２７ 混合ダブルス
文字数 3,655文字
本部への単独での奇襲攻撃。司令部にも蘭さんにもガイアさんたちにも言っていない。付き合わせたのは夢月だけ。
赤い二人で戦端を開く。おのれの姿がなくなった赤と、恋人の姿がなくなった赤。破れかぶれな二人で始める。だらだらしていられるかって感じだったけど。
よりによってこの二人かよ。ハゲがいたなら、ぼこぼこにしたのに。……霧島さんは二度死んで引退したと、蘭さんから聞かされたばかりだ。なのに滅殺の光すなわちスカシバーニングデストロイに消滅しない。消滅されても後味悪かったけど、レベル１２０以上確定。
……力に秀でた世代が問答無用に蹂躙。私たちレジスタンスがテロリスト呼ばわりされたのは、やっぱりあなたたちのせいね。それだけでないにしても
俺はレベルオーバーだったが、魔女と黒岩に相次いで敗れた。
お前たちに勝てると思っていない。だとしても正義のために戦わないとならない
正義は私たち。あなたたちが間違っている。
ｷｯﾊﾟﾘ
でも戦いたくない。ハウンドピンクはどこにいます。教えてくれたら帰ります
ｼﾞﾘｼﾞﾘ
紅月が隣で言う。スカっちだと？
……そうね。本部の七夕ランド支部は壊滅した。佐野市のドラッグストアに寄ってラーメン食べて帰りましょう。私は水だけでけっこう
あなたはいつもそんなだったから、プライベートで別れたんだよ。でも、最後だから一緒に戦おう。そしたら、なにも知らない子どもに教えられる。お母さんは正義の味方をしていたけど中途半端だったんだよ。でも最強の悪と戦って、負けてようやく終われたってね
二人は答えない。地下秘密基地の沈黙は十二秒。
それが答えなのだろう。
スカシバレッドの手にツインソードが現れる。
差は瞬時に狭まる。
ファルコンミントが振り返る。
スカシバレッドはすでに間合いを詰めている。
至近から。敬意を込めて。加減して。
究極の赤を叩きつけられて、ファルコンミントが仙台の夜景へと墜落していく。
それさえもスカシバレッドは追い越す。
ノスリのごとき急降下。ついで飛龍がターゲットにするのはレベル１９０台。
スカシバレッドは相生智太の心も込めて。
上空からの
着地した俺の隣に紅月が並ぶ。かぐや姫に戻り二人を見おろす。
基本的には無口な二人。沈黙が流れる。
