172話 アウト連発!?ブラックエリアと禁断のお宿!
文字数 5,991文字
前回のあらすじ。
スパ・ラトリアでのミッションと再会、宴会場での大騒ぎ。
様々な形で思い出作りをしたジャックは、桃華の手紙とハルの提案を参考にして今後の行動を決めた。
まずはピットセレブチーム。
星乃ハル、ルルカ、ドゥーン、パンザレス、ラズリーはピットセレブに向かい、
いつかジャックが奴隷商人ダイナーを退治するための準備のために脱出方法を探る、公開処刑に向かってくれる仲間をスカウトする、奴隷を解放する……
以上3つの目的のために別行動をとり、
ウルクやアルテミアなどは、
これから先で役に立ちそうな情報をクエストクロックに送る役目になって、
それ以外の仲間達は解散し、それぞれの居た場所へ戻る事に。
そして肝心のジャックは、
モリゾー、ヴェルグ、シロナ、桃華と一緒に、
ハルやゴワスが選んだ「スカウトする候補」に会いに行って、ゴラゴラン達がどんな人物で、助けるための手がかりはないか?を探りながら公開処刑の場であるウメダに向かう事に。
以上、それぞれの今後の行動を発表したジャックにとって、最初の課題は……?
『あーーーーーーっ!
お、思い出したーーーーーーっ!』
『ラトリアの入り口で害虫が大量発生していて、外に出られないんだよ〜!
ヴェルグ君とオイラはクエスト受けたままだったんだ〜〜〜!!』
そう、モリゾーとヴェルグが受けっぱなしでまだ何もしていないこの害虫駆除のクエスト。
どういう虫で、どんな被害が出ているのか、どれほどの難易度なのか、今のジャック達はまだ知らない――。
いつまで泣いてんだよ?
あのスーパーアイドル、未来ちゃんだってハルとの別れに泣くのを我慢して笑ってたんだぞ?
男なんだからシャキッとしろ!
出来るだろ?ジャックなら。
誰かとお別れするのはイヤなんだもん!
何回お別れしたって悲しいんだもん!!
男だろうがジャックだろうが無理な物は無理だもん!!
そうは言ったってしょうがないだろ?
まぁ、自分のためにあれだけ集まってくれたっていうのがすごい嬉しかったのは分かるけどさ。
あっ!今寂しそうに笑ったよね!?
君だって本当はみんなと別れるの嫌だったんだ!
実は泣いてるんじゃないの!?
「泣いてる!」「泣いてない!」と子どものような言い合いをするジャックとヴェルグ……。
今、ジャック達は害虫駆除のクエストを行う
別のエリアに移動中。
はい!
みんなでこれからの行動を決める会議をした後、普段私が働いている農場に連絡をしてみたら……
『分かったわ。
でもウメダまで行くのは危険すぎるから、途中で転移魔法陣を見つけて帰って来なさい。
くれぐれも怪我だけはしないようにね。』
転移魔法陣……って、
このラトリアにもある物と同じですよね?
魔法陣の上に立つだけで中心街とか獣人街とかを一瞬でワープできる……!
はい、その通りです!
私達ストックリバディーのスタッフのお仕事は、いろんな町に行ってミルクを販売する事!
わざわざ歩いて遠くの町に行くより、魔法陣でひとっ飛びした方が便利なんです!
あぁ〜。日本にもないかなぁ。
ワープできたら学校に行くのも楽なのにさぁ~。
ともかく、自分のタイミングでワープして帰れるならいいじゃないか。
まぁ、俺は自分の足でいろんな所に行く方が好きだけど!
『やっとお兄ちゃんにお手紙を渡せたんですけど、どうしても付いて行きたいんです!お願いします!!』
――ってお願いしたら、OKが貰えたんだ♪
だからお兄ちゃんと一緒に居られるの!
良かったですね!
桃華ちゃんが居なかったら女の子は私だけになっちゃうので、安心しました!
ウッヒョーーーーー!
シロナちゃんがいるだけでエロを期待しちゃうのに、桃華ちゃんまでいるとか最高じゃーん!
ボク、ボインボイーンだいちゅき!
主人公なんだし、エッチなハプニングは起きないかなぁ〜?
お兄ちゃんに変態さんが乗り移った〜〜〜〜〜〜!?
悲報。
ジャック、桃華の勘違いからまさかの腹パンを喰らう……。
この日、四つん這いになって悶絶しながら、
いつもボケだったドゥーンとパンザレスが居ない事、
2人のマネをするとろくな目に遭わない事を知るのだった……。
****
……で。
ピットセレブチームはもうラトリアを出たのかね?
何だよ〜?不機嫌そうな顔して〜。
まぁモリゾーは「花より団子」って考え方だろうから女なんて興味ないだろうけどさぁ〜……
ラトリアの入り口は4つ。
それぞれゲートって呼ばれてて、セントラル、ビースト、マジック、ブラックに1つずつ設置されてる。
ピットセレブに行くにはビーストのゲートを通る必要があって、スパ・ラトリアからだと最短距離でエリア移動できるから、もう出たかもね。
あっそうか!
4つ入り口があるって事はそれぞれ別の道があるって事だもんね?
オレがアーリーナイト城とかウエノとかを通ってセントラルエリアの入り口に着いたように、残りの3つもどこかに繋がってるんだ!
じゃあ私達はマジックエリアかブラックエリアのゲートを通ってこの町を出る流れになるんでしょうか?
害虫駆除をするエリアまで移動してるんだから、
そのエリアのゲートを通ればいいんじゃないか?
ラトリアを出たらどんな所に辿り着くんだろうな!
ワクワクするぜ!
よーーーし!
害虫をバッサバッサとやっつけて、ラトリアを出よう!!
各エリアのゲートを超えた先はどこに着くのか?
どんな景色があって、どんな事が待っているのか?
処刑場であるウメダに着くまでの道中であっても、きっと嬉しい事、楽しい事はあるはず。
それならそれがどんなに小さい事でも期待したい。
ジャック達は期待を胸に走り出すけれど……
クエスト名:害虫駆除
冒険者 :モリゾー、ヴェルグ
場所 :ラトリア・暗黒街のゲート付近
難易度 :★★★★★(5/5)
備考 :女性受注禁止!全滅します!!!
これは女性冒険者が絶対に受けちゃいけないすごく危険なクエスト……。
冒険者が死んだ、
冒険者が石化や凍結など何らかの状態異常になったまま動けない、
そういう最悪の事態になった人が多いかどうかで難易度が分かるけど、これは異常だ……!
ええい!弱気になっちゃダメだ!
せっかくジャック君の旅の仲間になったんだもん!
たとえオイラの「お箸」が折れても役に立たなくちゃ!
全滅だけは絶対に避けるぞ!!!
クエストクロックの画面に映るクエストの内容を見て気合いを入れるモリゾー。
恐れていては前には進めない。
そう、たとえ害虫の後ろに、どんな相手が潜んでいたとしても……
****
ラトリア、暗黒街。
ここはブラックエリアとも呼ばれていて、主に魔族が生活している歓楽街。
他のエリアとは違う特徴的なものといえば……
①ずっと夜。
②女性のイラストが描かれた怪しいお店。
③宿屋ではなくホテル。
④そこら辺でイチャつく男女。
⑤大人向けのお土産屋さんとガチャガチャがある。
⑥他種族が道を歩くと声を掛けてくる女の子がいる。
はぁ〜〜い♪
そこの人間のお・に・い・さ〜〜〜ん♪
私といい夢見ていかな〜い?
女性経験が無くても大丈夫!
冒険者でも観光客でも優しくリードしてあげるわよ〜♪
んなッッ!?
何なんだあの子!街中なのにスッポンポンじゃねーか!?
ボインがすげ〜〜〜揺れてるぞ!?
そう、お察しの通りここは世の男子にとっての楽園!
魔族の中でもセクシーなスタイルに恵まれたサキュバス達が他種族の男性を誘惑してエッチなお店に連れて行き、
あ〜んな事やこ〜んな事をしちゃうサキュバス街!
周りの人は他のエリアからこっそりやって来たのかキョロキョロしている人や、
ブラックエリアの常連なのか人前でも気にせずにサキュバスとキスをする人、
大胆な格好のサキュバスを凝視してハァハァ言い出す人など、
とても男子高校生と女子中学生が見ていい状態ではない……
だ、だってしょうがないじゃんか!
あんな格好で外を歩いてる方が悪いんだー!
いやしかし、すげぇ刺激的だな!
もしもさっきまで集まってた一部のメンバーが全裸の女が当たり前に外を歩いてるここに居たら、どんな顔するんだ!?
その場で抱いたら世も末だぞ!?
まずルルカちゃんは大きなお胸に恨みがあるみたいだから目を見開いて呪文をブツブツ言い出す。
コタロー君とナナちゃんはお胸を叩いたりツンツンしたりして遊ぶ。
バルバトスさんは「なんじゃこりゃあ」からのオリジナル曲の「クレイジーピーポーずっこけシリーズ」最新作を作詞&作曲。
リサさんは「ナメんじゃないわよ!」とか言ってセクシーポーズしてポロリ。
なぜか対抗心を燃やす。
抱いてやる!とか言いつつ、刺激が強すぎて鼻血ブーして倒れる。
女に慣れてない男なんてそんなもん。
ちょっと!!
私だって負けていませんよ!?
今からぜ〜んぶ脱いでジャックさんを誘惑しちゃうんですから!!
悲報。
主人公とよく絡む登場人物を挙げたらろくなキャラがいなかった。
by作者
ははは。ほんとにどうなってんだ?「仲間に恵まれた主人公ランキング」最下位決定じゃねーかヴォケ。
もう一度キャラ設定考え直して来い。
読者の皆さんはどうですか?
学校の友達、または同僚や上司に恵まれていますか?
もしそうならあなたは幸せですよ。
大切にしてあげて下さいね。
明後日の方向をぼんやりと見つめながら画面越しに話しかけるジャック……。
ちなみにヴェルグが言った「コラボ」はジャックの顔と赤茶けたフォントカラー。
いつもコラボしている他作品の主人公がよくやってる顔で……
と、その時。
ジャック達のやりとりを聞いていたサキュバスの目がギラリと光って、とんでもない提案をしてしまう。
はじめまして♪
私はブラックエリアの観光案内の者です♪
わぁ〜すご〜い。
ここに来るの初めてだからどこに行けばいいのか分かんないし、助かったぁ~。
どこに連れてってくれるのかなぁ?
ななな、何だよそれ!?
サキュバスが営む温泉なんてヤバい匂いがプンプンするぞ!?
ピンク一直線じゃねーか!?
サキュバスだらけのブラックエリアの観光スポットの1つである温泉宿だけど、さすがにスケベなサービス満載の「大人向け」の場所じゃないよね?
と思っている桃華、及びそこのキミ。
甘い!!!
これはごちゃエピ!だ。
日本だったら温泉までの送迎バスがある宿もあるよね?
もしあるならどんなやつか見てみたいなぁ〜。
そう言うと、ちょうどタイミングが良かったのか「プップー」と音が聞こえて、バスがやってくる。
そして、そのバスの最大の特徴が目に入ったヴェルグとジャックは……!?
お、おい見ろジャック!
バ、バ、バスの上に何か乗ってるぞ!?
あ、あ、あ、あ、アウトだろアウト!!
サキュバスがM字開脚してるううううううううううう!?
【バスの上のサキュバス】
あはぁぁぁん!到着よ〜〜〜~~~!
アウトおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
そう、バスの最大の特徴は、
これまた何も着ていないスッポンポンの女性……
サキュバスがバスの上に乗っているというとんでもない状態。
しかも大股を開く大胆なポーズで、
バス停に着くと超セクシーな声で「到着した事」を教えてくれる嬉しいサービス付き❤︎
それは自分の周りにまともなキャラがいない事から「コラボの顔」になったジャックの顔が一瞬で変わってしまうほどの衝撃。
すごいでしょう?
このバスの他に、ブラックエリア内をぐるり一周する観光バスも出ているんですよ?
ちょっと待てえええええ!
俺達はゲートに行くためにブラックエリアに――
ヴェルグとジャックの願いは届かず、
意味深な音を鳴らして、謎の液体が雨のように降って、発車してしまう送迎バス……。
行き先はサキュバスの手招き踊る温泉旅館。
果たして、完全にアダルトな展開にならずに、
無事にチェックアウト出来るのだろうか――?
あら?貴女は乗らなくて良かったの?
さっきからコソコソ隠れてあの子達を見ていたけど……
うぅ……。
仕方ない、私も行くしかないか……。
あ、あの、他のバスって何時来ますか?
バスに乗ったジャック達を見て焦り、
別のバスで追いかける謎の少女。
その手にはクエストクロックが……。
みなさんこんにちは。金剛寺桃華です。
ブラックエリアに着いてからの流れでクエストに挑戦できず、送迎バスに乗る事になった私達ですが、目的地の「サキュバス温泉」は限りなくセクシー……
いや、もう変態のお宿って呼びます。
だって、旅館の女の人もサキュバスだから何も着てないし、
とんでもないサービスはあるし、お土産屋さんに売ってる物はアウトだし、
他作品とのコラボもあるし、シロナさんにはヒミツが……
第5章に入っての初めての新キャラがいるから大丈夫だ!
きっとなんとかしてくれる!!
たぶんだけど!!
それじゃあ、それを信じて次回予告を終了したいと思います。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
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