第40話 告白
文字数 753文字
体がだるくて気分が悪く、食欲はなかったが、藍と久美に言われ、スープとフルーツだけは食べた。食事の後、薬を飲んで、ベッドに入る。
藍も、夕食の時間まで休むと言って、部屋を出て行った。ソファには、基樹が休めるように、久美が寝具を整えてある。
翔は、所在なげにたたずむ基樹に声をかけた。
「君も、少し休んで」
「あぁ。でも、なんだか落ち着かなくて」
「……そうだよね。こんなことに巻き込んでしまって、本当にごめん」
さっき、あんなに泣いて醜態をさらしたばかりなのに、また涙が出そうになってしまう。基樹が近づいて来て、ベッドのそばにしゃがんだ。
「気にするな。俺は切り替えが早いんだ。自分で一緒に行くって決めたんだから」
「うん」
「でも……」
基樹が言いよどむ。
「何?」
基樹が、目をそらしながら言った。
「増……いや、翔が、危険を冒して会いに来てくれたって聞いて、うれしかった。それに、さっき、必死に俺を助けようとしてくれたことも」
「あ……」
やっぱり恥ずかしい。でも、言ってしまおう。
「物心がついてから今まで、藍以外の誰かと親しくしたことは、本当に一度もなかったんだ。増永たちに厳しく言われていたし、親しくすれば、相手に迷惑がかかることがわかっていたから」
まさに、今のように。
基樹が、すぐそばから、じっとこちらを見ている。
「素っ気ない態度を取っていたけど、心の底では、基樹が屈託なく話しかけてくれることがうれしかった。本当は、もっと仲良くなりたいと思っていたけど、それは絶対にだめだって自分に言い聞かせていたんだ。
それが、ゆうべ遅くにあんなことがあって、突然ここを離れることになって、二度と会えないと思ったら、居ても立ってもいられなくなって……」
だが、そんな自分のエゴのせいで、基樹の運命を狂わせてしまった。
藍も、夕食の時間まで休むと言って、部屋を出て行った。ソファには、基樹が休めるように、久美が寝具を整えてある。
翔は、所在なげにたたずむ基樹に声をかけた。
「君も、少し休んで」
「あぁ。でも、なんだか落ち着かなくて」
「……そうだよね。こんなことに巻き込んでしまって、本当にごめん」
さっき、あんなに泣いて醜態をさらしたばかりなのに、また涙が出そうになってしまう。基樹が近づいて来て、ベッドのそばにしゃがんだ。
「気にするな。俺は切り替えが早いんだ。自分で一緒に行くって決めたんだから」
「うん」
「でも……」
基樹が言いよどむ。
「何?」
基樹が、目をそらしながら言った。
「増……いや、翔が、危険を冒して会いに来てくれたって聞いて、うれしかった。それに、さっき、必死に俺を助けようとしてくれたことも」
「あ……」
やっぱり恥ずかしい。でも、言ってしまおう。
「物心がついてから今まで、藍以外の誰かと親しくしたことは、本当に一度もなかったんだ。増永たちに厳しく言われていたし、親しくすれば、相手に迷惑がかかることがわかっていたから」
まさに、今のように。
基樹が、すぐそばから、じっとこちらを見ている。
「素っ気ない態度を取っていたけど、心の底では、基樹が屈託なく話しかけてくれることがうれしかった。本当は、もっと仲良くなりたいと思っていたけど、それは絶対にだめだって自分に言い聞かせていたんだ。
それが、ゆうべ遅くにあんなことがあって、突然ここを離れることになって、二度と会えないと思ったら、居ても立ってもいられなくなって……」
だが、そんな自分のエゴのせいで、基樹の運命を狂わせてしまった。