95話 守り抜け!笑顔と奇跡のファイナルライブ!前編
文字数 6,105文字
前回のあらすじ。
ライドウの罠で溺れたジャック。
意識も無くなって絶体絶命かと思ったけれど、気が付けば水中で息ができる。
そう。
ジャックを助けたのはバルバトス。
ライドウによってジェットコースターごと地中に埋められたはずが、クジラのような大きな魚に助けられたと言う。
バルバトスだけでなくアルテミアとも再会して涙いっぱいの再会を果たしたジャック。
どうしてバルバトスとアルテミアは無事だったのか?
今回はバルバトスが「実はな?」と語る所から始まる……。
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ジャックサイド。
バルバトスにキスをした途端、突然聞こえた声に驚くアルテミア。
その瞬間、天井から落下する岩が2つに分かれて粉砕。
バルバトスの寝ている担架の左右に1つずつ落ちた。
するとバルバトスはズボンのポケットから小さな瓶を出す。
アルテミアはストライクランページの瓶かと思うけれど、少し違う事に気付く。
そう言うと、バルバトスはストライクランベージを飲む。
これは闇のアイテムの代償のない安全なもの。
効果は全く同じで、スピードとパワーが飛躍的に上がる。
バルバトスは
「上から出られないならし下から出りゃいい!!」と叫び、地面にパンチ。
すると、大きな音と共に大きな穴が開いた。
中を覗くと、たくさんの地下水と……
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ライブ会場。
黄色い星のマークが描かれた丸いステージ。
そのセンターで歌って踊るのはソラ。
リサ、ゴラロボ、ラビッタはステージの裏。
会場はソラの新曲「ジェルーチェ」で大盛り上がり。
2回連続で同じ歌を歌っているにも関わらず、観客のテンションは上がるばかり。
ソラに気付いてほしくて手を振る観客。
そう。
たくさんの観客の中には以前グラスオーヴィのライブに来た人もいた。
そう言うと、ソラがもう一度歌おうとした途端、マイクをとるラビッタ。
しかし、ステージの後ろに設置された大きなビジョンにソラの姿が映り、どこからともなく男の声がする。
諸君!私の名前はライドウ。
このセクシャルレインボーというリゾートを仕切る責任者だ。
突然だが皆には悲しいお知らせがある。
歌っていた奴の名前は犬星ソラ。
あのゲノン帝国が捕まえている「別の世界」から来た人間。
この平和な島を襲いに来た危険な異世界人だ。
来場者の皆には申し訳なく思う。
しかしここはどうか、ライブの中止に協力してくれないだろうか?
ステージの反対方向に指を差すゴラロボ。
そこにはもう1つステージが。
ただソラの立っているステージとは違い、床には黒い星のマークがあった。
ライドウの登場に自然に拍手が起きるライブ会場。
するとライドウは恥ずかしそうに「やれやれ……」と呟き、マイクを握る。
すると、ソラが映っていたビジョンが別の映像を写す。
そこには飛行船でぐったりと倒れたレックスとソラの姿が。
さらに映し出されるのは
飛空艇でミノルのスキルによって爆発した時。
粉々に砕けてしまった牢獄の入り口。
そして大岩で塞がれたブラックハーツ・アドベンチャーの乗り場。
再びビジョンに映るソラ。
しかしすぐにステージ裏の入り口に隠れていたラビッタが映し出されてしまう。
大勢の観客に見られながらステージの前に歩くラビッタ。
目の前にはソラが寂しそうに立っていた。
ライドウの非情な行動に泣き叫ぶリサ。
リサの心の中には幼い頃の記憶があった。
かつての親子の会話。
リサが覚えている、大切な思い出。
なぜだろう。涙が止まらない。
その瞬間、ライドウから放たれる目の形をした黒い玉。
ソラに向かってまっすぐに飛び、ラビッタが慌てて叫ぶ。
ソラとラビッタの前に迫る3つの玉。
その瞬間。
突如聞こえた叫び声と共に爆発するステージ。
その衝撃に観客は動揺。
……確かに歌ってのは不確かなものだ。
必ず楽しい、なんて言い切る事はできない。
元気が出たり落ち込んだり泣いたりする事だってある。
激しく動揺するライドウ。
すると今度は、空からダミ声が聴こえてきて……?
なんと、ナナがものすごい顔をしながら落下。
あまりの突然の出来事にビックリしたゴラロボは、慌てて自分の足をジェットに変更。
「ああああああああ!!」と叫ぶナナを空中で見事にキャッチ。
お姫様抱っこにしてあげると、ナナの顔がパッと明るくなった。
どこかで聞いたことのあるようなセリフを言ってステージに見事着地したのはレックス。
ジャックのツッコミをガン無視してソラに挨拶。
ソラのちっぽけな背中を押すように、
大勢の観客によるコールが巻き起こる。
皆の心はひとつ。
ソラの歌を聴きたい。
ソラが大好きな歌をもっともっと聴きたい。
ソラはこの危機に誰1人逃げずに笑顔でいてくれる事、
自分の歌を楽しいと言ってくれた事に涙を流し、
今、再び歌い出す。