第118話「無慈悲」
文字数 2,002文字
《城下町》
ちょっとイラッとした太陰は付喪神?のようなモノに命令を下した
すると付喪神?のようなモノは瞬時に短刀から姿を消すと、廃炉が解き放った大量の武器の中へと移動したのだった
廃炉が驚愕したのも当然だった
付喪神?のようなモノが取り憑いた大量の武器は急に減速し、まるでやる気が無くなったかの様にバタバタと下へ落ち始めている
よく見ると大量の武器すべてに付喪神?のようなモノの顔がくっついていた
全くやる気のなさそうな表情で
まさに怠惰の付喪神、その名も「メンドウ」は取り憑いた武器のやる気を削ぐ事を生業(なりわい)としている最低な付喪神だった
ついでに廃炉のやる気も失せかけていた
そう言いながら、太陰は霧の様にユラユラと少しづつ雲散霧消していった
目一鬼と菫鬼は縛られていて動くことが出来ない···ため、棺桶から骸を取り出すことも出来ない!
と、その時、戦況を伺っていたホシ猫が建物の屋根の上から身軽に夜叉丸達の元へ降りてきた
実は夜叉丸は不完全燃焼していた···
目一鬼の不自然な動き(廃炉の仕業)のせいでイライラがMAXになっていたのだ
鬼を狩ることだけについては妥協を一切しない事もあり、血の刀を肩に担いだままドカドカと2鬼の前まで行き、立ち止まる
イライラMAXの夜叉丸には、もはや誰の声も届かない
鬼に対しては慈悲の1つも持っていない夜叉丸は目一鬼と菫鬼めがけて血の刀を振りかざした
横薙ぎに払われた血の刀は、2鬼の首を見事に切り離し、首はそのまま勢いよく跳ね上がっていく
切り離された胴体からは、血は噴き出しておらず、首の切断面はドス黒くなり細胞が朽ち果てて行く様子が伺われる
そして、無惨に斬られた目一鬼と菫鬼の首もまた、ドス黒く細胞が朽ち果てながら灰となり散亡していった