186話 緊急事態発生!豹変したメテオヴァラス!
文字数 4,644文字
前回のあらすじ。
メテオヴァラスのパンチで死んだと思われたジャックとヴェルグ。
突如現れた赤髪の男、レオンによって、
ドーピング出来るドリンクを飲み、傷が回復&パワーアップ。
さらに、
ギャラクシースマッシュ、ビクトリースマッシュ、
新技バーニング・インフェルノ・スマッシュの3つをメテオヴァラスの体に叩き込む事に成功。
ネガティブな言葉が多く目立っていたナイトハルトもナイトメア連合軍に入る事はなく、
桃華を斬りつける危機を回避して、普通の精神状態に戻り、
まさに絶望をひっくり返した形勢逆転の状態。
このままパワーアップしたジャック、ヴェルグ、レオンが
メテオヴァラスとバベルを倒し、無事解決となるのか?
うおおおおおおおお!!
今こそ反撃の時だ!ナイトメア連合軍を討ち取るぞおおおおおお!
会場にメテオヴァラスの手下どもが居るはずだ!
他の隊長が来たら厄介だ!全員倒せ!!
それなら僕も付いていくよ!
この会場の外にも敵はいるはずだから、そっちも片付けないとね!
怪我人は私のところに集まってちょうだい!
どこの騎士団でも関係なく、癒してあげるわ!
私はランブルク騎士団のヒーラー部隊よ!
おぉ!頼もしい!!
それならちょっと暑苦しいかもしれないが、守らせてもらおう!
俺はアクパーラ騎士団のマッスル部隊なんだ!
瓦礫が降って来ようと粉々にしてやる!
ジャック達に希望を抱き、それぞれ動き出す者達。
自分の役割を決めて協力し合うその姿はまさに、素晴らしいの一言。
へぇ〜。
どこの集団にも入らずに単独で動いてるけど、それぞれがちゃんと人の役に立とうとしてるのは見ててワクワクするなぁ!
どんな事だって出来そうな、そんな気持ちになるぜ!
よくも今まで人の感情を操ってくれたな。
もう二度と後ろ向きに考える事はない。
自分のした事を許されると思うな。
……だが、ひとつだけ勘違いするなよ。
俺はお前を恨んで戦うわけじゃない。
仲間と一緒に戦って、勝ちたいだけだ。
殺したいわけじゃない。
そうだ!
俺達は虫を使って心も体も壊すお前らとは違う!
ラトリアのブラックエリアで犠牲になった人達の事、この会場で犠牲になった人達の事!
許すつもりはねぇぞ!!
しっかり反省しやがれ!!
メテオヴァラス!お前もだ!!
まだ生きてるんだろう!?
俺達は逃げも隠れもしない!
正々堂々戦って、お前に勝つ!!!
そう、まだ戦闘は始まったばかり。
それぞれ武器を取り、バベルと睨み合う。
ジャックもギャラクシーにジョブチェンジ。
……しかし、どういうわけか天井に激突したメテオヴァラスを探すけど姿が見当たらない。
きっと真下のリングに落下して倒れているのだろう、逃げ場のないように取り囲むと、辺りに灰色の煙が上がっていて……
パリン! ガシャン! パリン! ガシャン!
と、謎の異音が鳴っている事に気が付いた。
何かが割れるような音が聞こえない?
お皿とかお酒の瓶とか、そういう……
レオン君が仲間になってくれたのとナイトハルトさんが生きる選択をしてくれたお祝いの音ですよ!
ゴクッゴクッゴクッ パリン!
ゴクッゴクッゴクッ ガシャン!
おい、待てよ……!
さっきオレ達は細長い瓶に入ったドリンクをちょっと飲んだだけでパワーアップできたんだよな……?
ゴクッゴクッゴクッ パリン!
ゴクッゴクッゴクッ ガシャン!
ま、まずいんじゃないか?これ……!
あんなにドリンクを飲んだらどれだけパワーアップするんだよ……!?
体が何倍にも膨れ上がったら、パンチの威力はどうなってしまうの……?
ハ……ハハハ……ハハハハハハハ……
どう考えても飲み過ぎだ……お前ら終わったなぁ……?
もう誰も助からねぇよ……イヒヒヒ……
普通、ドーピングをする時は……
一定間隔を空けて、数時間おきに飲む……。
それも1日3本の制限付きで、数日かけて飲み続ける事で、パワーアップの持続時間を延長する事ができる……
つまりルールを守って飲み続けば、長い時間強い状態になれるという事か。
だがこのドリンクには副作用があったはずだ。
そうだ……!
あのドリンクはまさに凶薬!
強大な力を与える代わりに代償を受ける!
1本飲んだくらいじゃそこまで体へのダメージはないが……!
制限を無視して飲みたいだけ飲めば、禁断症状が現れる!
非情な性格になったり、別の人格が生まれたり、暴走して手がつけられなくなったり、"里を壊滅させる"事もある……!
ここには居ないようだが、お前達の仲間にも居るはずだぞ?
これを飲まされた奴が!!
気のせいか……?
「村」なら分かるけど、わざわざ「里」って言わなかったか……?
『信じられないかもしれないけど、君と一緒にいるあの子には見た目からは想像もつかない恐ろしい顔がある。』
『彼は3年前、そこに住む人の足を掴んで、家から引きずり出し、刃物でズタズタに引き裂いて皆殺しにした……』
待てよ!!
モリゾーはもともと里で暮らす普通の人間だった!
じゃあ誰かがドリンクを飲ませたって事か!?
嫌がっても無理矢理飲ませたんだろうな。
抵抗してもどうにもならないで、そのまま……
『うっ……!
あ"あ"あ"あ"あ"あ"……!!
た、た"す"け"て"……!!』
じゃあ、メテオヴァラスにも禁断症状があるのか……!?
あぁ!
あいつは感情の制御が出来なくなって、見境いが無くなるんだ!
そのせいで隊員が200人も犠牲になったし、このスタジアムなんて一度壊れて、建て直したんだぜ!?
ど、どうだ!?恐ろしいだろ!?
ツノが赤くなるのは当然だ、顔なんて見たら恐怖で動けなくなるぜ!?
お、お、お前らなんてパンチ一発で死んで終わりだ!!
ハハハハハハ!ざまぁみやがれ!!
よ、よし!!最高だぜメテオヴァラス!!
やっちまえ!!
と、とにかく!お前達はもう終わりだ!!
あいつを怒らせた事を後悔するんだな!!
誰も逃げられないぞ!!
バベル死亡。
バベルが「見境いが無くなる」と説明した時点で灰色の煙から何倍にも膨れ上がった黒い腕が現れ、
メテオヴァラスがバベルの後ろに移動。
不気味に笑うと、片手で頭を掴んで、
握り潰してしまい、バベルは首のない死体へと変わり果ててしまった。
突然の展開に静まり返る会場。
しかし、バベルの体が倒れた途端、一同はパニックに。
みんな焦っちゃダメだ!
落ち着いてこの会場を出るんだ!
い、いやだ……!!
止めろ!止めてくれ!!
あああああああああああああああ!!
片手で首を握り潰した……!?
何なんだこれは……!!悪夢か……!?
気を失っているだけだ!
目の前で人の頭が潰されたんだ、無理もない……!!
あの野郎マジでヤベェぞ!!
力が溢れすぎてコントロール出来てねぇ!
周りにいる人間をパワーでねじ伏せる事しか考えてねぇよ!
とにかく危ねぇ!ここは逃げるぞ!!
止まれ!!!
ギャラクシーのパンチであいつを止めるつもりか!?
ここは一度、作戦を立て直すんだ!!
逃げるんだよ!!!
うるさい!怖いのはみんな一緒なんだ!
腕を掴まないでくれ!
さっきまでの協力態勢を取り戻せ!!
落ち着けば出来るはずだ!!
ジャック、悔しいのは分かる。
せっかく師匠も元に戻って、桃華ちゃんも救えた。
あいつに渾身のパンチを叩きこむことも出来た。
バベルももういねぇ。
だけど、今は緊急事態だ。
今の俺達じゃ相手にならないし、
助けを求められても全員を救うのは無理だ。
すでに犠牲になった人もいるし、いくらでも増えるだろう……!
だから今は、撤退だ……!
せめてパニックになってる人達を落ち着かせて、
1人でも多くの人をここから逃がそう!
あいつを倒すのは一旦諦めて、また次のチャンスに賭けるんだ!
それ、お願いしてもいいですか?
桃華のこともお願いします。
そうだ、死んだアイツと同じ所に行こう。
もういいや……
……今、困ってる人がいるんです。
敵わないからって、放ってはおけません。
はい、ドーピング完了♪
うーーん。美味しくはないかな?
んなっ……!?
それは師匠が副作用を抑えたわけじゃない、メテオヴァラスが飲んでたのと同じドリンクだぞ!?
自分が何したか分かってんのか!?
師匠まで何してんだよ!?
あいつみたいに禁断症状が起きたらどうするつもりなんだ!?
ヴェルグは混乱している人達を落ち着かせてここから脱出させろ。
バルトリオは桃華ちゃんをスタジアムの外へ連れて行って、彼女を休ませるんだ。
当然ここに残るだろう?
ジャック君がやる気なんだ、俺もやるに決まってるじゃないか。
1人にはさせないよ。
はぁ……
まったく、せっかく走って逃げようってのに言う事聞かないワガママは困るね!
だ、だよな!
あんたからもなんとか言ってやってくれよ!
しょーがねーだろー?
あいつに対抗するには、こっちも同じ手を使うしかないんだからさ。
っつーかさ、ヤりすぎじゃね?
周りにいる人間を片っ端から殺すとか、
マジグロすぎて見てらんねーんだけど。
レオン、ジャック。
質問があるんだが、こういう時は……
アレを止める、みんなを助ける、いろいろな言い方があると思う。
一番良い言い方はないだろうか?
同感だ。二度と動けないように再起不能にしてやろうか。
メテオヴァラスと睨み合う、
ジャック、ナイトハルト、レオン。
今、試合開始――。
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