名称 ダチョウラブラブ
所属地位 ねぶたランド支部長
特性 駝鳥 弄
ライフ 88/88
コンディション 99%
レベル 101
名称 セイントアロー
所属地位 星空義侠団団長
特性 天馬 剣闘士
ライフ 195/195
コンディション 99%
レベル 176
スカシバレッドが続けざまにソードを交差させる。くそっ。陸さんは何度目だ? 芹澤だって。
でもよろめく。ダチョウの精霊はジャンプして避ける。
ダチョウにとどめを刺すべく赤いXが金色に飲み込まれる。
『レッド冷静になってくれ。二人は直前で離脱させた。いまは高度5000メートルに位置するモスプレイの中だ。シルクイエローは何しに来たと思わずに、さすが司令官と感銘だけして欲しい』
仮面ネーチャールートで変身したのに、モスウォッチが腕にある。変身と転生を同時にしたのか。
『必殺技をだせる瞬間に二人をまた送りこむ。
深雪も招集した。アメシロ君、スピーカーモードにして、それを伝えてくれたまえ』
『裏切り者のセイントアロー聞け! 白滝深雪が現れる。その二人に手をだしたら……ペンギンに手をだしたら、彼女は私情を捨てる!』
スカシバレッドは抜きかよ。参謀は私情を捨ててくれない。
ズガジバレッドの中の人。強ぐて優しそうな目のくせに、冷血
噂は流れている。柚香の身も心も弄んだすえに捨でたな。しかも、盟友のかぐや姫を選んだな。
腐れ外道め
相生智太は彼女の身を穢していない。キスを何度かしたまでよ
やがまし!
あの子とキスしただと? 東京もんが……。
おでは彼女と戦う。戦いで悲しみを癒してやる。蝙蝠である彼女の得意とする洞窟で待つ
この男の目を見れば分かる。こいつはレベル上位の深雪と戦い、彼女のために敗れるつもりだ。
そんなのは彼女の悲しみを増やすだけよ。ならば私と勝負しなさい
着替えたばかりの戦闘員たちが消滅する。ダチョウも浴びまくる。
セイントアローから、さらなる怒りのオーラが湧きあがる。
セイントアローがきびすを返す。坑道へと駆けていく。
『深雪と連絡とれた。いまは清見さんの病室。五分後に転生させる』
『それまでは南極トビーを先頭に追い詰めるように。あのタイプは降伏しない。倒すつもりでいて』
柚香が現れる……。スカシバレッドは罪悪感と巨大ペンギンとともに坑道に入る。レベル上位者を追う。
廃坑は狭くて明かりはまったくない。スカシバレッドは籠手からのライトを頼りに、黒ビキニに戻った岩飛を抱えて低く飛ぶ。ペンギンだとデカすぎて、すぐに挟まってしまった。
岩飛が感心するけど、俺が貞操シールドを発動させてしまうのはもはや紅月だけ……それと、この子だけ。
それより焼石さんはいないでしょうね。私は鳥目ですからね
いまださん付けなのは仕方ない。こいつが鳥目であろうがなかろうが、いまのスカシバレッドはレイヴンレッドに勝てない。
……やめるべきっすよ。そこに巫女が現れたら、別の修羅場が起こるかも
『まったくだ。かってに呼んだらまたぶっ飛ばすからな。腐れ外道はトラップに注意しろ。義侠団は熊捕獲用にドラム式罠を使うらしい』
アメシロが割り込むが、そんなものに引っかかるか。などと思っていたら坑道が分岐した。
私は隠密系なので、戦いの場でも裏方さんです。
それよりも、南極トビーのブリザードは身を削りますよね? コンディションは大丈夫でしょうか?
ならば次の層に降りた瞬間に精霊になられるように。
頭が突っかかる程度の広場があり、そこで星空義侠団のうち十二名が待ちかまえております。タイプとしては傭兵たちに似ていますが平均レベルは50を越えています。近衛エリートに近いですな。
スカシバ殿、先手必勝ですぞ。降りるなり赤い正義の光ですからな
この子は想像以上に頼りになるかも。スカシバレッドは見えないアナグマへと強くうなずく。
『ちょっと待って。――司令官、そこまでの人数の仲間相手に問答無用でいいのか?』
『古い知り合いだろうと裏切り者は赦さない。廃坑入り口に到達。ただ今よりレベル100以下を一掃する』
あの夜以来に聞く声。なのにスカシバレッドの耳に防音ヘッドホンが現れる。
超音波が廃坑奥深くまでをも掻き乱す。スカシバレッドは鼻血を垂らす。
『あとは中にいる奴らでやれ。私は撤退するから指示をよろしく。ださないならば、かってに離脱して敵前逃亡してやる』
たしかに洞窟のコウモリ最強かも。柚香は姿を見せずに去っていくのか………………?
スカシバレッドの腕のなかで、黒ビキニの岩飛がぐったりしているではないか。
絶え絶えなアナグマも姿を現す――。すべてが金色の光に照らしだされる。
いまのは柚香の声だよな? なして仲間だったみんな倒す?
鼻血と耳血を垂らしたセイントアローが浮かびながら来る。
なしてそんた子になった? ……おめのせいが? おめのせいだな!
スカシバレッドへの殺意。その手になにも現れない。剣闘士のくせに拳を握るだけ。
こいつは今までの敵と違うと感じる。勝てないかもと感じる。しかも狭すぎる戦場。飛龍であるスカシバレッドには圧倒的に不利。だとしても。
黒ビキニを地面へ静かにおろす。その両手にスピネルソードが現れる。
勝てなくても道連れにしてやる。それぐらいならできる。
俺はスピネルソードを投げる。セイントアローは金色の籠手で跳ね落とす。
現れたシルクイエローが俺の右手を握る。左手をキラメキグリーンが握る。
同時に叫ぶ。
残酷な螺旋が坑道を赤と緑と黄色に照らす。
連発こそ必須。
セイントアローはなおも立っていた。その膝が落ちかける。
俺の膝も落ちかける。
キラメキグリーンが俺の手を離す。
限りなくクリティカルな一撃。セイントアローが吹っ飛ぶ。そのまま動かない。金色の輝きが消えていく。
スカシバレッドの手に手錠が現れる。
※2021年初稿。
上島竜兵さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。