17 与えられていた任務
文字数 3,032文字
私たちはみんな当然だと従いました。ポイントは本部にストックされる形になりました。あの日までに200以上も貯まりました。
藍菜ちゃんも上機嫌でした。あの日までは。
あの日……、グリーンはこっちの世界で、生身のままの司令官を襲撃しました。脅迫して本部からポイントをおろさせて、すべてを自分に与えさせました。
そして逃亡しました。
グリーンは本部から叛逆者と認定されている。つまり邪教の奴らと同じ扱いだ。そして、見つけ次第捕らえて本部に突きだすこと。その使命が日本中のチームに与えられている。
モネマグリーン。伊良賀紗助。奪ったポイントを用いてレベルは43。特性は“草原”。そして、こいつのボーナスポイントは225。私たちが貯めたポイントの数値だ
仲間であった者を捕らえて突きだす……。この人たちにできるのだろうか? チームの新しいレッドにできるのだろうか?
ヤマユレッドは、ヤママユガをもとに藍菜さん独自のセンスで名づけられたんだ。
旧レッドの本名は
特性は“虎”と“
レッドに選ばれた時点で大学進学をやめた。『正義をさあ貫くため』と笑った。なのに全てを捨てた。……僕たちも捨てた。本当の家族さえも。
ヤマユレッドも当然叛逆者認定されている。でも、雪月花だけに見つけ次第の
彼女の報酬は“生身での力”。本当の女性の姿でも戦闘力が高かった。
パジャマ姿の隼斗が立ちあがって、大人二人に抗議する。でもその目には、スカシバレッドをかばうだけでなく、ヤマユレッドを失った悲しみも浮かんでいるような。
花と雪は、焼石の情報をコケライトから聞きだそうとしていた。
焼石嶺真。Bランク以下のチームにはアンタッチャブルな堕ちた女。
町田さんは笑うだけだった。
でも、十六歳になる隼斗のお姉さんがアポ無しで見舞いに来て、最初は速見さんを意識していたけど、慌ててサングラスをする俺に気づき、凝視して、その頬が……。
逃げるようにお開きになってしまった。
パワーストーンブレスレットと黄色い財布のご利益を授かりまくったような二十一歳の広尾マダムにきっぱりと言いたい。
清見さんは帰ったので、俺は陸さんと新宿のラーメン屋に行く。お勧めらしいけど、ここって二丁目だよな。
陸さんは戦いに皆勤賞で、いつも一番に召集されるそうだ。常に待機しているのか、もしくは暇なのかは知らない。特盛ラーメンとライス大盛りを頼んで、うふふと俺に笑う。雪月花ほどに怖い。
こっちの世界のイエローが俺へと微笑む。密室にこの人と二人を不安に感じたが、俺はシルクを信じる。
カラオケボックスの部屋には、受付が勘ちがいしたのか先客がいた。
エリーナより背高いけど、ほどよくボリューム感があるスタイル。オフィスから抜けでたような服装で、ウェーブがかかった長髪。テレビで見かけるレベルの綺麗な女性だ。館内禁煙なのに、煙草をふかしている。
深雪はしっかりと叱っておいた。目も覚まさせてやった。
紅月は覚ませられない。貴様がいやしく望んだ報酬からな。
私のチームをばらばらにしやがって
陸さんが、ガラスの破片に頭をつけて土下座する。
ベットから転げ落ちる。先ほど食べた麺を床にぶちまける。
尋常でない寝汗。暗黒に包まれたようで、また悲鳴をあげる。また嘔吐する。
体中が震える。おのれの吐瀉物の上を転がりまくり、やがてうずくまる。
暗闇と絶望。寒い。怖い……。
桧が部屋に入ってきても、俺は隅で震えるだけだ。怯えた目を向けるだけだ。
おそらく俺はスカシバレッドに転生させられて、即座に殺された……。