151話 ゲロッパゲロゲロ!第2の新ジョブアニマルフォーゼ!
文字数 4,853文字
前回のあらすじ。
ハルとのダンスバトル中に起きた悲劇を元に、修行の目的とこれから起きる事を予想することができたジャック。
胸に抱いた悔しさを元気に変えて、ルルカとの戦いへ――。
****
コロシアム内。部屋。
今のジャックのジョブはすでに新しいジョブ。
クエストクロックを付けた右腕を挙げると、自慢気に解説を始める。
コホン。説明しよう!
ジョブチェンジはこの場で出来る!!
実はクエストクロックはアップデートされてたのだ!!
うん!
このクエストを受けた後、ウルク君に教えてもらって準備してきたんだ!
多分アラネアさんと初めて会った後にアップデートが起きたんだと思う!
次にジョブチェンジの説明!
本当はジョブチェンジが出来るのは冒険者ギルドだけだけど、クエストクロックがあれば外にいても可能だよ!
やり方は簡単で、好きなジョブを3つまで登録できるからそれを選択するだけ。
ただしジョブの種類の「上位物理」と「上位魔法」はダメ。
「特殊」は大丈夫だから、それを選んだんだ!
「上位物理」は下位の物理ジョブの進化系ね。
下位の剣士、アーマーナイトが進化すれば……
上位は剣豪、ジェネラルになる!
回復魔法がヒーラー、攻撃がソーサラー。
上位になれば賢者、精霊術士、サマナー……
アルケミストも入るわ。
そうみたいね。
特殊ジョブならいいみたいだから……
ネクロマンサー、アサシン、忍者に踊り子。
ギャンブラー、DJ、ファントムもそうね。
もしかしてコタローのジョブも特殊?
うん!
コタロー君のスーパースターも特殊ジョブだよ!
それで、ジャックはどんなジョブにしたの?
1つはラスターって事はあと2つあるのよね?
なにそれ気になるんですけど!!
いいわ、ブッ飛ばしてあげる!!
ジャックの説明を聞いて楽しくなってきたルルカ。
どんな物が飛び出してきても炎のパンチをお見舞いできるように手に火を纏う。
けれど、ジャックの2つ目のジョブの効果は予想だにしないもので……?
よーし!
コタロー君、ルルカちゃんの動きを止められるかな?
オッケー!
スーパースターの出番だね!
それっ!お願いを込めてお星さまにタッチ〜!
やってみなさ……
って言いたいところだけど、もぐらたたきの時のスピードを出されたら厄介ね!
ジャック君!
見えないくらい速く動くけど、当たっても大丈夫だよね?
なるほど……!
だからあの時、ジャックは無事だったのね!
分かったわ!さっきのトリック!
「ジャックの体を硬くする」!!
今みたいにスーパースターにお願いしたのよ!
残念でした!オレのジョブだよ!
実はこの部屋に入る前に使っておいたんだ。
速く走れるようにね。
まぁ、そこにスーパースターの効果が上乗せされるとは思ってなかったし、少し痛いくらいで済むとも思ってなかったけど……
やった!
ルルカちゃんのジョブ、マジックファイターには弱点がある!!
相手に密着されたまま炎のパンチとかすると、攻撃の反動を受けちゃうんだ!
ウルク君から聞いたんだよ~!
よーし、じゃあ行きま〜す!
新ジョブ「アニマルフォーゼ」!!
コタローがルルカの背中にくっつく事で攻撃を封じて、ジャックのジョブ「アニマルフォーゼ」がついに発動!!
その瞬間ジャックの身体は少し小さくなって、緑色に変わって。
すぐにピョンッとジャンプしてルルカの胸にピタッと密着。
オマケに皮膚が湿っていて、長い舌を出してルルカの顔をじっと見つめる。
待てよ?さっきの「ゲロッ。」というセリフ。これはまるで……。
イヤあああああああああああああ!?
キモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイキモイ!!
オレはカエル好きだよ。
好き好き好き好き好き好き好き好き。
イヤああああああああああああああああああああああああああ!?
人の胸に飛びついて告白すんな!!
っていうかその顔やめれ!!
知ってる?カエルの鳴き声にはいろんな意味があるんだよ。
繁殖期にオスがメスを呼んで産卵を促したり、他のオスへの縄張りを宣言するための「求愛音」とか。
なるほど!だから好き好き言ってきたのね!
愛の告白を音に乗せて届けるなんてロマンチック〜〜〜!
ってちょっと待てーーーっ!あたし人間なんだけど!?
了解。
う~ん。ルルカちゃんの服、いい匂いがするケロ。
どう?これがオレの新しいジョブの力さ。
「アニマルフォーゼ」って言ってね、ほとんどの動物の力を”一部”使う事ができるんだ。
体の色が変わったり、皮膚の硬さを変えたり、その動物じゃないとできない事ができるんだよー。
じゃあさっき扉に当たっても少し痛いくらいだったのは……!
舌を出すな!!
さっきの顔の方がマシだったんだけど!?
(待て待て、落ち着けあたし!いくらカエルみたいになろうが所詮ジャックなんてただのエロガッパ。ちょっとからかってやれば……)
『えっと、あの!別に脱がすつもりは!!服を着て~!?』
(とか言って慌てて離れるでしょ!ふふん、ルルカ様の貴重な喘ぎ声で興奮するといいわ!)
あぁん❤︎そんなに強く抱きしめられたら壊れちゃう❤︎あたしだって女の子なんだぞっ❤︎
なっ!?
あ、あたしって……魅力ゼロ!?いくらなんでもあんまりじゃない!?
あ、そーだ!
このジョブの力は他の人にも与えられるんだけど……
ル~ルカちゃんは~♪
どんな生き物になりたいのかなぁ~?
カエルかな?ナマコかな?チョウチンアンコウかな?
Gじゃないわよふざけんなクソッタレ!!
この駄犬!!アホおおおおおおおおおおおおおおおお!!
イヤ!離れて!あんた挨拶代わりに一撃で勝てる〜とか思ってんじゃないの!?
いくらこの天才少女ルルカ様の攻撃を封じたからって、もう勝った気になるなんて早すぎなのよ!!
これで終わりになんてさせ――
Gはイヤああああああああああああああああああああああああああ!?
――で。
アニマルフォーゼで相手に密着して目の前で奇声を上げる動物の力を使い、気絶させて勝つ……。
そういう作戦だったはずだが、カエルになってちょっと脅してみたら気絶したから勝った事にすると?
そう!僕達の勝ちだよ!
ほんとは「なんちゃって!」って言おうと思ってたんだけど、起きないんだー♪
作戦と違う方法で勝利を勝ち取ったジャックとコタローに呆れるウルク……。
肝心のルルカはよっぽどショックだったのか、気絶したまま。
移動するついでにルルカを担いで連れて来た。
意識がないはずだが、まるで夢にうなされているみたいだな……
一体どんな脅しをしたんだ?相当病んでるぞ、コレ。
そういえば、この部屋ってウルク君しか居ないんだね?
あぁ。本来なら最後の相手のアラネアがここにいる手筈だったらしいが、状況が変わってな……
『待ち切れなくて部屋から出てきたのか。
悪いがジャックはハルと戦ってる最中だ。
俺とコタローは一足先にお前達を倒すヒントを探しに来た。』
『ヒント?
それならお願いがあるんだけどいいかしら?
ジャックのためになる事だから損はしないはずよ?』
読みは良いが、別に敵じゃない。
アラネアとの戦いにはいくつか条件があって、その準備を手伝っていただけだ。
ジャック、次の戦いでこのクエストは終わる。
必ず勝て。"俺達"はコロシアムの外で待ってる。
最後の戦いは1対1。
アラネアからジャックに大切な話があるらしい。
後で教えてやるよ。
ただ1つ言うなら、ジャックの予想通り、このクエストはただのクエストじゃなかったって事さ。
****
コロシアム内。薄暗い部屋。
部屋中に張られた巨大な蜘蛛の巣。
それに捕まった状態のシロナ。
それらを操るアラネアの姿があった。
ふぇぇ……どうしましょう……
本当にジャックさん、来てくれるんでしょうか?
そりゃそうですよ!!
私もあなたもこのままじゃ大変な事になっちゃいますよ!?
あぁぁ〜〜〜!早く助けに来て下さ〜〜〜い!
ジャックさぁぁぁ〜〜〜ん!
……よくここまで来れたわね。
異世界人の中で唯一スキルを持たず、代わりに潜在能力とアップデートの鍵になっている少年。
ジャック。
シロナさんを離して下さい。
美味しいミルクが飲めないじゃないですか。
あぁ、足元に気をつけて?
私は蜘蛛の獣人だから、糸を出すのも操るのもあなたの足を固めるのも得意なの。
私が新しい糸を出してあなたを拘束する……
すぐに察して距離を取るなんて読みが良いのね。
えぇ。それは戦いの途中で話すわ。
その前に、まずは条件ね。
私の糸で捕まえたシロナを解放してこの部屋から出る……
単純明快、たったそれだけの事が出来ればクリアよ。
しかもこの部屋には剣とか槍とか爆弾とか、いろんな武器がある。
これらを使うか使わないかは自由。
ただし、私の糸はよく燃える。
もしも火がついたら私とあなたはもちろん……
シロナも無事じゃ済まない。
つまり、私達3人が全員無事にこの部屋から脱出できればジャックの勝ち。
どう?なかなかスリリングだと思わない?
ジャックさん!
火は絶対ダメですよ!?部屋の爆弾も何かの衝撃が加わるとドカーンですよ!?
心苦しいけどこれもあなたのため。
この町を出て行った後、いずれ同じ場面が来るかもしれない。
これはその訓練と、あなたに勇気と状況を好転させられる頭脳があるかどうかの確認……
(そう、例えあのアルクと再び戦う事になったとしても……)
はぁ……。
せめて「声」の正体くらいは言おうか。
それと、その前に手紙について少し触れておく。
【????】
……やれやれ。手紙によって正体が分かるとはいえ、「あの方」と交代できたのはありがたい。
まさか再びジャックさんと会えるチャンスがやってくるとは。
ハルの口から語られる「謎の声」の正体のヒント。
ジャックVSアラネア。
そして、とある役目を果たすためにラトリアの入り口に現れるあの男――。
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