8話 サキュバス襲来!ジャックを救え!前編
文字数 4,172文字
ある日。
夜。
ここはウメダ。
宿屋。
窓とカーテンを閉めていたはずのジャックが泊まっている部屋。
なぜか窓もカーテンも全開になり、1人の女性が窓の前に立っていた。
女性は唇に手を当てると、部屋の扉の方向に手を出す。
すると、扉が開き別の女性が部屋に侵入。
1人、2人、3人、4人。
次第に増え、女性達はジャックの寝るベッドに忍び寄る。
その時……。
人の気配を感じたせいか、ジャックが目を覚ます。
しかし、女性は慌てるどころか恥ずかしそうな表情をしてシュル……と服を脱ぎだす。
※アイコンの服はそのままです。
****
翌日。
早朝。冒険者ギルド。
人がまばらな中、ご機嫌なゴワスの元にミノルがやってきた。
ウメダはここ。冒険の始まり!
アクスビットは港町。海の向こう側は帝国。
クラスタはアイドルが有名で綿貫亭がある町。
マギアルクラフトは技師の町!
ソラマシはまだわからないなぁ。
アタミ、ウエノも名前しか聞いてないや。
そうよ?
そもそもボランティアをさせたのは、他の町や常識を知ってもらうため。
もう1つは、いつかこのウメダを旅立つ時に「これからどうするか」を選択してもらうためなの。
ほら、予め他の町について知っておけばこれからの行動を決められるでしょう?
――ウメダ。
酒場。
ニヤリと笑うゴワス。
視線の先は冒険者ギルドの扉。
ガチャと聞こえると、1人の女性が姿を現しジャックのいる方向に向かって魔法を放った。
すると、サキュバスの指先からピンクのハートが放たれた。
その瞬間、ピンクのハートがジャックに命中。
ジャックはピンクのハートの形をした水晶の中に閉じ込められてしまった。
そう言うと、ジャックを閉じ込めた水晶は女性の方へ飛んでゆく。
そしてそのまま……
****
森。
紫色のゲートが開き、手乗りサイズになったピンクの水晶を手のひらに乗せたサキュバスが出てきた。
そう言うと、サキュバスは魔法を発動。
辺り一面がピンク色に染まった。
――ノノカの屋敷。
サキュバスは屋敷の扉を開け、部屋に入ると窓から森を眺める。
その瞬間、窓の外がカッと光り、窓ガラスがガタガタと揺れる。
サキュバスが慌てて窓の外を見ると、森の真ん中に巨大な炎柱が見えた。
その瞬間、パリン!と割れる窓ガラス。
「大きな何かが来る」と感じたサキュバスは、窓の外を向いたまま防御の魔法を発動。
自分の目の前にひし形の大きな盾が現れた。
しかし……。
(どうやって私の魔法を……!
いいえ、それどころじゃない!もうすぐここにやってくる!!
なんなのあの子!?化け物!?
……落ち着くのよ私……!
万が一に備えてこの屋敷の中にはトラップが仕掛けてある……!この部屋まで辿りつけるはずがない!!)
動揺するサキュバス。
頭の中に、忌々しい記憶が浮かぶ。
こんなもん効くと思ってんの!?
甘いんだよ!本気で来いクソサキュバス!!
部屋の中に何重もの盾となるバリアを張ろうと魔法を唱えようとするサキュバス。
しかし、段々と物音が近づいてくる状況に恐怖を感じ、上手く魔法が使えない。