2話 底辺実況主、復活!
文字数 1,989文字
大都市ウメダ。
宿屋、武器屋、防具屋、多くの民家。
ギルドの勧誘、パーティの募集、酒場から聞こえる豪快な男の声。
魔法使いの子供から鎧を纏った中年、人間と気さくに話すトカゲのようなモンスター。
たくさんの人やモンスターが行き交い、毎日のように賑わっている。
そんな中、学校の制服を着た少年が頭を抱えながら走り回っていた。
【
よく思い出せ…!オレの名前は悠哉!彼女イナイ暦=年齢のピュア男子!普段は無口な高校生だけどその正体はゲーム実況動画を上げる謎の男、ジャック!チャンネル名は3時間かけてやっと思い付いた「ジャックのゲームチャンネル」!登録者数は5人!
こちとらリビングで撮ってんだよ!母ちゃんの『ご飯よー!』が入るから撮り直しが大変なんだよ!
あーー1人暮らししたい!
あーー有名実況主になりたい!
あーーリスナーの彼女がほしいいいいいいい!
川の橋の手すりに掴まり、
日々のゲーム動画実況活動の本音を叫ぶ悠哉。
川で遊んでいた5羽の白い鳥が大声に驚いて飛んでいくと、小さなカバンを持った少女が見えた。
白い鳥に呼びかける少女。
しかしその声は届かないのか、大空へ羽ばたいてしまった。
「【悲報】知らない所で女の子に逃げられた件」……と。
はぁ…我ながらセンスのかけらも何のひねりもない一言…1度でいいからバズってみたいよなー…通知が止まらないのは本当なのか…でもバズるようなおもしろい事を書けないしなぁ……。
ピロン♪
ピロン♪
「え、マジホラーじゃね?知らない所って天国かよ笑」
ピロン♪
「何がイイネだよ!これヤバくね!?」
「突然の事でまだ整理がついていません。」
「息子の動画を見てくれた方、息子を応援してくれた方、本当にありがとうございました。」
クソ…こんなに泣いたの初めてだ…。
どうして死んだのか何も思い出せない…。
はぁ…ここが天国か…随分賑やかな所なんだな…剣持ってるオッサンとか銃持ってる女の子とかトカゲみたいなモンスターとか普通に歩いてる…
はは…モンスターとかマジ笑える…RPGか……よ………?
そうだ!オレは死んだ事になってる…で、ここは異世界……!
じゃあこれは!まさかの!!異世界転生!?
いやったーーーーーーーーーー!!
ついに三次元の壁を越え、憧れの二次元に来れたんだオレはーーー!!!
さっそく冒険に行く前にSNSに――
閃いたぞ……!!
異世界転生したオレが……スマホで異世界を撮影……実況して動画編集……!
マイ・チャンネルにアップロード……!!
そうすればチャンネル登録者数は10人……100人……1000人……!
100万人!!いやそれ以上!!