第102話「カルラの心労」

文字数 1,570文字















           ーPM11時30分ー

        

          《神境二番通り》

·········っ!
いろははね、ホシ猫にとって家族も同然なんだ。家族は守らなければならないんだよ
君が例え、いろはがお世話になっているバイト先の店長さんだろうが、もっと深い関係だろうが関係ないんだ
·········
ほ、ホシ猫さん····っ
············
だから―――

いろはを連れて行かせる訳にはいかないよ?




ホシ猫がそう言い放ったその時、空気がザワザワと淀めき始めたのをその場に居る全員が感じた―――





っ!!!!!
っ!!!
っっ?!
っおい!ホシ猫!!

それは――――――

早く···、ここから去ってくれ
―――ギリ··ッ
ルカ様っ!!!!
っ?!
····っ?!

(だ、誰···?!ルカ様??)

この状況はヤバすぎます!!

早くお戻りを!!



空気の淀みは徐々に激しくなり、気づいた時には近隣に植えられている草木や美しく咲き誇っていた花達は、見るも無惨に枯れ萎れていた




····くっ

こ··っ、これ以上この場に留まるのは危険です!!

····はぁ、仕方ない
まったく···、厄介なものだな

仙狸(センリ)の能力とは···

ホシ猫だって本当はこんな事したくないんだ
·····分かったよ。

今日のところは引き下がろう

ルカさん···?
あ、いろはちゃんは何も気にしなくて大丈夫だよ。明日もまたバイトよろしくね!
·····へっ?!
·········っ!!




そう言うと、ルカと突如現れた男は、夜の闇に消えて行った





夜叉丸、今は放っておこう
ち···っ
(い、一体なんだったの···?さっき突然現れた男性はなに?)
っつーかホシ猫っ!!
ん?
てめえっ!!

なに本気でやってんだよ?!俺まで殺す気か!

···え?!
殺す?何故だい?

夜叉丸はホシ猫程度のボロ猫には負けないんだろう?

ふざけんなっっ!!

昔と今のてめぇの能力の高さは比じゃねぇだろがっ!!

普段てめぇが吸収する程度のもんなら然程じゃねえが、急に本気出すな!
··あ、あの

一体何の話をしているの?

·····いろは、てめぇはほんっっとに何も感じねえんだな
え?!

え···っと〜、空気が何やらザワザワしていたのは感じたけど···

いろはは不老不死だからね。

ホシ猫が精気を吸収しても直ぐに回復するから自分では分からないのさ

···一番のバケモノはこいつか
ひ、酷い·····




ボワンッ―――――




ふぅ、ちょっとだけ疲れたな···
ほ、ホシ猫さん大丈夫ですか?
勿論だよいろは!

能力を爆発させると全てが荒野になる代わりにホシ猫も動けなくなるんだ

荒野に?!
まぁ今回は少し開放しただけだから大したことはないんだけどね
····しかし、あいつ――――

やっぱ···

····?

















サワサワサワ――――――

        《鬼の世》
·········
カルラ様···、久々にお戻り頂けて嬉しゅう御座います
··········
あの日···、私の判断は間違っていた
っ!!!
カ···、カルラ様っ!!

あれは――――

そもそも鬼族の考えなどその程度だ。···だからこそ一族の存続など私にとってはどうでもいい
た、確かにアヤツはカルラ様を裏切りましたが、それだけでは無かった!!あの日は最悪でした!!
あ、あの日は···、一族の者が喰ってしまった人間が櫻井家ゆかりの者だった事で史上最悪の自体にまで··
櫻井家···、ヤツらは陰陽師の末裔だったな
そうです···。櫻井家の頭首とその子息がとんでもない強者により、カルラ様まで出向く事に···

そのせいであの日私はいろはの元へは行けなかった···

まさか、鬼狩りがいろはと出会っているなど思いもよらずにな···!
カルラ様·····
本当に···お前達は私の足ばかりを引っ張ってくれる
···はぁ、いっそのこと滅ぼしてやろうか···
えぇぇぇっ?!?!

こっちを滅ぼすんですかぁ?!

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登場人物紹介

名前 姫城 いろは(ひめぎいろは)

年齢 20歳

職業 大学生


都内ではあるが、県境で沿岸にある集落出身。その集落には毎年行われる豊年祭があるが今年は何故かその豊年祭にいろはが招待を受ける····

名前 姫城 花梨(ひめぎかりん)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの従姉妹

いろはのご近所に住んでいて、小さい頃から姉妹のように育ってきた。いろはにとって大切な存在。

名前 夜叉丸(やしゃまる)

年齢 不明

職業 不明


謎だらけの青年

名前 ホシ猫

年齢 不明

種類 妖怪


妖猫『仙狸(センリ)』人型バージョン

化け猫の類い。人の精気を喰らう必要があるため、死にたくても死ねない夜叉丸の側で精気を拝借している。

名前 黒鉄(くろがね) 

年齢 656歳

種類 妖怪


妖怪『猫又』の人型バージョン

巷では有名な超級百鬼。飼い主の「黒崎陵」とは600年前の記憶を共有しており、唯一無二の存在。当時の二人の事情は『百鬼夜行』に記されている。

名前 黒崎 陵(くろさきりょう)

年齢 60歳

職業 「黒猫マート」の店長


黒鉄の飼い主

24Hコンビニ「黒猫マート」の店長で、黒鉄の飼い主。迷い猫を保護し育てている。黒鉄とは600年前の記憶を共有しているため、黒鉄からは昔の名前「佐助」で呼ばれている。

名前 如月 歩夢(きさらぎあゆむ)

年齢 20歳

職業 大学生


いろはの元彼

いろはと同じ大学に通う元恋人。色々あったが結局は今でもいろはの事を引きずっている。

名前 佐伯 怜奈(さえきれな)

年齢 21歳

職業 大学生


いろはの元親友

昔はいろはと仲が良かったらしいが、いろはへの嫉妬心が強いため何かと嫌がらせをしてくる性悪女。

名前 新羅 咲哉(しんらさくや)

年齢 20歳

職業 大学生


如月 歩夢の友人

掴み所のない性格だが、何故か女の子からはモテる。たまに闇が垣間見える事があるため歩夢は少し警戒している。

名前 宮琵 曄子(きゅうびようこ)

年齢 ???

種類 妖怪


妖怪『九尾の狐』の人型バージョン

狐の姿になる事は殆んど無い。

大昔に人から命を救われている為、人を襲わず同族を食糧としている。大食間であり、その力は脅威と言われている。

名前 北条 莉桜(ほうじょうりお)

年齢 25歳

職業 図書館勤務(公務員)


温厚で優しい口調が相手に好印象を与えているが、実際は周りの事や人に興味がなく、相手がどう感じようと全く構わないタイプ。だがやっぱり優しいのでモテている。

名前 伊吹 逢馬(いぶきおうま)

年齢 24歳

職業 祓い屋&心理学者


両親が極度な霊感体質であり、自らも見事に受け継いだ為、祓い屋家業を営んでいる。大学では心理学を専攻していたのでたまに心理学者としての仕事もしつつ生計を立てている。未だに独身。

名前 十朱 真那(とあけまな)

年齢 24歳

職業 管理栄養士&イタコ


本業は管理栄養士だが、今では貴重な存在である「イタコ」の後継者。本人はイタコであることが嫌な為、実家を継ぐのを放棄して伊吹家に居候している。その代わりに逢馬の仕事を手伝わされて結局イタコをやる羽目になっている。

名前 比企 夜叉丸(ひがやしゃまる)

年齢 10歳

職業 人斬り一家


約700年前、まだ人だった頃の夜叉丸。

親に捨てられ死ぬ間際に比企家の頭首である藤治(とうじ)に拾われ、人斬りとして育て上げられる。

名前 比企 藤治(ひがとうじ)

年齢 32歳

職業 人斬り一家


約700年前、死にかけていた夜叉丸を拾って人斬りとして育て上げるオッサン。

比企家の頭首にして凄腕の剣客。

名前 比企 氷月(ひがひづき)

年齢 10歳

職業 比企家の家事全般


比企家頭首である藤治の娘。

母親は既に他界しており、比企家に住む男共の面倒や家事など全てを担っている。

名前 比企 白夜(ひがびゃくや)

年齢 25歳

職業 人斬り一家


人斬り一家のリーダー的存在。比企家に住んでおり、戦では100人斬りを達成している剣客。左目は損傷し隻眼となっている。

名前 坂本 瑠迦(さかもとるか)

年齢 24歳

職業 調理師


いろはのバイト先である、古民家カフェのマスター。最初はせっかちで強引なイメージだったが、実は優しくて空気の読める爽やかなイケメン。野菜作りが趣味で自家製野菜を店で提供している。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

年齢 不詳

職業 カルラ様の側近


鬼族の頂点であるカルラの側近。真面目で忠実な性格だが、人をおちょくった様な一面があり、いつもカルラに消されそうになっている。あだ名の由来はその性格がタマネギ部隊に似ているためだと言われている。

名前 廃炉(はいろ)

あだ名 タマネギ

etc


廃炉の人型バージョン。趣味が中々良いためイケメンになるが、その性格は変わらない。

名前 迦楼羅(かるら)

年齢 不詳

職業 鬼族の長


全ての鬼をまとめる鬼族と言う貴族の頂点。しかし自分の一族である鬼族にも殆んど興味がないため、鬼狩りに仲間を狩られても面倒くさい程度にしか思っていない。取り巻きにどやされて仕方なく鬼狩りを追い払っている。

名前 姫城 奈瑞菜(ひめぎなずな)

年齢 23歳

職業 料理人


200年程前の時代の中、カルラと出会う女料理人。見た目はとても可憐たが過去の経緯から極度の男性不信。しかし惚れっぽいため、いつも簡単に騙されてしまうようなちょと残念な女性。

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