20 蒲田駅から27時間が経ち
文字数 2,627文字
あなたは妹ちゃんだよね。智太君はあなたの写真も保存してあったから、子どものときの以外は削除しといたよ。じゃあね』”
でも、そこまでの容姿かな? 中身はともかく……。
だったら、シャワーを浴びて今から私とデートしなさい!
蒲田で行進して、
大田区のビルでカマキリや一個小隊や親衛隊隊長と戦って、
江東区のマンションでぬるいコーラを飲まされて、
追いだされて拉致されて、
中学生の運転で逃げて、
藍菜と蘭さんが一触即発で、
無人島で果し合いをして、五人衆が乱入して、
港区まで追いかけられて、
ようやく家に着いたのに。
『お前が助けられたのは間違いない。そいつがお前に惚れたのも然りだ。
それでも、お前や私たちの情報を握りつぶすはずない。おそらくお前をあの団体に誘うための材料にする。
だが様子見だ。
焼石はお前よりはるかに賢い。お前に無理やり好意を持たされたと気づくに決まっている。
彼女ならば、愛は盲目の振りをして近づき背後から斬りつけるかもしれない。
彼女とコンゲームをして誰も勝てない。
……お前はこれらの件を黙っておけ。味方から拘束される』
お前呼ばわりを連発されたけど、賢くて冷静で女性関係に長けた清見さんが言うのだから、その通りにした。布理冥尊に入るはずないし、本部からやさしく詰問されたくないし。レイヴンレッドに背後から刺されたくないし……いつか正々堂々とぶち倒すだけだ。
敵前逃亡は、夢月は特例で反省文で許された。俺はいなかったことで処理された。
いずれの件も命は大事に。
今回の任務は、布理冥尊が悪用する、政府が極秘裏に打ち上げた人工衛星を破壊すること。
高度300000メートルという宇宙空間に存在するそれに高位エナジー弾を照射するために、モスプレイも成層圏を越えた。(ちなみにモスプレイのプロペラは飾りだ。俺やブルーに羽根がないのと同じ理屈で飛ぶ)
大気圏に再突入した際に機内が電子レンジになるのではないか、モスキャノンを水平照射した衝撃で地球の引力圏から離れて宇宙をさまよう羽目にならないか、いろいろ危惧される作戦だが前例がないから仕方ない。司令官の言うように、おそらく大丈夫なのだろう。
その代わりに報酬がすごい。なんと破格の1000ポイント。
残念なことに、奴らにはモスプレイがない。
……あのポイント量を考えると、本部は私たちが戻ってこないと思っていないか?
私は正義のために死ぬのは惜しくない。問題は宇宙空間で喪失した精神エナジーがどうなるかだ。
まあいい。司令官の悪運を信じる
ブルー レベル 68(プラス27) ライフ 67
イエロー レベル 59(プラス30) ライフ101
ピンク レベル 83(プラス38) ライフ 58
レッド レベル159(プラス33) ライフ238
俺は高レベルになったから、伸び率が(これでも)落ちてきた。しかしいよいよ一撃で柚香を越える。
それにしても若いからか、ピンクのレベルの伸びが高い。地方幹部でも上位クラスになる。
一度死んだイエローはレベルは一番低いのに、ライフもバストも三人で断トツだ。一度のミッションでレベルを取りかえせるので乗り気、でもない。
モスキャノンもついにおこぼれで、司令官が恋い焦がれる高位エナジーを集結させた精細照射が可能になったらいいねらしい。
地球に帰って来れたら、おそらくチームはBランクに返り咲く。
今はどのあたりにいるのだろう?