第5話「読めない感情」
文字数 2,113文字
―PM4時30分―
《黒崎家》
これは夜叉丸が、念願の「人として死ぬ」事が叶う少し前の話である――――
いろはが古民家カフェでバイトを始めた辺りから、夜叉丸のいろはに対する執着が前より激しくなってきた頃の出来事だ
以前、珍しくも花火大会に赴いた事があった二人だが、その時は夜叉丸の下心満載イベントになってしまった為、いろはにめちゃくちゃ怒られた経緯があり夜叉丸の中ではさほど面白くもない思い出となっていた···(らしい)
(↑※このショートストーリーは別サイトにて公開されています↓)
夜叉丸の事は····好きだ―――
ずっと自分の気持ちを誤魔化して来たけれど、もはや誤魔化しきれない所にまで到達してしまっている―――
···けれど、それは口が裂けても言ってはいけない事だと思って過ごしてきた···
···結局、自分は拒まれるのがただ怖いだけなのだ
そもそも業を背負い、長きに渡って戦い続けている夜叉丸にそんな思いがあるとは思えない
····好きだとか――――
こんなくだらない感情を自分勝手に夜叉丸に押し付けてしまうのは失礼なんじゃないかとさえ思えていた
―続く―