20 キバタンはもう見たくない
文字数 2,182文字
私も落ち着け。隼斗はレベル100を越えている。ペナルティを受けたとしても、まだまだ健康。エナジー枯渇の苦しみだって、ずっと病と闘ってきたのだから、あの子ならば耐えられる。
とにかく下界にいる三人をレイヴンレッドから守らないと。
エリーナブルーが二人と合流する。
モニターがただ一人の敵を映しだす。
背丈は185センチ。がっしりしているけど均整のとれた体格。黒づくめの服装の四十近い男。データだと整髪剤で固めたオールバックだったけど、今はツーブロック。どっちにしろ、色気ある大人の男。
唯一の弱点であるハッチ結合部が切り裂かれ、レイヴンレッドが現れる。
妖艶な笑みを浮かべる……。
アメシロが独断で叫ぶ。
地上を写すモニターには巨大な黒い悪魔が映しだされていた。
名称 ハデスブラック
所属地位 親衛隊隊長
特性 冥王星 玄武岩 貪
ライフ 475/475
コンディション 99%
レベル 計測不能
ボーナスポイント 400
特記 スーパームーンのみ対応
与那国司令官が操縦席に座る。
ブルーがハデスブラックの巨体に向かう。
エリーナブルーの悲鳴が途絶える。
悪魔の咀嚼音――。
雪月花の端末を握ったまま、深雪が悪魔に持ちあげられる。
逃れようとして、爪で裂かれる。地面に叩きつけられて、また持ちあげられる。
瀕死の獲物を弄ぶ……。
レイヴンレッドがこちらへと歩む。
さみしげな顔をする。
やけくそに笑いながら端末を押す。
本部からメッセージが届いた。要約すると、お前らは全滅を免れて良かったな。ハウンドピンクは仮面ネーチャーとかと交戦していたので、腐れ巫女が追跡される恐れなし。
だとしても、レジスタンス中軸である関東管轄を危険に晒した行為は赦すまじ。この期に及んで誰も敵にケツを向けないように、見せしめに叛逆者に認定だとさ。
……本部と月だけ無事なら問題なし
あいつは二度殺される……。
気づくとレインホワイトはアメシロに戻っていた。