜ
上手いこと言ったとか思ってないよね？
いちいちうるせぇ猫だな！！
よし！
じゃあ早速そのすとーかーおにをとっ捕まえに行くか！
しかしね、どうやっておびき寄せるつもりなのかな？
そんなもん簡単だろうが
ほう？
あいつの大学に乗り込むんだよ
···あ！
ーPM4時30分ー
《兼坂大学―エントランシス》
おお、大学か···
懐かしいな
なんだ、オーマも大学生だったのか
ここじゃないけどね
··········
彼の名前は確か···
アユムだったね
あ？
何だ、もう見つけたとか？
いや··、ココは前に来たときもそうだったけど鼻が曲がりそうなくらいに膨大な感情の異臭がするんだ
まぁ、確かに大学は人数も多いし人間関係が複雑な所はあるかもしれないな
以前、ココに来た日からだいぶ経つけど鬼化した人間が沢山いるようだよ
ふん、当然だぜ
不安定な感情が多すぎだ
だけど、俺の通っていた大学はそんなに酷く無かったと思うけどな··
と、その時――――――
なぁ歩夢〜、帰りに何か食ってから帰ろうぜ〜
っ！！！
(あいつ···！)
夜叉丸たちは階段の影に隠れて様子を伺うことにした
え、ぁあ
まぁいいけど
·····
お前最近さぁ、何か変じゃね？いろはに振られてからずっとそんな感じ
···え？
いろはには振られてなんかないけど
··············
ふ、ふはははっ！
イヤイヤイヤイヤ！めっちゃ振られてたじゃん！
···何でそうなるんだ？
いろはは今でも俺にゾッコンだろ
·········
ヤツだ、緑の髪の野郎―――
鬱陶しすぎるぜ
(な、なるほど···、これはストーカー気質だわ··)
(まさにストーカー鬼だよ。いろはに近付かせる訳にはいかないな)
取り敢えず、あの赤髪野郎を緑頭から剥がす必要があんぞ
ふむ、仕方ないな
ホシ猫がひと肌脱ごうじゃないか
毛皮の間違いだろ
夜叉丸、一言余計だから
