23 チェイスオブボンチ
文字数 4,083文字
ピンクが言うけど、天気など帰りも含めて心配ない。
ここからだと俺の住まいの最寄り駅に池袋線で一本だ。でも特急にも各停にも乗る必要なし。転生が解除されると我が家に直行。
それに夢月と敵前逃亡し港区のビジネスビルに戻されて、あることに気づいた。
ベッドで寝なければ布団を靴で汚す心配はない。
ここ数日、狭い庭にクロ子と一緒に寝ている。これで戦いが終わればテントにリターン。母に一時間も怒られる恐れはない……。
今日は干してきた。相生智太に戻ったときは、庭に直接寝ることになるのか、物干し竿のシュラフにくるまるのか……。
低空をゆっくり何周も捜索しても、表示される範囲も色も変わらなかった。誤作動の可能性も捨てがたいけど、全員が人に戻り範囲内を地上から捜査する。半径1キロメートル以内だから充分に徒歩で探せる。
チーム編成はモスの二人と、雪月花の二人。
知らぬ間に、そう決まっていた。
ピンクが俺にハイタッチを求める。
隼斗は(中二になって)背が伸びはじめたみたいだけど、スパローピンクは小柄で童顔なままだ。それでいて、あれは雪月花の一部の二人より生育されている。一部の性的嗜好の人間には拝まれそうだが、俺は性的倒錯者でないので目を逸らし、かぐや姫と巫女を見る。
我々はブルーの忙しさがもうじき一段落する。そしたら合流する。イエローからも、何かあったら召集してくれとグループSNSに返事があった。こちらは全員そろう。
雪月花は離脱していい』
深雪とアメシロの回線が終わる。モスウォッチを返してもらう。
ミカヅキリムジンは小学校中庭の裏の裏に着地する。快適な乗り心地だった。
相生智太は昂りはじめている。
隼斗が俺に見せる。色は紫に、現在地と右下の細長い丘陵地帯がズームされていく。セミが鳴いている。人通りは少なくない。
公園へのアスファルトの坂道。車に注意しながら、二人は汗を流し登る。池が見える。
大きな駐車場に到着。車がやけに少ないな。こんなものなのか?
自動販売機で水分補給しながら、端末を確認。紫はさらに濃くなっていく。範囲は狭まっていく。俺でも緊張してくる。雪月花も反対側から向かっているとのこと。さすが竹生夢月。
隼斗は何か言いかけて、レッドに従う。
見晴らしのよさそうな丘へ登る狭い道。降りてくる車に道を譲る。セミがうるさい。
ウサミンミンとレイヴンレッドもいたらどうなる? 俺の欺瞞の魅力に囚われたままならば奴に地獄を見せられる。でも気づかれているならば、生身の俺こそ地獄を見せられる。
ある団体とは布理冥尊に決まっている。ならばマンティスグリーン。
……了解。我々の任務はターゲットの確保に変更。
公園南端に直行してもらいたいが、あなたたちは一般人に注目されている。なので転生できない』
残った車から降りてきた三人が俺たちを見ていた。おとなの男性二人と高校生ぐらいの女の子。空色のワンピース姿で肩にかかる黒髪。眼鏡をかけた真面目そうな子。160センチぐらい。胸は程よくある。
この子が俺を見つめている。見覚えなさげだけど、この眼差しは――。
……餌を両方奪われた? 月相手とは不運だが、
……感謝する。
……そりゃそうだ。雪月花そろったら、こちらも撤退する。おのれの命は大事だしな
汗まみれの隼斗が俺を見上げた。
がさがさと、藪から音。若い男がアスファルトにでて膝に手をつき息をととのえる。何かから逃げてきたかのよう。
彼は顔を上げる。
男の体が白い綿毛に覆われる。女の子が悲鳴をあげて気絶する。
男は体に力を込める。
スカシバレッドとスパローピンクが現れる。
伊良賀紗助の上にも……。
おぞましいバッタの怪物が現れる。
『し、識別完了』
茜音の冷静を装う声。
名称 メーポポ
所属地位 親衛隊
特性
ライフ 156/156
コンディション 99%
レベル 176
ボーナスポイント 100
特記 単体時でBランクチーム上のみ対応
名称 マンティスグリーン
所属地位 本宮直属五人衆
特性 花蟷螂 嘲
ライフ 198/198
コンディション 99%
レベル 194
ボーナスポイント 150
特記 Aランクチーム上のみ対応
名称 不明
所属地位 不明
特性 ……草原
ライフ 70/70
コンディション 14%
レベル 75
ボーナスポイント 225……
だのに紅月が罠にかがった。……魔法がなんも効がね。私、早ぐもやられた。
んだのに蘭が来でくれね。……蘭、スクランブルをロックした!
相生さ、助けにきてけれ!』