２４ 日輪に照らされる
文字数 2,889文字
偽りの月はあなたの目前で消滅する。それも導きかもしれません。
あなたはあなたの力でおのれを守りなさい。裏切り者である欺瞞の海獣を倒せば、あなたは弱った私のもとへ導かれる
岩飛さんが私の感情に気づいた。這うように後ずさる。
偽りの月がいる限りは
……あの人を呪えだと？ 悪のくせに天使みたいなあの人を？
なおも籠るは、滅びの光。
だとしても、この人とは争わない。まだ。
私の後継者よ、素晴らしい感情です。月は陽の光を浴びて輝くのです
そして、あなたは隠していた感情を実現するため、私のもとに現れる。
……パックはさきに来なさい
サイレンの音。岩飛は心に花鳥風樹を思う。端末が現れる。
年下の子たちとのわずかな時間の生活。後悔しまくりの人生に、与えてもらえた安らぎ。だけど最後に残った者の役割。部屋の自爆装置のボタンを押す。自分に持ち物なんてない。ラッコのぬいぐるみだけ取りにいく。
ﾖﾛ
あと九十秒しかないっすよ。
行きますよ。結界をお願いします
夏目藍菜に戻ったら入院だ。ははは
シートに寝転がっていたスカシバレッドは、与那国司令官の豪快な笑い声に起こされる。モスプレイの中には俺と司令官、アメシロしかいない。シルクもすでに離脱している。
星空義侠団を東海チームに引き渡してすべてが終わった。本部の人間は来なかった。
寝たままでいいから聞いてくれ。まずは良い話をしよう。
お待ちかねのポイント分配だ。スカシバレッドの当初レベルは１８８。そこから配分すると、すべての戦いに参加した貴女はプラス１４でレベル２０２だ
魔女との戦いは君と深雪君しか参戦していなかった。なのでポイントはトリオスと二人で分けた。当然だが我々が八割の取り分。ゆえに彼女も規格外になった。
キラメキ君も参加した戦いが多かったので、１００を超えた
ハウンドピンクが本部直属になった。それに反抗して、花鳥風樹とスーパームーンが本部二名を倒した
断るならばお前たちも抹殺すると、特別なお言葉を頂戴した
……夢月さんは無事です。端末を握りながら眠っています。離脱して、いまは深雪さんの部屋です。彼女も寝ています。起こさないであげてください』
端末に告げて切る。また目を閉じる。
死んだならば永遠の闇に閉ざされる。だとしても、なにより桧。大事なのは夢月だけじゃない。そのために夢月に頼れ、すがれ。
この子にはだらしない姿だろうと。
前半完
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