第47話 コンビニ
文字数 911文字
いつの間にか、うとうとしていたようだ。突然のけたたましい笑い声に、びくりと体を震わせながら目を覚ますと、赤信号で停車中の車の横を、数人の高校生がふざけ合いながら通り過ぎて行くところだった。
自分は、ついにあんな楽しげな学生生活を送ることはなかった。そしておそらく、二度と学校に通うこともないだろう。
苦い思いで彼らを見送っていると、基樹が手の甲に触れて言った。
「大丈夫か?」
「あぁ、うん」
孤独な学生生活の中で、唯一心を通わせることが出来た相手。基樹は大切な友達だ。
それなのに、こんな……。アイマスクの横顔をに顔を向けると、基樹の向こうに、ぼんやりと虚空に目をやる藍が見えた。
小一時間ほど走った頃、増永が、コンビニの駐車場に車を入れた。
「高速道路に入る前に、休憩します。私たちが付き添いますので、お一人ずつトイレを済ませてください」
「私はいいわ」
藍が、ぷいと横を向く。だが、すかさず増永が言う。
「サービスエリアでは警護が難しいので、この先、いつ休憩出来るかわかりません。どうぞいらしてください」
久美も言う。
「私がご一緒しますよ。同胞たちが目を光らせていますから、ご心配には及びません」
「私の言い分なんて最初から聞く気はないし、逃げることも不可能ってわけね」
そう言いながら、藍は乱暴にシートベルトを外した。
あんなに怒っていたわりに、藍は、大量の食べ物や飲み物の入ったレジ袋を久美に持たせて戻って来た。その表情に、すでに怒りの色はない。
「これから、このまま車の中で食事をするって言うから、みんなの分も適当に買って来ちゃったけど、よかったわよね。デザートもあるわよ」
「あぁ、もちろん」
呆気に取られている翔の横で、基樹が答えた。
その後、増永とともに翔が、続いて、このときだけアイマスクを外すことを許された基樹が、増永に付き添われてトイレに行き、車内であわただしく食事を済ませた。
未だ食欲のない状態が続いていて、翔はあまり食べられなかったが、基樹は焼き肉弁当を完食し、藍も、サンドイッチをぱくぱく食べていた。
増永にうながされ、基樹がアイマスクを着けると、車はコンビニの駐車場を出て、再び走り始めた。
自分は、ついにあんな楽しげな学生生活を送ることはなかった。そしておそらく、二度と学校に通うこともないだろう。
苦い思いで彼らを見送っていると、基樹が手の甲に触れて言った。
「大丈夫か?」
「あぁ、うん」
孤独な学生生活の中で、唯一心を通わせることが出来た相手。基樹は大切な友達だ。
それなのに、こんな……。アイマスクの横顔をに顔を向けると、基樹の向こうに、ぼんやりと虚空に目をやる藍が見えた。
小一時間ほど走った頃、増永が、コンビニの駐車場に車を入れた。
「高速道路に入る前に、休憩します。私たちが付き添いますので、お一人ずつトイレを済ませてください」
「私はいいわ」
藍が、ぷいと横を向く。だが、すかさず増永が言う。
「サービスエリアでは警護が難しいので、この先、いつ休憩出来るかわかりません。どうぞいらしてください」
久美も言う。
「私がご一緒しますよ。同胞たちが目を光らせていますから、ご心配には及びません」
「私の言い分なんて最初から聞く気はないし、逃げることも不可能ってわけね」
そう言いながら、藍は乱暴にシートベルトを外した。
あんなに怒っていたわりに、藍は、大量の食べ物や飲み物の入ったレジ袋を久美に持たせて戻って来た。その表情に、すでに怒りの色はない。
「これから、このまま車の中で食事をするって言うから、みんなの分も適当に買って来ちゃったけど、よかったわよね。デザートもあるわよ」
「あぁ、もちろん」
呆気に取られている翔の横で、基樹が答えた。
その後、増永とともに翔が、続いて、このときだけアイマスクを外すことを許された基樹が、増永に付き添われてトイレに行き、車内であわただしく食事を済ませた。
未だ食欲のない状態が続いていて、翔はあまり食べられなかったが、基樹は焼き肉弁当を完食し、藍も、サンドイッチをぱくぱく食べていた。
増永にうながされ、基樹がアイマスクを着けると、車はコンビニの駐車場を出て、再び走り始めた。