１２ 嵐の前の親睦会
文字数 2,371文字
蘭が会釈する。待ちすぎると水族館に行けなくなる。
この人が立会人で、西のレジスタンスを長らく支えてきた
そっちがスカシバ君と噂のオウムさんか
お二人はもう待ってるで。
ｻｸｻｸ
獅子はそろそろかな
背の高い色男が縁なし眼鏡の奥の目をひん剥いて言う。
正義の心が発動しかけたけど、俺たちへの怒りが培養されたゆえの顔だ。とは言っても高そうな服を着崩して、堅気じゃない匂いが見え隠れする……。堅気に決まっているけど、この人がアギトゴールド。特性は
……あんたが赤モスかい。先日は助けてやったのに、えらいことしてくれましたな
サント号撃墜の主犯が、向かいの亀田に言う。
亀田のおでこに血管が稲妻のように浮かんだ。
蘭さんがＪＫを引きずって室外に行く。
こっちサイドは俺と茜音だけが残る。
あの子は頭がおかしいのです。すみませんでした！
半年で卒業ですよね？ 進路はお決まりですか？
茜音が頭を下げたうえに健気に話題を振る。
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ほむちゃんは二年生だから、あんたらと学年一緒や
こいつらはね、もともと二人でコンビザスーパースターしてたの。
その時から女性に変身してたわ。うけ狙いちゃうで、あんたらと同じ作戦や。
穂村は気にいらないみたいだけどね。あの子は自分よりかわいい子しか――
穂村が焦ることなく入場してきた。
桑原と亀田の目じりが下がる。彼女は夢月と目を合わせようとせずに俺の前に座る。服装よりも胸よりも、引きつけられるように顔へと目を向けてしまう。
……あんたは優しかったと
これこそ須臾にして久遠！ 俺はまた巡りあえた。
柚香も夢月も桧もどうでもいい。整いすぎじゃないのに絶妙なパーツの配置。愛嬌に満ち満ちたかわいさ。なのにかすかに憂いある瞳。まさに博多美人と京都美人を足して二で割った美貌。いや割っていない。
両隣の男たちの真なる怒気など関係ない。俺たちはひたすら見つめ――
分からないのなら、二人だけで戦いましょう。屋上でいい
穂村！ けったいぬかすとどつくで、ほんまに！
蘭、食事は後にしよ。こりゃ、なに食ってもおいしくないわ
