81話 バルバトス大暴れ?心優しきマギアドールとの出会い!
文字数 6,324文字
前回のあらすじ。
セクシャルレインボー、宮殿で行われたゼルガを操っていた謎の男とメルーナの会話。
男はゼルガとレックスに転移魔法をかけ、飛行船から脱出させる事をメルーナに約束。
メルーナに「とある事」を警告し、どこかへ消えてしまう。
一方、VIPルームにいたバルバトスの元へアルテミアが。
男とメルーナの会話を聞き、飛行船の現状を知ってしまった彼女は、自分の仲間であるゼルガとレックスの事を心配して涙を流す。
そんな時、優しく声をかけたのは……
そう。
宮殿に着いた時、急に元気の無くなったメルーナに続き、涙を流すアルテミアを見てやっぱり何かあるのではないか、と確信したバルバトス。
彼の予想は的中。
アルテミアはセクシャルレインボープロジェクトが始まる前からメルーナ、ゼルガ、レックスとは仲間だった事を話し、メルーナと話していた謎の男によってプロジェクトが始まった事も話す。
するとそこにメルーナが現れ……
犬星ソラ、ゴラロボ、リサの3人がこの島の近海までやってきた時点で飛行場から一斉射撃。
動力の「アレ」を最大出力にして光線を放つ。
謎の男の指示により、飛行船の迎撃をする事を話し、アルテミアは顔色ひとつ変えないメルーナにジャックの事を切り出して説得。
ジャックはまだこの島に来ていない!そうでしょう!?
ではどこにいるのか。
肝心のジャックは、ピンク一色の空間……
そう、
飛空艇のどこかにある巨大なハートの塊の中。
そしてハートを壊し、ジャックを解放する唯一の道具「ラブシャワー」。
それが今……
不審に思ったリリムにより、嵐の中に投げ捨てられる最大のピンチ。
****
セクシャルレインボー。宮殿。
1。VIPルームのシャワー室へ入る。
2。セクシーポーズをしたままお尻を壁に付ける。
3。壁が扉に変わるので中へ。
4。そのままのポーズで通路を進んでハイ笑顔。
5。床が穴に変わるので落ちてさぁ大変。
6。でも大丈夫。だってこれは秘密の抜け道……。
メルーナから渡されたメモを手に、「ふざけてんのか!」と言いたくなるような手順を踏んでVIPルームから姿を消すバルバトス。
彼が今いるのは宮殿内に隠された秘密の抜け道。
綺麗な通路とは違い、薄暗くて細長い通路。
通路の奥にある扉の前にはイケメンの石像が建っている。
ここが最後の道か……。
ってかこの石像、どっかで見た事あるような?
よーし。このイケメンをメロメロにすればいいんだな?
それなら男を落とす秘密のテクを、このバルバトス様が教えてやろう!!
というわけで!!
1。自分の指を咥えて投げキッス。
2。裏声で「ワーオ❤️」
3。上品に髪をかき上げてウィンク。
4。上目遣いで手を上げて「抱っこ❤️」
5。M字開脚。
6。だっちゅーの。
あたしバルコ。
セクシャルレインボーに引越ししてきたフツーの女子高生!
るんたった!るんたった〜!
きゃあっ!
こんな所にイケメンがいるぅ〜!
さっそくセクシーアピールしなきゃ!
あたしの事セクシーだと思ったら道を開けてね!
はい、きゃぴ☆
セクシーに吸います。
ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
聞いて下さい。新曲。
「クレイジーピーポースターライトステージ」。
秘密の抜け道から宮殿の通路に出て、小さなベランダに隠れるところでふと我に帰るバルバトス。
目の前は青い海。少し遠くには砂浜や大きな建物が見える。
こんな事やってる場合じゃねぇ!
せっかくメルーナちゃんが「アイツ」のヒントを教えてくれたんだ!!
拳を握ると「バルバトスが教える!男を悩殺!恋する女子のセクシーモテ仕草」と書かれた手作りの看板をバキッと折って草むらに捨てるバルバトス。
「アイツ」のヒント。
それは前回、メルーナがジャックについて教えてくれた後の話。
『よし。
オレも動くぜ!さっさとブッ飛ばしに行かなくちゃな!
そのためにも、その「あのお方」ってのの正体を知らねぇといけねぇ。
メルーナちゃん、ヒントだけでもいい!教えてくれ!』
『わかったわ。わかりやすいヒントをあげる。そうね……』
『あなたの顔の傷、誰に付けられたの?かわいそうに♪』
何でだよ……!?
何でアイツがこの島に手出してんだよ!?
あり得ねぇ!ふざけんじゃねぇぞ!!
待てよ……?
そういやソニアのヤツ、ジャックに会ったばっかりの時……
……ジャック……。
お前が思ってるほどアイツは優しくなんかない。
"オレ達"を捨ててこの島を狂わせた最低の男だ!!
セクシャルレインボーの裏に潜む「男」の正体を知り、バン!!と壁を殴るバルバトス。
すると、看板を投げた草むらからガサガサという音と、かわいらしい女の子のような声が。
こんなに怖い人だと思わなかったよう!
メルーナさん!助けて〜!
冗談だよ。
メルーナちゃんの名前を知ってるって事は、君も仲間なんだろ?
オレは正義のヒーロー、バルバトス!
この島を助けに来たぜ!!
さぁ出ておいで。
セクシャルレインボーの「魔法」担当、マホちゃんだろ?
【マホ】
はい!「マギアドール」のマホです!
バルバトスさんを待っていました!
でも、草むらに看板を捨てたり怖い顔をしたり、秘密の抜け道でセクシーポーズをとるような人だったなんて……!
はい、見てました……!
石像に向かって新曲を発表してるところも見てました~!
といっても、この崖から降りるだけですよ。
あっという間に岩場に着くので、そこから歩いて行くんです!
あ〜そういやベランダに出た時から高い所だなーって思ったんだよー!
そう、宮殿があるのは壁のように垂直になった崖の上。
そして、まさに断崖絶壁の崖の下にあるのは、まるで剣山のように鋭利な形になった岩。そして海。
今いる所は砂浜から数えてビル5階分の高さ。
いやそれ以上かもしれない。
バルバトスは下を向いたままバグってしまう……。
わぁ〜高い所から見てるから小さく見えるけど剣山がたくさんあるぞぉ〜?
落ちたら終わりだぞぉ〜?あはははは〜
背中のハッチを開けて翼を出せばゆっくり降りられます!
さぁ行きましょう!
あ、そうだったそうだった!
悪い悪い。じゃあ背中をガチャッと開けて〜
わわっ!ごごごめんなさい!
あなたは人間さんでした!うっかりしてました〜!
えーと、君は確かマギアドール……。
「レイドロギア」って国で生まれた種族で、体の中にある「コア」のおかげで動けるんだよな?
はい!
「人形」とか「ロボット」なんて言われる事もあるけど、「歯車」によって「型」が変わって魔法も使えたり便利な事ができたりするんです!
これだけではないですけど、
背中にゼンマイのついたアンティークギア。
様々な魔法が使えるマジックギア。
手足が様々な武器になるバトルギア。
人間さんとの生活を支える便利な機能がついたスローライフギアというのもあるんですよ。
じゃあボインの美女が過激なサービスをしてくれるセクシーギアもあるのか〜?
残念そうに聞かないでください。
珍しいギアは高額でお小遣いじゃ買えないので、魔法が使えるくらいです。
といってもまだ簡単な魔法しか使えないですし、相手に攻撃された時の強力なバリアが使えるわけでもないです。
でもいいんです。
誰かが傷付くのは嫌ですし、みんな笑っていられるのが一番だと思ってます。
世界中に10種類以上のギアを持った人達がたくさんいるけど、メルーナさんからもらったギアがあるから……
メモリアルギアです♪
メルーナさん、アルテミアさん、ドルチェさん、ヒビキさんとの思い出も、これから起きる事も全部覚えて、絶対に忘れないためのギアなんですよ♪
はい。
もしみんなが忘れちゃっても、みんなとの思い出をずっとずっと覚えていたいんです。
私が壊れる、その時まで。
言っただろ?
オレはこの島を助けに来たヒーローだ。
もちろんオレにだって仲間がいる。
だから、
「オレ達」にも守らせてくれないか?
君の中にある、仲間との大切な思い出。
バルバトスの言葉に笑顔になるマホ。
バルバトスは、マギアドールの少女の小さな宝物を守るという約束を交わし、笑顔で港へと向かう――。
****
一方、お待ちかね。ここは飛空艇。
ラブシャワーを投げ捨てるため、ピッチャーリリムが振りかぶって……
投げたーーーーーー!
……と思いきや、残念。
ここはセクシャルレインボーの飛行場。
……ドルチェと共に居なくなってしまったソニアは、周りを警戒して歩いていた。
勘違いするな。
まだ信用したわけではないぞ。
迎撃などあり得ない!
信用してちょうだい。
「飛空艇を粉々にすると困るのは私達もあなたも同じ」って言ったでしょ?
あれはあなたの愛しの彼、ジャック君が飛空挺にいるからなの。
ちなみに、これはメルーナちゃんの指示じゃないわ。
落ち着いて。彼は大丈夫。あなたをここに連れてきたのはメルーナちゃんからの指示よ。
「彼女」に会わせて飛行場の大砲に細工をするためよ。
敵だなんて人聞きの悪い事を言わないで?
迎撃の指示はメルーナちゃんじゃない。
私達はジャックも飛空艇も傷付けるつもりなんてないの。
【ジュリア】
私はジュリア。「愛」を担当してるの。
私はね、あなたに好きな人への気持ちがどれくらいあるかがわかるの。
ジャックへの気持ち……?
……!わ、私はジャックの事など……!
わかりやすいのね♪
いい?よく聞いて。この飛行場では今、迎撃の準備をしている。
それが放たれれば飛行船に乗っているあなたの仲間も私達の仲間も危ない。
もしかしたらジャック君が乗っている飛空艇も……
私達もそう思ってる。
そこであなたの「愛」が必要なの。
まず迎撃に使う大砲。
その弾となるのは最大出力にしたアレ。
これはこの島の地下にある「黒い気持ち」。
怒り、悲しみ、そう言った気持ちの塊だと思っていいわ。
そこでアレをなんとかするのはバルバトスっていう男の子の役目。
あなたには「ジャック君への気持ち」を具現化して、大砲の弾と交換してもらう。
あとは撃つだけ♪
出来なければお互いの仲間の命はない。
ソニアちゃん、彼の事を迷っているのは分かっているわ。
でも今この島にいて、弾を代えられるのはあなたしかいないの。
お願いだから協力してちょうだい。
(さぁ、これでここは大丈夫。マホちゃん、彼をよろしくね♪)
はぁ〜い♪マギアルクラフトの技師御一行様♪
人が多いのではぐれないようちゃんと付いてきて下さいね〜♪
はぁい♪バルクピースアイランドのマッスル御一行様♪
ここがセクシャルレインボー自慢のビーチですよ♪
なんじゃこりゃああああああああああああああああ!??
水着を着た女性とそれに付いていく数十人の男達。
胸が揺れても気にせずビーチバレーをする美女。
「お土産はいかがですか♪」と新鮮な魚や野菜などのお土産を売る女性。
そのビーチは、
海賊、剣士、ニャルシーなどの獣人、さらにはカップルまで見渡す限りの人に埋め尽くされていた。
これから迎撃が始まるってのに何でお祭り騒ぎなんだよ!?観光地かここは!?
はい!すごいでしょう?
ここは「ピチピチビーチ」といって、異世界人のスポーツが楽しむ事もできますし、飲食店やお土産屋さんも楽しむこともできるんです!
夜になるとパレードも始まって、打ち上げ花火は最高です!毎年たくさんの島外の人達が旅行しに来るんですよ♪
あ、でかい宿屋が見えるや。
これなら団体客もスッポリシッポリ泊まれるねぇ。
……っていうかオレ達、港を目指して来たんだったよなぁ?
ここだけは……
ここだけは、リーダーが優しかった時から変わっていないんですよ。
(そうか!ここはセクシャルレインボーの「表」の姿!これを見せたくて……!)
いい所じゃねーか!
この島が元に戻ったら、オレの仲間と一緒に思いっきり遊びたいぜ!
もちろん君の仲間も一緒にな!
なにしろ、ボインの姉ちゃんもいっぱいいるしなぁ〜!
うっひょー!たまんねぇぜーーーーーー!
わざとらしく鼻の下を伸ばすバルバトス。
そんなバルバトスを見て、マホは笑顔になるけれど……
画面の前のみんなも行こうぜ!
ビラビラビーチッ!!!
****
ピチピチビーチを後にして徒歩10分。
様々な船が並ぶ港に着いたバルバトスとマホ。
やはりたくさんの観光客がゾロゾロと歩いている中、目立たないように周りに気を配り、黒丸の絵が書かれた建物へ。
小屋とも言える小さな建物のシャッターを開け、薄暗い部屋を進んで奥にあるカプセル状の入れ物に入ると、床がゆっくりと下がり、地下へ……。
これが地下か。
よーし、思いっきり暴れてやるぜ!!
敵はどいつだ!?
えっ……えええ……!
な、なんじゃこりゃあああああああああ!?
ムチを持った女性。手錠や鎖で繋がれた男。
中央には黒丸の絵が書かれたドカンのようなもの。
どう見ても地上の光景とは違い、観光地とは程遠い。
ここは「ブラックボックス」。
島の女の人にボディタッチしたり食い逃げをしたりした島外の男の人が奴隷として働いている所です。
罰を受けるのはわかるけど、奴隷って……
みんな何をして働いてるんだ?
正解です。
ここで生まれた弾の中身は奴隷の人達の恨みとか怒りとか怖いもの。それを具現化して撃つんです。奴隷の人達を助けてあげれば止められるかもしれませんが……
でも、ここへ来た理由はこの奥です!
バルバトスさん、「なんじゃこりゃあ」の準備しておいてくださいね♪
というわけで、
ごちゃエピ!81話はここまで!
次回、バルバトスさんがトロッコに乗ってブラックボックスの最深部へGOGO!
でも、レールがねじれていてスリル満点ですよ!
天然洞窟や大昔の遺跡、セクシャルレインボーの秘境へご招待♪
果たして、最深部で「アレ」を見つける事はできるのか?
あ、ブレーキはありませんので!
それでは、
次回、ごちゃエピ!82話♪
「さよならバルバトス!地獄のトロッコアドベンチャー!」へ〜
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)