chapitre175. 朝
文字数 8,148文字
七つの街に散らばった、七つの
太陽が昇る。
照らしたものの色をそのまま跳ね返す、どこまでも白く澄んだ光が、夜に覆われた街に再び意味を与えていく。
***
円柱の中央をくりぬかれた形状の、ハイデラバード市街。地下からやってきた避難者で溢れかえる石造りの街、その片隅にある部屋にて。
ノックの音で、サテリットは目を覚ました。
カーテンの隙間から、薄い青色の空が見えている。空気は冷え込んでいて、吐き出した息が白く凍った。外套を羽織りながら身体を起こすと、隣のベッドで眠っていたアンクルが、小さく呻いて寝返りを打つ。サテリットは彼を起こさないように静かに立ち上がって、壁に立てかけてあった杖を取り、氷のように冷たい扉を引いた。
きぃ、と軽い音を立てて扉が開く。
向こうに立っていた人影が、逆光の中でサテリットを見下ろした。
「――お、あー……やっと見つけた」
「シャルル……!」
驚きにサテリットは息を呑む。
「良かった。心配したのよ、全然来ないものだから――そんなに、道が遠かったの?」
「いや……日付変わるくらいには、もうこっちに付いてたんだけどよ。どこにお前らがいるか聞いたら、一晩中――ここでもないそこでもないって、たらい回しにされてさ」
シャルルは隈のできた目元を擦って、大きく欠伸をした。
「あっちこっち歩いて回る羽目になった」
「それは……大変だったわね」
サテリットは口元に手を当てる。
地下からの避難を先導して指揮している
サテリットは扉の前を移動して、シャルルを部屋に招き入れる。
「私、もう起きるから。ベッド使って」
「おう――」
ふらつきながら部屋に入ったシャルルが、奥のベッドで眠っているアンクルを見て「あれ」と言いながら振り向く。
「もしかして……結果的に、俺がいなくて良かったやつか?」
「早く寝なさいね、貴方」
昨晩眠れていないせいだ――ということにしておいて、いつになくデリカシーを欠いたシャルルの発言をやんわりとたしなめる。朝焼けでも見に行こうと、サテリットは通路に出て後ろ手に扉を閉めた。通路は部屋の中よりずっと寒くて、だけど明るい。新しい――とはそういうことだ、とサテリットは思った。
***
円柱をぐるりと半回転した、広間の一角にて。
爪先をじわじわと凍らせていく冷気と、身体中を抑えつける眠気のなかで、ルージュはうとうとと浅い眠りに就いていたが、ついに寒さのほうに耐えかねて目を開けた。足を引き寄せて三角座りになり、ブランケットを身体に何重にも巻き付けながら、周囲を見渡す。
明かり取りの窓から斜めに差しこむ日光を見て、そうだ、地下から避難してきたのだ――と思い出した。
石造りの広い空間に、マットレスが敷き詰められている。一緒に避難してきた
ルージュはかじかんだ指先を握りながら立ち上がる。通路の向こう側が日向になっているのを見つけて、ブランケットを羽織ったままそちらに歩いて行った。
そこは開けたテラスだった。
ルージュは靴を履かないまま外に出て、柵のそばまで近づく。空気は今にも凍りつきそうなほど冷たいが、日射しに暖められ始めた石造りの床はほのかに暖かかった。
冬の早朝。
一年で一番寒い季節の、さらに一番寒い時間が、ルージュは好きだった。視界を濁らせる塵や、どこからともなく響いてくる雑音が、すべて地面の近くに落ちて、空気が一層澄み渡る気がするから。
ゆっくり息を吸う。
心のなかを描くように、音を紡ぐ。
最初は不確かだった情景がだんだんと鮮明になり、ひとつの既知のメロディーに収束する。そうだ、あれも――凍てつく夜の終わりを歌った曲。どんな人が作った詩なのか、いつ作られた音なのかは分からない。ラピスの成立以前からある歌だとしたら、おそらく記録にさえ残っていないだろう。
だけど。
ルージュは組んだ腕を柵に乗せて、朝日の中で目を細めた。喉は使わず、心のなかで音楽を再生する。穏やかななかに新しさを感じさせる変ロ長調のメロディ。跳ねるように動きながら少しずつ高みを目指す音階。そこにぴたりと当てはまる、平易ながらも美しく繋げられた言葉たち。
歓喜のフレーズ。
それらの全てが、綺麗だと思った。
音楽を紡いだ人のことは知らないけれど、その歌が作り出す風景は、ルージュが知っている朝に――今日の夜明けによく似ていた。
ルージュは音楽が好きである。
音楽というものは、ある意味で非常にメカニカルだ。身体を極限までコントロールすることで、イメージしたとおりに空気を振動させる――それが歌声である。歌い手から放たれた声の波形が、もっとも美しく共鳴するようにタイミングや振幅を合わせる――それがハーモニーである。
だけど、それだけじゃない。
白い息を吐き出し、その流れていく先を見つめていると、後ろから近づいてくる足音に気がついた。
「――おはよ」
振り返ると、ロマンが腕をさすりながらこちらに歩いてきた。どうやらルージュと同じく、寒さで目を覚ましたらしい。彼は朝焼けに染まり始める木立を目にして、お、と小さく声を上げた。
「なんか……この景色さ、
その独白に続いてロマンが口ずさんだのは、ルージュの胸のなかに浮かんでいたのと同じフレーズだった。
ルージュは目を閉じる。
そういうことだ、と思った。
***
ハイデラバードを覆う森を下ると、そこは開けた平野になる。
堅牢なレンガ積みの街、スーチェンにも朝は訪れていた。
広場の一角、臨時発着場にて。
歩行が困難な避難者のため、夜通し
下から数えて三番目の踊り場に着いたとき。
木立の向こうから金色の光が差して、目の奥までまっすぐ飛び込む。その圧倒的な光を受けて、リジェラは思わず立ち尽くした。
冬は、もっとも太陽が遠い季節であるという。
だけど、そんな時節にも関わらず――あるいは、だからこそなのか。太陽が浮かんだ瞬間、あっという間に全ての景色が塗り変わるさまは、まさしく奇跡のように思える。こんな奇跡が、毎朝目覚めるごとに訪れるなんて、ほんの少し前までは想像もしなかった。
ありふれた奇跡。
きっと、総代が地底の民に見せたかったのは、この景色なのだろうな――と思った。
リジェラは石段を登り切り、突き当たりの角を曲がってMDPスーチェン支部に入る。仮眠のために設けられたスペースに向かう途中で、扉が開け放たれた医療室の横を通ると、中にいた少女と目が合った。
「あ――」
見覚えのある姿に、リジェラは立ち止まる。
丸い顔立ちにあどけなさを残した、ショートヘアの少女。以前にラ・ロシェルにいた頃、コラル・ルミエールとリジェラの仲介をしてくれた人々のひとりだ。彼女もリジェラのほうを見て、目を真ん丸に見開く。どうやら覚えていてくれたようだが、彼女は地上の人間だ。リジェラに取って馴染み深い、地下の公用語は通じない。
でも、前までとは違う。
とたんに乾き始める喉で唾を飲み込んで、リジェラは彼らに教わった言葉を、記憶の奥底から引っ張り出す。
「おはよう……ございます」
「あ……!」
ぱっと彼女の頬が上気する。
一目見て分かる嬉しそうな顔で、おはようございます、と彼女は元気に答えてくれた。
「……あの」
まだ、慣れているとは言い難い。
語彙も文法もたどたどしいので、せめてできる限り丁寧に発音する。
「貴女、は、MDPの人……です。よね?」
「えっと」
彼女は目をくるりと回した。
「あたし、本当は違って――いえ……はい。そうです。リジェラさんですよね」
「ええ。その……質問が……質問を、しても良い?」
「はいっ」
「あの――私の友達が、ここに」
昨日の夜、瓦礫に足を挟まれて怪我をしたアックスを、リジェラ自身がこの建物に運び込んだ。その後の経過は知らないが、ここで治療を受けているはずだ。
「アックスは、無事……ですか?」
「えっと……ちょっと聞いてきます。待ってくださいね」
彼女はくるりとその場で回って、布を張った衝立の向こうに顔を出す。リジェラのいる場所からはよく見えないが、どうやら向こうにはテーブルとソファ、それに何人かの構成員がいるようだ。彼らと一言二言、早口でやり取りを交わした彼女は、ぱっと花が咲くような笑顔でこちらに振り向いた。
「別状ない、あ……えっと、平気みたいです」
「そう……良かった。ありがとう」
少女に礼を言って、リジェラは仮眠室のほうへ向かった。
***
そんなリジェラを見送ったリヤンは、嬉しいハプニングでどきどきと鳴っている胸元を抑えた。かつて
いつの間に言葉を覚えたのだろう――と首を傾げながら、リヤンは衝立の裏に戻る。衝立で区切られたスペースには、地下から運ばれてきたデータボードが所狭しと置かれていた。
現在リヤンたちは、リュックサックにばらばらに収められたそれらを分類して、倉庫まで運び込む作業の真っ最中である。リヤンは部屋の隅から台車を引いてきて、箱のなかにデータボードを収めていった。
「凄いなぁ……」
思わず独り言がこぼれる。
ここに、ハイバネイト・シティの叡知が圧縮されているのだ。故郷バレンシアの図書館にも多くの本があったけど、それと同じか上回るほどの知識量が、リヤンの腕でも運べる程度のデータボードのなかに入っている。
多分、何もかも知らないことばかり。
そこにある知識に思いを馳せながら、リヤンは台車を押して通路に出る。玄関のほうまで向かっていくと、曲がり角の向こうから人影がひょいと姿を現した。
「あ――」
レゾンが小さく目を見開いて、やけに機械的な仕草で立ち止まった。
彼の顔を見た瞬間、昨日のことを思い出して、リヤンは妙に気まずくなる。もっとも、表立って何か言われたわけではない。リヤンの勘違いなのかもしれない。ただ、彼の態度がどうにも意味深に思えたというか――深読みなんて得意ではないのに、引っかかってしまうのだ。
あの、とどこか強ばった声が言う。
「その……今、呼びに行こうと」
彼がどこが遠慮しているように見えるのが、気まずさに拍車を掛ける。思わず彼から視線を逸らして、台車の取っ手をぎゅっと握りしめると、そこに第三の声が割り込んだ。
「ねえ――リヤン、いないの?」
レゾンの背後から、フルルが勢いよく顔を出して言う。それから彼女は「なに」と怪訝そうに顔を歪めて、立ち尽くしているリヤンとレゾンを交互に見た。
「いるんじゃん。なんで二人して、変な顔して見つめ合ってんの」
「へ!? み、見つめ合ってなんか」
「良いから、来てってば」
レゾンの横をすり抜けてやってきたフルルが、リヤンを引っ張っていく。背が高い彼女にがっちりと腕を掴まれて、リヤンは危うく転びそうになりながら、強引に玄関に向かわされた。
屋外は、青くぼんやり光っている。
目覚め始めた街の片隅に、集まっている人々がいた。フルルに手を引かれながらそちらに向かったリヤンは、一番手前に立っていた癖っ毛の少年を見て目を見開く。
「――ティア君!」
フルルの手を払って、駆け出す。
名前を呼ばれたティアは、小さく跳ね上がってから振り向く。息を切らしながら駆けつけたリヤンが彼の肩を掴むと、少年は蒼白な顔で「あの」と思い詰めたように言った。
「僕、迷惑をかけてごめんなさ――」
「よっ――良かったぁ、無事で……!」
安堵のあまり、ティアの言葉を遮ってしまう。はあぁ――とリヤンが大きく溜息を吐くと、彼は一瞬だけきょとんと目を見開いた。それから琥珀色の瞳がゆっくりと潤んで、彼は掠れた声でもう一度「ごめんなさい」と呟いた。
***
そして――ラピス市街から北東に離れた、海岸にて。
冷え切った肺が痛い。
引きずった足が痛い。
寒さも疲労もすべて痛みに変わり、全身の骨や筋を苛む。げほ、と濁音混じりの音とともに、口から何かを吐き出した。正しく息を吸って吐けているのか、それすら分からないなか、カノンはほぼ本能だけで浅瀬を這った。
右肩に、友人を背負っている。
顔にべったりと髪を貼り付けた彼女の身体は重たく、生きているのかも定かではない。背中越しにほんの少し感じられる体温は、カノン自身のものか、それとも彼女のものなのか――分からない。とっくに死体に変わっているのかもしれない。
それでも彼女――アルシュには恩があった。
先に水路に飛び込んだ彼女が、途中の柵を外してくれなければ、おそらくカノンは地下を脱出できないまま息絶えていた。だから、生きていようが死んでいようが、この重みを放り投げるわけにはいかない。
食いしばった歯の隙間から息を吸う。
地面を掴んだ指先が、膝が、重たい砂に沈む。
浅瀬までもう少し――あと数メートル。
三、二、一メートル。
あと数十センチ。
最後の一歩。
波打ち際まで辿りつき、同時に全身から力が抜ける。砂地にうつ伏せに倒れたまま、カノンは視線だけを動かして、今まさに歩いてきた道のりを振り返った。
――青い。
澄み切った青の景色が、そこに広がっていた。
そして――そんな単色の世界を横一線に切り開く、真っ白く光る水平線。そこから染みるように光が生まれて、金色の光芒が世界に広がっていく。その光が、カノンの泥まみれの身体も、塩のこびりついた髪も、全てをありのまま描き出していく。
ああ、とカノンは呟いた。
太陽という、宇宙に無数に浮かぶ恒星のたったひとつを指して、希望だと言った人がいた。彼の思想には同調しつつも、一方で、太陽の何が人間をそこまで惹きつけるのか――それを理解していなかったのも事実だ。
今になって、やっと。
朝が普遍的な救いと見なされている、その理由が分かった気がした。
「……見える世界が、広がるから――だ」
呟いて視線を天頂に動かした、そのとき。
藍色の空に浮かんでいる
アルシュの首に、金属の笛が掛けられている。
音を鳴らせば、もしかしたら。
そう思って笛を吹いてみるが、どれだけ頑張っても音が鳴らなかった。諦めて他の手段を探そうとしたとき、不意に、四方から無数の風音が近づいてくる。生まれてこの方聞いたことのない音に、カノンは驚いて周囲を見渡した。
それは鳥たちだった。
すぐ近くの木立や、まだ影のなかにある遠くの山から、数え切れないほどの鳥が飛び立ち、夜空を横切ってまっすぐ海辺にやってくる。
「ああ……」
ようやく理解してカノンは呟いた。
「
MDPがかつて手懐けていた、情報交換のための鳥たちだ。
***
朝は訪れる。
ラピス七都のどこにも平等に。
そして――それは、今まさに崩落の一歩手前にあるラ・ロシェル直下の大穴も、例外ではなかった。地盤に遮られて太陽こそ見えないものの、夜明けの空の照り返しが穴の底まで到達して、シェルとロンガの視界を大きく開いた。
導かれるように光のほうに歩き出したロンガは、何か固いものを蹴飛ばす。その様子を見たシェルが、あ――と高い声を上げた。
「それ――昨日、ぼくが落とした……!」
「これは――」
拾い上げたものに光が当たって、その情報を持った光がロンガの目に飛び込む。網膜に反射した色や形状から、ロンガはその正体を推測する。
「無線機?」
「そう」
シェルが頷いて、ヘアバンドのような形をした無線機を装着する。
「これで何とか、地上に連絡できないかな……ちょっと、試しに信号を送って――」
そこで、彼は目を見開いた。
手に持った無線機を取り落としながら、シェルがこちらに手を伸ばす。危ない、と叫ぶ声を聞いた気がした。手首を引っ張られて、身体がバランスを崩し、ロンガは重力に引かれるまま前に倒れてゆく。
その刹那だった。
何か、巨大な力が身体を穿つ。
全身が弾け飛ぶ感覚。衝撃が身体中を揺さぶる。急激に全ての感覚が鈍くなり、世界が止まったような気さえした。
不意に、喉元に不快感。
込み上がったものを抑えきれずに吐き出すと、真っ赤な血の塊が地面に落ちる。そこで、自分の――正確にはエリザの腹部が目に入って、ようやく気がついた。
鉄骨が腹部を貫いている。
背中から腰骨の少し上まで、一直線に。
理解した瞬間、痛みと苦痛が全身を襲った。
「あ……っ、え――? な、なに……」
「……え、嘘」
「ソ……ソル」
地面に串刺しにされた姿勢で、ロンガは彼に手を伸ばした。どんどん身体が重たくなり、前のめりに地面へ沈んでいく。
「ぁ……た――たす、けて」
どうにか視線を持ち上げると、はっとしたようにシェルが駆け寄って、力が抜けていく上半身を支える。口元からだらだらと流れる血が、シェルの外套の生地を染めていくのを、ロンガは暗くなる視界の中で眺めていた。
「ルナ、動かないで、動かないでね……!? いっ、今、
「いっ――いや、こ……これっ、駄目――」
「お願い、がんばって……!」
涙混じりの声が励ます。
だけど、エリザの身体はすでに、恐ろしいほどの速度で死の淵へ転がり落ちつつある。彼女と身体感覚を共有しているロンガには、それが分かった。痛いとか苦しいとか、そういう感覚も全て混ざり合って真っ黒になり、虚空へ崩れ落ちていく。
狭く閉ざされていく感覚のなかで。
虹色のものを、ロンガは捉えた。
そちらに意識を向ける。
シェルの瞳。
長い睫毛に縁取られた瞳。
禍々しいまでに色鮮やかな虹色が、そこに宿っていた。
「――え?」
ロンガが小さく息を呑んだ、そのとき。
真っ白な光が全方位に広がって、シェルとロンガを飲み込む。全て塗りつぶすような不透明な白色のなかで、どこか遠くから、何重にも重なり合った声が響いてきた。
「……なに、誰。お前は」
知らない声が言う。
少年のようにも老婆のようにも聞こえる。鳥のさえずりにも、洞穴の風音にも、合成音声にも聞こえる複雑怪奇な声が言う。
「お前が邪魔をしたのかな。心臓を狙ったのに、ずれた。これじゃあ時間がかかっちゃうじゃない。ぼくは、一分一秒でも早く、その子が欲しいんだ」
「……約束が違うわ」
すぐ隣で、エリザの声が言った。
「時間をくれるように頼んだはず」
「いや? ぼくは何も間違ってないよ」
気持ち悪いほど平坦なのに、昂ぶりきったあらゆる感情を感じさせる声が答える。
「きみの身体が死ねば、その心をくれる――そういう条件でしょ。それ以上でも以下でもないでしょ。身体の方を無理やり殺しちゃダメなんて、言われてないよね?」
ロンガは、
五次元宇宙を漂う超越的存在――ビヨンドあるいはD・フライヤが、無数に絡まり合った白い腕の姿を取って、抑えきれないとでも言うように笑いをこぼしていた。