13 伊勢志摩に頂点たちが集う
文字数 2,085文字
三人だけの時に、夢月の手に紅いマントが現れる。
水着姿になった夢月を見て、茜音の顔色が三重の海より青くなる。
俺を殺したときよりはるかなる、蘭さんの怒り。夢月は粘ったけど。
蘭さんはきょろきょろしながら、スカシバイクの収納にマントを乱暴に押しこむ。俺に鍵を返しながら。
定員八名ほどの細長いボートに、雨笠をかぶった船頭が棹を持って待っていた。関西組はすでに乗っている。
大型バイクを乗せたら沈みそう。有料駐車場に有料で停めて、最後に船に乗りこむ。
亀田が白髪のそこそこ美人に変身する。タキシード姿で海に飛びこみ、船を後ろから押す。一気に加速される。
蘭さんは答えるけど、つわりもあるだろうし、おなかの赤ちゃんに何かあったら……。それでも付き添ってくれるのは、夢月が心配だからだ。
すでに戦場モード。
夢月が含み笑いをした。不安だ。
おいしいルール。170台の金銀ならばファイナルアルティメットクロス二発で倒せる。つまり一撃で退場させられる。大技扱いしなかったことを後悔させてやる。
もうかよ。漁船は近くにないけどホテルは見える。どうせ結界で隠すのだろ。
船は急傾斜の島に接岸して、八人は降りる。
桑原が蘭さんを過剰なまでに手助けした。いい奴じゃないか。やっぱり正義の味方だ。
残った船頭の手に端末が現れる。この人も正義の味方だったのか。
島は樹木に覆われているけど、中央にバスケットボールのコートほどのスペースがあった。接近戦だ。
穂村が赤いタキシードになる。レオフレイム。さらに
浴衣姿と変わる。真スーパースター“燃える京娘”。耳にかかった髪をかきあげる。
ぞくりとしてしまう。
二人のそこそこ美女も浴衣姿になる。タガメとクワガタの模様……。
夢月と茜音が、裸になって抱き合うために森へ消える。
かぐや姫とレインホワイトになって、樹上を越えて現れる。……スーパーになる時に抱き合わないと、茜音はアメシロのままだよな。わざわざかぐや姫に戻ったのか。
俺も手に仮面ネーチャーの端末をだす。
他に誰も名乗らなかったけど、叫んでしまったから仕方ない。ティアラが傾いてないかチェックする。
広場中央の端に稲葉さんと蘭さんが立つ。
トリオスと俺たちは両端にそれぞれ並ぶ。中央には紅月。俺はアギトゴールドと向かいあう。
まずはこいつを狙う。
直前で紅月が不吉なことを言う。
かぐや姫が両手を空に広げる。
脊髄が凍るほどに不安だが、トリオスに目を向けると。
レオフレイムの前に炎が蓄積されだした。
アギトゴールドが炎をよいしょする。マグマのごとく膨らんでいく……。
回転しながら俺たちへ向かってくる……。
かぐや姫が頭上に目いっぱい円を描く。
とてつもない紅色の光が発せられた。
目前まで来た炎のサント号を飲み込む――。