96話 守り抜け!笑顔と奇跡のファイナルライブ!後編
文字数 5,519文字
前回のあらすじ。
ソラの歌で盛り上がるライブ会場にライドウが襲来。
このライブは帝国に連れて行く前の執行猶予のようなもの。
ソラはレックスを傷つけた。飛行船も壊された。
と大勢の観客にでっち上げた嘘を公表。
さらにこれまでにライドウが襲ってきた飛空艇、
ジャックを溺死させようとした牢獄、
ジェットコースターの乗り場もソラの仕業だと言い、
ソラの歌も馬鹿にして攻撃を仕掛ける。
さぁ避けろ!
避ければお前の後ろの観客に当たる!!
お前に守れるはずがない!!
ソラ君の歌は邪魔させません。
このライブ会場は……!
バルバトス、アルテミア、ジャックが助けに。
さらにライブ会場の上から落下するナナ、レックスも。
ソラは皆が助けに来てくれた事、
ライドウが来ても逃げ出さず、歌を楽しいと言ってくれた観客に感動。
今、再び歌い出す。
****
ライブ会場。
ジャックやバルバトス、アルテミアが生きていた事に驚いていたライドウ。
しかし、まだ何かあるのか不気味に笑い出していた……。
観客を守る?歌を聴きたい?ソラはあんな事しない?
ふふふ……ふふふふふふ……
そうだ!あそこにいる少年だって知ってるぞ!
グラスオーヴィのクリスマスライブの時に会ったんだ!
クリスマスライブ!?
あれってかなり前だったし、オレがジャミ子だってバレてる!?
51話にゃ。
もちろん画面の前のみんなは覚えてるよね〜?
どうせ戦うなら楽しく戦いたいんだもーん。
ソラっちの歌聴いてると元気が出るし、誰かを恨みながら戦うなんてイヤ!
どこからそんな声出てるの?
っていうかサイドチェストの講座始まっちゃったんですけど……
そうか!ここはライブ会場!
お客さんはソラ君の歌を聴きに来てる!
歌って踊って楽しい所なのに、本気で戦ってたらライブが台無しだ!
そういう事。
せっかく聴いてくれるんだ。オレ達はソラの歌を一緒に盛り上げるバックダンサーと思えばいい。
そうにゃ!
それに幸せと不幸のエネルギーのバランスがあるってヒビキっちが言ってたでしょ?
あの時思ったんだけど、もしかしたらあの人間、不幸のエネルギーを使ってるんじゃないかにゃ?
えっ……?
って事は、幸せのエネルギーが大きくなれば不幸のエネルギーが弱くなる……?
じゃあ、みんなで楽しく盛り上げれば、ライドウさんは弱くなる!?
よく気がついたな!
よし、みんなでやってみようぜ!
ライブを盛り上げるのはソラだけじゃない!
オレ達も負けてられねーぞ!!
ナナの気付いた事。
それはおもしろい事や楽しい事をしながら戦えばライドウが弱体化するかもしれない。
1。ギャグでも変顔でもいいから何か言いながら技、魔法を使う。
2。ただし下ネタは禁止。(特にバルバトスとレックス)
3。「殺す」などの言葉は言わない。
4。ライドウの攻撃からお客さんを守る。
5。ライドウは殺さない。
ジャックとバルバトスはレックス、リサ、ゴラロボ、ラビッタに説明。
そういう事なら任せろ!
もちろんスキル使っていいんだよな?
私は小道具を持ってきます!
その後は照明器具を点けたりしてみますね!
姉ちゃん。また会えてよかったよ。
チョコレート・クライシス以来だな。
まぁ、そういう事だからよろしく頼むわ。
わかったよ。
まったく、ほんとにしぶとい奴なんだから。
ソラ君!
オレ達はお客さんを守りつつ、君の歌を盛り上げるよ!
だから、何が起きたって笑ったままでいてほしい!
大きく首を縦に振って笑顔になるソラ。
「笑顔が大事」とバルバトスが言ったのを聞いていた。
何よりお客さんみんなを楽しませたい。
ソラは思いっきり息を吸い込むと……
みんなーーー!まだまだ行っくよーーーーーーーーーーー!!
大きく叫んで元気よくジャンプ。
ジャックやバルバトス、ナナも便乗。
お前らあああああああ!
オレ達のパフォーマンスもしっかり見てくれよーーー?
しっかり付いてこないと置いてっちゃうにゃあああああ!
どこかで聞いた事のあるセリフと変顔で笑いと歓声に包まれるライブ会場。
一方、不気味に笑っていたライドウは黒い杖を手に持ち、床に刺してブツブツと呟く。
するとライドウの足元に赤い魔法陣が出現。
黒い泥人形のようなものが現れ、会った事のある姿に変わっていく。
筋肉は弱い奴を叩き潰すためにある。
味方など必要ない。全て粉々にしてやる。
お前達がいるとノノは幸せにならない。
だから今すぐ幸せにしてあげるんだ。
にゃ!?
あの2人、飛空艇で会ったヤツにゃ!
ジャッきゅんの首を絞めた……!
おかしいよ!
筋肉で弱い人を潰すなんて、あんなのゴラゴランさんじゃない!
正解、本物じゃないわ。
あれは誰かの幻を実体化させて操る杖の効果で、メルーナの幻をここに呼び寄せただけ。
じゃあやっぱり偽物……!
じゃああの杖は闇市場のアイテム!
そう。
あれは「イミテーション」。
操られた幻の能力と強さは一緒だけど、必ず本物と正反対の行動をするの。
ゴラゴランという人間なら私も知ってるわ。とてもかっこよくて人気も高い男よね♪
本物とそっくりだけど偽物で間違いないわ。
でも能力は同じだから気を付けて。
じゃああの時、ライドウさんが言ってたのはもしかして……!
あぁ。
"あの時"は怒鳴っちまったけど間違いない。
あいつは裏切ってなんかいなかったんだ。
犬星ソラの歌はすぐに終わる。
そして永遠に歌えなくなる。未来など知る必要などない。必然なのだから。
チッ。
せっかく人が楽しく歌うってのにつまんねー事言ってんじゃねーよ。
かっこつけてないでさっさとかかってきやがれってんだ!
まぁ待てよヒビキちゃん。
まだ全員出揃ってないみたいだぜ。
出た出た!
そういやあいつにはチョコレート・クライシスの時とジェットコースターの時の借りがあったなぁ。
っへへ。しっかり落とし前つけてやるからなぁ?
うんうん。
みんな悔いのないように精一杯落とし前つけるにゃ!
ソラの掛け声&ジャンプと共に戦闘開始。
敵はグラン、ゴラゴラン、オズウェル、ジャスパー。
まずは先攻。
手をバキボキと鳴らして「待ってました!」とばかりにステージの端へ向かって走り出すヒビキ。
ヒビキは走りながら手を挙げる。
するとアルテミアは手のひらを開き、紫色のシャボン玉を出してヒビキの手を覆う。
その瞬間、ダン!と力強く踏ん張ってジャンプしたヒビキはシャボン玉が割れて紫色に光った手を握りしめてニカッと笑い……
一気に蹴散らすのはこれが1番!
その後は適当な奴をブチ殺……ゔゔん。
好きな奴を捕まえて遊んでやろうぜっ!!
目の前に迫っていた4体の敵に連続でパンチ。
「らあああああああああああ!」という声とドドドドという音に続き、最後に特大の衝撃波を出して爆発。
だろ?
でも、この技はただの打撃技じゃない。
アルテミアちゃんの毒の効果もあるんだ。
正解っ!
あの毒は怖いぞ〜?触ったら普通の人間は気絶するからなぁ〜?
もう、怖がってるじゃない。
これはヒビキちゃんの打撃と衝撃波で大勢の敵を一気に攻撃する技でね、1人や2人残っても気絶まで狙えるの。
そして、
もし敵が気絶しなかったとしても、大勢の力は分散されて1つになる。
それも狙いよ♪
そうか!
それでヒビキさん、好きな奴を捕まえて遊んでやろうって……!
さぁ、早くしないと取られちゃうわよ?
私が観客席全体に毒のバリアを貼っておくから、好きなように料理しちゃってちょうだい♪
おっしゃああああ!
アイツはオレが仕留めてやるぜええええ!
アルテミアのセクシーなウィンクに張り切るレックス。
あっという間にステージの端でスキルを発動しようとする。
決してスケベなシーンではないはずなのに、
かつてのバルバトスみたいな顔をしてよだれを垂らすレックスを見て思わずツッコミ。
慌てて追いかけるけれど……?
あろうことか、ステージの端には暴言を吐くヤバいマッチョとヤバいニャルシーが。
そうデス!争いを招くような言葉は禁止したはずデスよ!
「ボケ」も「タコ」もアウトデス!
ウケてる!?
お客さんまで口悪くなってるじゃないですかあああ!?
まるで漫才のようにステージでああでもないこうでもないと話すジャック達。
そんな彼らを歌いながらチラッと見るソラはクスッと笑ってスキル発動。
(フードモンスター。ワンだふるダンシングナイト。)
すると、ソラの左右にプルプルしたスライムのような生き物が出現。
2体の不思議な生き物は踊りながらジャックの隣に歩いていって、目の前に向かってファイティングポーズをとった。
その瞬間。
なんと、ヒビキの攻撃による衝撃波で発生した煙の中からゴラゴランが猛スピードで突進。
すぐに手で顔を覆うジャックだが、まるで防御になっていない。
「やられたのか!?」と焦るバルバトス、レックス、ナナ。
しかし。
間一髪、ジャックの隣にいた不思議な生き物から腕が生えてゴラゴランのパンチを受け止めていた。
ソラの心の言葉が通じたのか、フレイムイーターを構えるジャック。
それを見ていたアルテミアは急いで声をかける。
胸よ!
「イミテーション」で操られた幻は胸にエネルギーの結晶がある!
それを壊せば幻は消滅するはずよ!
オレは本物のゴラゴランさんを知ってる。
あなたは……いや、お前は偽物だ!!やあああああああ!!
おっしゃあ!やったぜジャック!!
じゃああたしも壊してくるか!今度こそトドメを刺してやる!!
待てって!オレも行くから!
三等分にするって事でいいだろ?
悪い顔をして手をバキバキと鳴らすバルバトス、レックス、ヒビキ。
どちらが敵なのかわからないような不気味な笑いを浮かべながらグラン、ジャスパー、オズウェルに向かって走り出す。
しかしそこにもう1人ガラの悪いニャルシーが絡んできて……?
おいてめーらウチの事忘れてねぇ?
ここは普通ニャルシーの出番だろ!?
三等分じゃなくて四等分にしやがれタコ!
威勢のいいニャルシーがいるじゃねーか気に入ったぜコノヤロー!
ところで四等分ってどういう事だー?
でもよ、敵は3体だろ?
ジャックが1体片付けたせいで足りねーぞ!
どーすんだおめーら!
じゃあお前ら!
1発でキメて会場の上に打ち上げるぞ!
せーーーのっ!で行くぞいいな?
花火みたいな感じだな?
よーしいいだろう!じゃあ誰が高く打ち上げられるか勝負だコラ!
ひひひ!ひひひひひひ!
ひひひひ!ひひひひーひひひ!
文字の羅列ヤベーぞ料理人!
それはともかく、いつでもいいぜ早くしろ!
レックス君が壊れたんですけど。
あと語尾。あと敵がかわいそうに見えてきた。
やりたいコラボがあるんだよ!
せっかく何回もやってるから許してちょんまげ!
っていうかナナちゃんだけ技の名前が願望になってるじゃないかー!
♪夢いっぱいのMy Favorite Sweet
♪頬っぺたが落ちる幸せ
♪本当に止まらない 最高の時間
♪皆に伝えたいっ!!
♪3時になっても この舌で
♪確かめたい カラフルなストーリー
♪甘い愛は止まらない☆
♪ジェルーチェforever lasting Sweats!
ありそうで無かった、しかし確かにあった最初で最後の"ファイナルライブ"。
今、4人のアクションとまさかのコラボとソラの曲「ジェルーチェ」によって会場は最高の盛り上がりを見せた。
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