第50話「運命の日」
文字数 1,459文字
-PM1時50分-
今日は、私の母上が亡くなってから
満12年目の命日だ···。
私がまだ幼い頃に母上は病気で亡くなった
···当時、私はまだ8歳だったけど、その日初めて父上の泣いている姿を見て
あぁ··
母上はもう2度と戻っては来ないんだろう
と、認識したのを覚えている
-PM4時15分-
-PM10時25分-
ガタンッッ
こんなに人の気配がしない比企家なんて
初めてだった···
自分がこれまで育ってきた家が、これ程に恐ろしく感じる事があろうとは···
···でも、例え何かあったとしても、ここに住む人達は凄腕の剣客ばかりだ
そもそも何かが起こる事自体あり得ない··、返り討ちにされるのが関の山だわ
そう思った瞬間、私は今すぐに父上の元へと行かずにはいられなかった
普段、皆が集まっている部屋へと急ぎ
扉を開けたその時だった――――
···いつも皆が楽しそうに集まり、明るかったその部屋は、もはや見る影もない
それはまるで地獄絵図そのもので···
現実とは思えない有り様に私はそれを受け入れる事が出来ず、ただただ眺めているしかなかった···
ギシ···ッ ギッ
ズル――··· ズルズル··
その時、何かを引きずる音と共に何かがゆっくりとこちらへ向かって来ていた
それは····
人とは到底かけ離れた姿の――――
夜叉丸だった····