完結 俺たちはレッドだった
文字数 3,750文字
仲間だった俺を救うために、魔女もカラスも妹もライオンも端から倒すシンプルな作戦。やっぱり俺と相性良かったな。
皆殺しリストには、抵抗した夢月も含まれていたらしいけどどうでもいいや。柚香は生かすリストだったみたいだし。そりゃモスの一員だから当然だ
俺が退院した暁に、桧はアメリカに長期留学することになった。安堵する自分がいる。いつか気まずさが消えてくれたらいいけど、こればかりは無理かも。でも桧に何かあったら我が身に代えても守る。いつか代わりの人が現れるまでは、その言葉通りに
母親は日本に帰ってくる。千由奈と湖佳はどこに住めばいいのだろう。決まっている。彼女たちで決めればいい。俺よりずっとしっかりしているのだし、見守る大人にも恵まれているのだから。人生をゆっくり決めればいい。俺もリハビリの時間だし……
穂村から辛子明太子とモツ鍋セットが送られてきた。病室でどうすればいいのだろう。感謝だけして桧に持ち帰ってもらう。夢月は明太子を一本食べたそうだったけど。
彼女も来週卒業式だ。とりあえず四月から俺の大学に通う。予定がころころ変わる
桧が病室をでていく。夢月の変わらぬ態度に怒るのは仕方ないけど……。
桧とスカシバレッドが似ているとよく言われた。でも違う。桧は優しさと強さが重なった意志ある瞳。スカシバレッドはやさしさを強さで隠した眼差し……
ベッドへとふわり落とす。
体を起こした夢月の手に紅色のマントが現れる。
焼石も即座に帰ろうとするではないか。
その後ろ姿に尋ねる。
ドアが閉まる。
懐かしの屋上か。あそこで俺たちは死闘を繰り広げた。
夢月はマントを引っ張っていた。びくともしない。不燃性だし。……パートナーである夢月。彼女と合体していたらどんな化け物になれただろう。精神エナジーを失って絶対に見ることができなくなったいま思うのは、一度はしておきたかった。レジスタンス経由ならば、仮面ネーチャーラピスみたいに格好よかったかもしれないし。
まあいいや。俺たちはこれから生身で何度も合体してやる。そして、すごい男をこの世にだしてやる。男に決まっている。父母よりもすごい男に決まっている。
それまでは俺が持っていよう。布団に入れておこう。俺たちがレッドだった証。
夢月があらためて布団にもぐりこむ。
いまはまだキスぐらいしかできないけど。
俺は予行演習みたいに夢月のお腹をさする。
お姫様が微笑んでくれた。
かわいこ戦隊モスガールジャー 完
最後の最後までお読みいただきありがとうございました。
心から感謝申し上げます。
もう一話だけお付き合いください。