１２ 宴会で知る篤実
文字数 4,616文字
ﾎﾟｲﾎﾟｲ
……花鳥風樹でペンギンだけいても邪魔というか、くたびれているね。離脱して休め
スカシバレッドが手刀で板金修理する。
もはや倒す必要ないですよ、ぐひひ。メンバーが入れ替わったので私たちがレジスタンスとばれないでしょうし、ゆっくりしましょう、ぐひひひひ。
そうそう仮面の二人がそろって非番で、新潟に泊まりでツーリングしていたそうです。そちらをキャンセルして私たちと合流します。
ぜひ相生君と酒を交わしたいそうです、ぐひひひ
蔵王温泉はどうでしたか？
樹氷温泉アジトは会員制温泉宿に偽装。半径五百メートル以内には一般人は入りこめない。従業員も住み込みだから、おそらく関係者だろう。
それより雪が降りだした。ここはまだ曇りだけど……
ひらめいたままに、芹澤から取り上げた黒いマントをカバンからだす。
落窪さんが極度に喜んでくれた。
かってに呼ばれちゃ困ると宿から怒られたが、アグルさんも大喜びだった。シルクイエローは落窪さんとアグルさんのあいだに座る。俺とガイアさんは反対側に座る。刺身と煮物と豚肉入りの芋煮鍋。人数が増えたからこのコースしか用意できなかったそうだ。
ほかの三人もうなずく。でも俺は、夢月との模擬戦やセイントアローとの戦いで現実を知っている。強い技はだせず、弱い技は相手の大技に飲みこまれる。レベルの差はシビアだ。
バシン！
……はい
代わりに愛する雪が強くなったのだろ。感謝されているだろ？
あいつは一人暮らしだよな。入りびたっているのか？ がははは
……。
彼女はそんな人間じゃありません。彼女は俺を守ると言ってくれました。なのに俺から去りました。いまは夢月と付き合っています
ﾋﾞｰﾙ ｦ ﾄｸﾄｸﾄｸ
ｺﾞｸｺﾞｸ
そりゃ巫女はかわいそうだ。
それなのに正義の味方を続ける。
けなげだ。
彼女を見なおした。
だとしてもだ。
僕たちは相生君を信じる
ﾁﾋﾞﾁﾋﾞ
相生さんこそ強い。ただ戦い方は変えましょう。相討ち覚悟で突撃しても、今後はのたれ死ぬだけですよ、くひひ落窪さんがちびちび飲みながら言う。
なんだか俺を励ます会になってしまった。
バシン！
相生歌え
ｽﾀ
席に戻るなりアグルさんに聞かれる。
それが男女のあれを意味するならば、あの日あの部屋で茜音の呼び出しがあと二分遅ければなどと未練を感じることなく、強くきっぱりと。
しかし、お姫様を射止めるとはな。
バシン！
あれは外見だけならば大女優になれる。相生が横にいれば悪になることはないだろ。がははは
バシン！
ほかにも行き過ぎた正義で何度か警察沙汰になっている。ちょっとした有名人だった。バシン！
……相生は真面目だから、未成年とやることはないよな。もうしばらくプラトニックを続けるのだろ？
ｽﾀ
三人の酔いが一気に醒める。
それに、柚香ちゃんはまだ相生君が好きかも
うふふ
