第178話 スマートフォン
文字数 808文字
眠れないまま、ベッドの中で悶々としていると、ベッドサイドに置いたスマートフォンから通知音が聞こえた。去年のクリスマス、グレインが、翔と藍にプレゼントしてくれたのだ。
藍は、すぐに使いこなすようになったが、翔は初めのうち、ずっと放置していた。大切な人たちは、みな一緒に暮らしていて、連絡を取る必要がないし、あまりネットに関心もないし、これといって使い道が思い浮かばなかったからだ。
だが、今となっては必要不可欠なものになった。素早く起き上がって電話に出る。
「もしもし」
「翔。もう寝てたか?」
「うぅん。眠れなくて」
「だろうな」
相手は基樹だ。
新学期から高校に復学することになり、基樹は、自宅マンションに戻った。基樹に少し遅れて、翔たちも、グレインとともに洋館に戻った。
グレインは、たびたび財団の建物に顔を出す用事があり、こちらからのほうが断然近い。
藍は、昼間の間、晴を久美にまかせ、やはり復学することになった。そして、翔も。
なかなか決心がつかなかったのだが、やはり、基樹と藍とともに、また学校に通いたいと思ったのだ。二人がいれば心強いし、自分自身も、もっと強くならなくてはいけない。
それに、グレインや晴に対しても、恥ずかしくない自分になりたいと思った。とは言え……。
「明日から、また学校に通うのかと思うと、すごく緊張する」
「大丈夫だ。俺がついてる。それに、同級生は二歳も下だぜ。どうってことねぇよ」
結局、二年遅れになってしまったのだ。
「年齢は関係ないよ」
「まぁな。でも、生意気なガキがいたら、俺がシメてやるから心配するな」
「いや。シメてくれなくていいけど……」
基樹と他愛ない話をしているうちに、だんだん気持ちが落ち着いて来た。
「ちょっと眠くなって来たかも」
「そうか。じゃあ、このまま寝ちまうといい」
「うん。ありがとう」
「あぁ。明日、校門の前で待っているから」
「うん」
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」
藍は、すぐに使いこなすようになったが、翔は初めのうち、ずっと放置していた。大切な人たちは、みな一緒に暮らしていて、連絡を取る必要がないし、あまりネットに関心もないし、これといって使い道が思い浮かばなかったからだ。
だが、今となっては必要不可欠なものになった。素早く起き上がって電話に出る。
「もしもし」
「翔。もう寝てたか?」
「うぅん。眠れなくて」
「だろうな」
相手は基樹だ。
新学期から高校に復学することになり、基樹は、自宅マンションに戻った。基樹に少し遅れて、翔たちも、グレインとともに洋館に戻った。
グレインは、たびたび財団の建物に顔を出す用事があり、こちらからのほうが断然近い。
藍は、昼間の間、晴を久美にまかせ、やはり復学することになった。そして、翔も。
なかなか決心がつかなかったのだが、やはり、基樹と藍とともに、また学校に通いたいと思ったのだ。二人がいれば心強いし、自分自身も、もっと強くならなくてはいけない。
それに、グレインや晴に対しても、恥ずかしくない自分になりたいと思った。とは言え……。
「明日から、また学校に通うのかと思うと、すごく緊張する」
「大丈夫だ。俺がついてる。それに、同級生は二歳も下だぜ。どうってことねぇよ」
結局、二年遅れになってしまったのだ。
「年齢は関係ないよ」
「まぁな。でも、生意気なガキがいたら、俺がシメてやるから心配するな」
「いや。シメてくれなくていいけど……」
基樹と他愛ない話をしているうちに、だんだん気持ちが落ち着いて来た。
「ちょっと眠くなって来たかも」
「そうか。じゃあ、このまま寝ちまうといい」
「うん。ありがとう」
「あぁ。明日、校門の前で待っているから」
「うん」
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」