04 参謀ガールは同級生
文字数 2,297文字
目覚めたら真っ暗な自分の部屋だった。
まず胸を確認する。男に戻っていた。ベッドから降りる。靴を履いたままじゃないか!
服を着たままで寝ているということは、あれは夢でなく現実か、夢遊病だかになったのだろう。疲労感はない。
和食屋のバイトが終わってそのまま駅に直行したから、白い渦が現れたのは夜十時半として、今は深夜二時半。体はどこも怪我していない。だとしても夢であるはずない。
母親を起こさぬように足音を忍ばせてバスルームに降りる。……妹も寝ているな。よかった。
裸になっても鏡には、ありふれた顔の俺が写るだけだ。さらには、こざっぱりした特徴もない髪型。中肉中背の平均的な体。潜入者にもってこいかもしれないのが、水たまりに映った女の子を思いだす。すれ違った百人が振りかえり目で追う容姿……さすった肌も思いだす。シャワーを浴びて眠りなおす。
モノクロの彼女の顔が浮かび、まったく寝付けなかった。
おかげで翌朝は寝過ごした。
冷めた朝食を食べる俺にそう言って、母親は出勤していった。
今日は金曜日なので大学の授業はある。来週から前期テストが始まる。どちらを選ぶべきか。
俺はオウムとの約束を選ぶ。自宅の最寄りの駅で改札に引っかかる。
アメシロとかいうオウムは俺を知っているようだった。通学に使ったこの駅を指名したことから、推測するに高校時代の同級生。俺は部活とかに所属していなかったから、同じクラスの奴だろう。女らしいが、親しくした女子なんて絶滅危惧種ほどしかいない。というか、超短期間付き合った子以外に顔を思いだせるのもいなかった。
指定された店だと思われるチェーン店のカフェに十一時五分に到着する。入り口前で腕を組む同年代の女がいた。
こいつならば知っている。一年と二年で同じクラスだった、
高校時代黒髪のショートヘアだった木幡は、茶髪のショートヘアになっていた。縞柄のシャツに紺色ジーンズ。俺に気づき眉間に手を当ててため息をつく。すぐに顔を上げる。
すたすたと歩き、一番隅の席をキープする。……こいつがアメシロか。鳥になど変身するうえに、名前の由来はアメリカシロヒトリだよな。
高校時代にクラスを仕切っていた彼女を思いだして、なんだか嬉しくなった。こいつより俺のがかわいいし。
久しぶりとか、言いあえる仲でもなかった。担任とか共通の話題も盛り上がらないだろう。
大学名を伝えると、「私は」と俺より随分偏差値の高い学校名を挙げた。アドレスの交換を終えると、すぐにメッセージが届く。
送られたメッセージを箇条書きだ。ちゃんとに読みたい人は恐れ入りますが本編をご覧ください。
・モスプレイはエネルギー不用の地球にやさしい漆黒の攻撃ヘリコプター。指令室を兼ねる。エナジー弾を無制限に撃てる破壊されても何度でも復活する。撃墜されたのは一度しかない。
・スカシバレッドの状態で怪我しても、実社会で眠りれば元気に復活する。実体に戻るのは最後に熟睡した場所。電車などで爆睡しないほうがいい。
・ペナルティ。スカシバレッドが死ぬと償いを求められる。負のスパイラルが始まる。なので我が隊は仲間の命優先で活動している。命は大事に。
・報酬。ミッションを達成すると、本部からポイントが送られる。スカシバレッドの能力があがっていく。更には現実社会の君にも何かしらの恩恵がある。何が高まるかはおいおい気づく。ペナルティはこれと相反することが多い。
・敵は雑魚から親衛隊など様々な強さがある。関東管轄にはAランクの魔法少女チームが存在。Fランまで落ちたモスガールジャーは彼女たちの前座や運搬、後始末業務が主。
・モスガールジャーはどちらの姿でも仲よくやっている。SNSでもグループを作ってある。祝勝会も復活するだろう。
敵のことはここに記せない。あの四文字はNGワードだ。滅多に口にせず、ネットへの書き込みや検索など
特性は、精神エナジー同様に
ちなみに向こうは、この力を精霊の力と呼んでいる。かわいいので、私はそっちのが好みだ。
スマホだとさすがに指が疲れてきたから、私からの説明はこれぐらいにしよう。あとは茜音に聞いてくれ。
以上だ。