177話 バイオレンス&ドMフェロモン大暴れ!?要塞に潜入せよ!
文字数 8,566文字
【セリカ】
女性だけで構成されたランブルク騎士団のメンバー。
今居るのはラトリアのブラックエリア。
モリゾーの過去を知っている。
【サンダーソニア】
クラウディア連合軍、七番隊隊長。
擬人化した植物のような種族「プラント」の女性で、
歌って踊れるアイドルも兼ねて活動している。
【バベル】
敵。ナイトメア連合軍、十五番隊隊長。
忍びの里を壊滅させたモリゾーの“裏の顔”が、
ジャックや仲間達に向いて全滅する事を期待して、
ラトリアのブラックエリアのゲートから立ち退き、
「ナイトメア連合軍の要塞でメテオヴァラスを倒す」
チャンスをくれた。
【メテオヴァラス】
敵。ナイトメア連合軍、十三番隊隊長。
強靭な肉体を持ったディアスの男。通称「メテオ」。
ゴラゴラン、グラリオ、タケルを粉砕するほどのパンチで、
公開処刑の敵、6人の中に選ばれた最強の男。
【エディ】
クラウディア連合軍、四番隊隊長。
ヴェルグ、メテオヴァラスと同じディアスの男。
お調子者で女好きで、トラブルは筋肉で解決する!?
クラウディア連合軍は
正義の味方。
ナイトメア連合軍は悪の軍団。
お互いに15のチームと隊長がいるんだ!
どんな奴らが居るのか気になるよな!
あ、ヤッベ!!
じゃ、また後で会おうな!
本編スタート!!
ラトリアを出てから数十分後。
墓石がいくつも並ぶ道を進み、やがて高い壁と大きな門が姿を現したけれど、
数十人の男が集まっていて、ジャック達はひとまず草むらに隠れる事に。
門の近くにいるのは
隊長の部下だろうな。
見張りにしちゃ多すぎないか?
こりゃ簡単には入れそうにないぞ……。
うん。バベルが言ってた。
武器屋とか宿屋とかもあるみたいだから、普通のお家もあると思うよ。
多分もともと町があった所に、ナイトメア連合軍が要塞を建てて乗っ取ったんじゃないかな。
よし、とりあえず中に入らないと話が進まないんだ!
今から何とかして入り口を突破する方法を考えよう!
良さそうなものがあれば実際にやってみるんだ!
もちろん門番に見つかれば罠にかけられたり、
全員を相手にする事になったりと不利になるのは間違いない。
ましてメテオヴァラスは公開処刑に直接関わっている敵。
もしここで捕まって、監禁されて全てが終わるまで外に出られない、などという最悪の事態は絶対に避けたいところ。
どうすればリスクを負わずに要塞の中に入れるだろうか?
その時、ヴェルグが頭を斜めに傾けて良いアイデアがないか考えていたシロナを見て、何かを思い付いたようで……?
よく考えたらシロナちゃんはもともと農場からミルクを売りに来た女の子だろ?
だからジャックとモリゾーが女装してミルク売りのフリをして潜入するんだよ!
確かにジャミ子としてグラスオーヴィで働いてたけど、またやれと!?
実の妹の前なのに!?
モリ子ちゃんもジャミ子ちゃんもかわいい名前じゃないですか!
ね、ヴェル子ちゃん♪
まだ自分の方がマシで良かった、
みたいな顔すんな!!
こうなったらミルク売り作戦は中止だ中止!!
他の案を考えてくれ!
こんにちは〜〜〜!
要塞を壊しに来ました!モリゾーで〜〜〜す!
ミルク売りじゃなくてエッチなお店の面接に来た新人サキュバス、ヴェル子。
じゃあ私は先輩ですね!
見てて下さい?胸の揺らし方はこうですよ!
こう!!
いやぁ楽しいですね!大喜利っ!
ヴェルグさんのツッコミが冴え渡ってるじゃないですか♪
いつから大喜利になったんだ!?
頼むから真面目に考えてくれよ!?
せっかくジャック君と一緒に居るんだもん。
しっかり
爪痕を残さないと!!
中に潜入する方法を普通に考えず、
おもしろい回答を言ってヴェルグがツッコミをする流れを楽しんでいたジャック、モリゾー、シロナ。
すると、実はここまで誰にも何も言わずにこっそり準備をしていた意外な人物がクエストクロックを腕に付けて……?
じゃあ私の出番、かな?
上手く行くか分かんないけど、役に立ちたいもん!
あれ?桃華ちゃん、いつの間にクエストクロックなんて持ってたの?
おっ!
ジャックと同じで好きなジョブを3つまで登録できるはずだから、何を登録したのか気になるぞ!
うぅ……
本当は恥ずかしいからあんまり見てほしくないんだけど……
えっと、その……
小さい頃からの夢だったっていうか……
テレビで見てて、私も同じ風になれならいいなって思ってたっていうか……
かわいいジョブか、
かわいい自分に変われるジョブか、どっちだろうなぁ?
まぁ、俺はもう分かっちゃったけど!
何でだよ〜?
どんなアイデアを思い付いたのかくらい教えてくれよ〜?
思った事を具現化する魔法の杖を使うんだろ?
「門番にバレずに要塞に入りたい」って願えば何らかの形で叶うはずだよ。
思った事が叶うってこと??
そんな事ホントに出来るの??
すごーーーい!
なんて言うジョブなのかな?ワクワク!
もちろんです!
実は私も役に立つかな?と思ってクエストクロックを持って来たんですよ!
一度でいいから魔法少女になってみたかったんです!
それじゃあさっそくジョブチェンジです!
せーーーのっ!で変身しましょうか!
途端に、桃華とシロナの足元に魔法陣が出現。
目を閉じると、全身が白く光り、
身に付けている衣服が消えて、何も着ていないシルエットになって、
手、足、お腹と、別の衣装が2人の身を包んで……?
なぁジャック、桃華ちゃんはどんな名前になると思う?
あっそうか!
魔法少女は大体、名前にカタカナが付くよね!
「ラブリー桃華」とか「マジカル桃華」とか!
その通り!
このジョブは本人の心や普段考えてる事で毎回変身できるコスチュームと名前が変わるんだ。
へぇ!毎回変わるのはすごいね!
朝はプリティーでお昼はパッション、みたいな風に変わるのもあり得るのか〜!
ん?
じゃあいつもエッチな妄想をしてるシロナさんは何て名前なのかな?
そりゃあ決まってんだろ!
シロナの事だから…………………
今はまだどんなコスチュームでどんな名前を名乗るか分からないけど、
きっと露出度が高くて人前に出るべきじゃない格好に変身するに違いない。
ヴェルグが慌てて変身を止めようとシロナに近付くと、突然白い煙が辺り一面に上がって……?
うわっ!急に何なんだよ!
シロナ、桃華ちゃん、大丈夫なのか!?
おーーーい!
オラッ!ここをこうされるのがイイんだろ!?
もっとイイ声で鳴けよ!このドM!!
アウトおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
あってはならない顔で、
暴走族みたいな格好になって、
四つん這いになったシロナのお尻を蹴り、
暴力的で強烈な言葉を吐く、魔法少女……
【バイオレンス桃華】
アタイのパンチは最強だ!誰にも負けねぇ!!
夜露死苦!!!
兄貴、そんな顔してどうしたんだ?
アタイの顔をジロジロ見て……?
いやいや、魔法少女だよね!?
パンチは最強って何!?
思った事を具現化する魔法の杖を使うんじゃなかったの!?
安心しなよ。
メテオヴァラスをブッ飛ばすために要塞の中に入りたいんだろ?
大丈夫、ちゃんと分かってるから。
要するにこの邪魔な壁をブッ壊せばいいんだろ?
どうだ参ったかクソッタレ!
アタイの邪魔をする壁が悪いんだ!
はははははは!!
ん?何で逃げるんだ??
全部ブッ飛ばせばいーじゃん。
筋肉は全てを解決するんだから。
****
四つん這いになってお尻をくねくね❤︎
仰向けで寝て、M字開脚からの上目遣い❤︎
ジャックとヴェルグに胸を押し当てて❤︎
甘〜い香りを纏って、耳フーッ❤︎
いつもよりお肌のツヤが良い、魔法少女❤︎
【ドMフェロモンシロナ】
体がうずいて仕方ないんですぅぅぅ!
ジャックさん、私をいじめて下さいっ!!
じゅるり!!
どーーーすんだよコレ!!!つーかシロナだけ何も変わってねーじゃん!!
ねぇ〜〜ジャックさん❤︎
ほっぺにチューしていいですか?しますね?
チュッチュ❤︎
じゃあアタイの相手してくれよ!
兄貴のギャラクシーのパンチとどっちが強いか勝負しようぜ!
だあああああああああああ!!
もう!何がどうなってんだよ!?
一応、何とか門番に気付かれずに草むらに隠れられて良かったけど、
まずは2人をどうにかしないとダメだこれ。
それだ!!
バイオレンスとドMをどうにかするにはそれしかない!!
おい、2人とも!!
じゃあ誰だ!?
近くに怪しい奴なんて見当たらないぞ!?
ここだよここ!
いやぁ、セリカちゃんの魔法は強力だなぁ!
どこからか聞こえる声が足元から聞こえているような気がして、
目線を下げて声の主を探すジャック。
ふと何かが動いた事に気付いた途端、ようやくその姿を見る事ができた。
足元に小さな人がいるよ!?
3センチくらいの男の人だ!!
おぉっと!踏み潰さないでくれよ?
ペシャンコにされてお陀仏だなんて御免だからな!
きゃあっ!
小人さんにスカートの下を見られちゃいますぅ!
何だコレ?
豆つぶみたいにちっちゃいな。
お前、アタイと勝負しろ。
オイオイ!!
摘む時は優しくゆっくりやってくれよ!
潰れたらどうするんだ〜?
あぁん?アタイに文句でもあんのかコラ!
「魔法少女バイオレンス桃華様」だぞ!
うるせぇ!人を豆つぶ扱いしやがって!
こっちはディアスだぞ!しかも隊長で偉いんだ!!
クラウディア連合軍のエディさんだよね!
はい、オイラの手のひらに乗っていいよ!
お、サンキュー!
じゃあ読者のみんなももう知ってると思うけど改めて自己紹介をしよう!
【エディ】
魔物討伐、かわいい女の子の護衛から、
迷子の子猫ちゃん探しまで何でもやる、
四番隊のイケメンディアス様とはオレの事よ!!
オレが来たからにはもう安心だ!
あ、そっか!
クラウディア連合の人とランブルク騎士団の人が手を貸してくれるって、サンダーソニアさんから言われたもんね!
そういやお前、どこに居たんだよ?
兄貴とセリカがいくらブラックエリアを探しても見つからなかったんだぞ?
いやぁ〜〜〜ラトリアのサキュバスちゃんはホントにかわいくてエロいよねぇ!
デュフフ!デュフフフフフフ!!
大体、さっきから聞いてりゃ情けない事ばっかり言いやがって!
ディアスっつーのは純粋な力を求めるパワータイプの魔族なんだぞ!
かわいい女の子にデレデレするような奴なんて半人前にも程がある!!
え?あぁそうだよ?
国の王様が居ないからお城も法律も機能してないわけで、みんなやりたい放題!
だからクラウディア連合軍に入って、国に不審者や荒らす者が居ないかパトロールしたのが最初の仕事だった!
で、気付いたらオレのやってる事に心を打たれた同志が四番隊の隊長として推薦してくれた!
今では優秀な隊員に支えられて、王様の居場所も掴めて、かわいい女の子とイチャイチャしてても何も言われませーん!
ちなみに、魔法少女の変身解除には「魔法の杖」があれば簡単!
そもそもどんな姿に変身するかはランダムって話は何も使わない場合のみで、最初から杖を使ってればバイオレンスとドMにはならなかった!
杖はジョブチェンジした時に足元に出現するから、必ず持っておくように!
あ、それと、
門番に見つからずに中に入るならオレと同じ魔法をかけてやるよ!
これで全員小人になって、誰にも気付かれずに中に入れるし、
ちゃんと数分で元に戻るから大丈夫!
――っつーわけで、ここは安全なエリアだから自由に行動しても問題ないと思うぜ!
ナイトメア連合の下っぱが1番警戒してウロウロするのは入り口とスタジアムだからな!
気が弱くてヘナチョコでスケベで、
知識も無い奴だと思っていた。
ところが桃華とシロナをなんとかして、
要塞の中に入れなかった問題も即解決。
オマケに情報が無くて分からなかった内部の情報も分かって、いつでも休める宿屋にチェックイン済み――。
まぁね!
んじゃ、みんなはここに居てくれよ!
ちょっと偵察してくるけど、無事に戻ってくるから!
魔法少女の変身リストを紙に書いておくから、宿屋でゆっくりくつろいで待っててくれ!
ちょっと危険だけど親玉が待ち構えてるスタジアムの様子を見て来るからさ!
あっ!!
どうしましょう、行っちゃいました!!
心配ですよううううううううう!!
よし、オイラ達も動こう!
安全な居住区に住む人達とお話をして情報を集めようよ!
そうだね!
一緒にウメダで戦ってくれる人をスカウトするチャンスだし!
ヴェルグ君、あの人の事を気にしすぎなんだよ!
オイラ達はオイラ達の出来る事をやろう?
うるせぇ!!!
俺だって負けてられねぇんだよ〜〜〜~~~!!!
****
一方、要塞内、北エリア。
ドーム状の大きな建物から居住区に向かって歩く少年の姿があった。
ズボンのポケットに手を入れて、
目付きは悪く、すれ違う人を睨み、
ペッ!と噛んでいたガムを吐き出す。
『おい!何だこの料理は?
俺の嫌いな野菜が入ってるじゃないか!
俺はあの十三番隊の隊員だぞ、この事を隊長に言いつけても良いのか?』
『おいおい!何だこの肉は?
今朝獲れたばかりなんじゃないのか?
俺の好みじゃねぇ!これも割ってやる!!』
変な男のおかげでなんとかなったけど、俺はまだ許せない!!
こっちはただでさえ……
食堂の一件で頭に血が上り、イライラが収まらない少年。
足元にくしゃくしゃに丸まった紙が落ちているのを見つけて、全力で蹴り飛ばす。
すると……
『そうだ。
ムカつく奴は全部ブチ壊せばいいんだ。
蹴るのも良し、殴るのも良し、心も体も再起不能にしてやれ。
これが俺の筋肉を鍛える目的そのものだ……!』
どこからともなく不気味な声が聞こえた……
ような気がして、慌てて振り向く少年。
しかし周りにそれらしき人は確認できず、思わず驚いて叫んでしまった事に腹が立って、全力で壁を殴る。
けれど少年のジョブはギャラクシーではなく、
普通の日本人と同じ、素手で壁を殴ったのと同じ状態。
手は腫れ上がり、激痛が走る。
何が筋肉だ……何がマッチョだ……!
何がギャラクシーだ……!
強いからって威張って、人を脅して、物を奪う卑怯者ばっかりじゃないか……!
悔しそうに拳を握りながらゴラゴランの名前を口にする少年。
怨みを込めたかのような目付きで目の前を睨み、居住区に入って最初に現れる食堂の隣を通ろうとしたその時、
前の方からモリゾーの声が聞こえて来て……?
モリゾー君!走っちゃダメだよ!
人にぶつかったらどうするの!
そうだよ!人が多い所だから周りをよく見ないとケガしちゃうよ!
だってこっちからいい匂いがするんだもん!
きっとこのお家は美味しいごはんが食べられるお店なんだよ!
それに酒場には情報が集まるって言うじゃ――
なんと、食堂に入ろうとしたモリゾーと少年が正面からぶつかる事故が発生。
モリゾーは尻もちをついた。
少年の怒りがさらに募り、モリゾーの胸ぐらを掴む。
しかし食堂の中から「大丈夫か!」と声がして、男が慌ててやって来ると、
少年はモリゾーを突き飛ばし、どこかへ走って行く。
ご、ごめんなさいっ!
みんな注意してくれたのに、オイラいい匂いがするからって走っちゃった!
だから今、人とぶつかったのはオイラのせいなんだ……!
そうか。それじゃあモリゾー君。
きちんと謝ることができたご褒美にウチのランチを食べて行ってくれ。
「いい匂いに誘われて」ここに来てくれたんだ、お代は要らないよ。
えっ本当!?
でもオイラ、友達と一緒なんだけど……!
仕方ない、それじゃあお友達にも食べてもらおうかな。
今回だけ特別だぞ?
あっいや、何でもないよ!
見たところ君達は冒険者のパーティだろう?
当店自慢のランチを食べて旅の疲れを癒やして行ってくれ!
お気遣いありがとうございます!
実は人を探してて、少しでも情報が欲しいんです!
有名人だから知ってると思いますけど、ゴラゴラン、グラリオ、大文字……
い、いやなんでもないよ!
そ……そうか、人探しなんて大変だなぁ〜!
と、とにかく、中に入ってくれないかい?
話は詳しく聞くから!!
ジャックさん。
このお店には何か事情がありそうです。
せっかく美味しい料理を食べさせて貰えるなら何か恩返しがしたいです!
うん。オレ達で助けになれる事なら協力してあげよう。
それにゴラゴランさん達の事、何か知ってそうだもんね。
はい!
さっきの慌て方、普通じゃないですよ!
ゴラゴラン、グラリオ、大文字タケル、どの名前に反応したのかは分からないですけど、脅えてるように見えました!
一体誰なんだろう……?
怖がる必要なんてないはずなのに……
ジャック達にとっては優しく、熱く、良い人という印象があるけど、
ここに住む人達にとっては違うのかもしれない。
【バイオレンス桃華】
読者のみんな!
今日もごちゃエピ!を読んでくれてありがとな!
それじゃあ次回予告をしたいと思うんだが、1つ聞きたい事があるんだ。
みんなは「匂い」って気にした事あるか?
嗅覚には「順応」と言って、同じ匂いをずっと嗅いでいると慣れてしまって、あまり感じなくなる事があるんだ。
でも、慣れるからと言って誰もが「臭い!」と感じる匂いを嗅ごうとは思わないよな!
実は、次の話は臭すぎてナイトメア連合軍から嫌われる、ど〜〜〜も変なヤツが登場するみたいなんだ!
いわゆる悪臭注意ってヤツ!
それじゃ、次回178話!
キモい!?臭い!?うっせーわ!魔法少女ヴェルグの受難!
【桃華】
って、今度は
あの人が魔法少女になっちゃうの~~~~~~!?
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