15 縞々拡散、螺旋虹色
文字数 3,628文字
暗い森が包む尾根上で、イエローとピンクが梯子から降りるのをサポートする。司令官が操縦するモスプレイのプロペラ音は静寂の地でも聞こえない。
四人はさらに沢へと降りる。俺はピンクを抱えて飛ぶ。
ブルーの両脇に二人が並ぶ。三人が手をつなぎあう。
機内でレクチャーは受けている。
ストライプスプレッドとは、それぞれの精神エナジーが集結されて光となり、敵へと発射される特殊攻撃。三つのイメージカラーが螺旋を描き、敵を粉砕する。正義の女たちにふさわしい、美しくも残酷な切り札だ。
やり方は聞くだけなら簡単。中央の人間が意識を二人と合わせて、高めれば、彼女の体からエナジーが放出される。
その攻撃力は三人のレベルを合わせたものを上回る。両手をつながれる人間は、もっとも力あるものがやるべき。放出エナジーにかなりの差がでるらしい。
だからセンターを
デメリットは、戦闘時に三人が集結しなければならないこと。かつマイムマイムみたいに手をつなぎあうこと。敵も手拍子して待ってくれないよな。
短所といえないかもしれないけど、参加人数は奇数だけ。なので今のモスガールジャーでは一人が支援にまわることになる。
今のモスガールジャーだと……。
彼女たちは沢の向こうの巨岩と向かいあう。俺の暗視能力で確認する限り、カモシカはいなさそうだ。
5,4,3……と、心でカウントダウンしながら見守る。……1,0。
三人がまた心をつなぎあわせる。
光は三回目で発射された。ブルーの体が無色に光る。同時に彼女の体から、青黄桃の光が飛びだす。三色は競り合うように絡みあい、巨岩へと一直線に飛び縦に裂く。
力を受け取りながらおのれの力を敵に向けるイメージだ。抽象的だが、これ以上の説明は私でも難しい
ブルーが俺から手を離す。
スカシバレッドは涙をこらえる。ずっと俺は人と仲良くできる性格ではなかった。悪ふざけが苦手だし、いじめなど大嫌いだし、頭に血がのぼるとおさえられないし、喧嘩になると強すぎて地元では恐れられているし。だから大人になるにつれて一人で過ごすようにした。人との触れ合いを極力避けてきた。
でも、こいつらは違う。最初から分かっていた。きっと俺と同じで強くて弱くて不器用で、同じ奴を求めていたに違いない。
なのに、こいつらはまだ俺を受けいれていない……。
隠し事があるから一つになれないのならば、レッドに教えないとなりませんね。……彼ならば受け入れてくれるはずです。
あの技は、五人の力を合わせれば、最終変化の中央幹部さえも倒しました。レッドを扇の要にして両脇にブルーとグリーン。さらにその隣にイエローとピンク
……それがここまで落ちぶれて、弱いレッドを歓迎するチーム。
なおさら愛してしまう。
スパローピンクも俺の手を握る。シルクイエローもスカシバレッドの手を取る。
ブルーがうなずく。
と、紅月ならば慌てるだろう。でも、スカシバレッドならば。
中学二年生になぐさめられる。
成功しないに決まっている。互いに秘密を抱えて遠慮したままなんて仲間ではない。
そう。お互いに。
俺だって、三人に伝えられなかったことがある。先日のカフェで……。
俺と夢月は抱きあったまま離れなかった。
物理的に離れられなくなった。
あんな化け物に惹かれちゃ駄目だろ。
奴を抑えようとしてエナジーがあふれ出た。コンディションが60パーぐらい減ったかも、へへへ。
奴は生身だったよね? 化け物には意味なかったけど、ここの時間はもう少しだけ凍ったまま
和的露出ゴスロリの柚香が俺を見つめる。この子は長い黒髪だと小猫じゃなくなる。雪解け水のように清純で
でも彼女は唇を舌で濡らす。犬歯が見えた。俺の頬に手を置く。